★読売を利用し、朝日を無視する安倍首相の露骨さー(天木直人氏)

11月7日の読売新聞が、

安倍首相が法人税減税の更なる引き下げを発表したと一面トップで書いた。

 どこまで、一般消費者に厳しく、大企業を優遇するのか。

 よくもそのような露骨な発言ができるものだ。

 その時私は、そういう思いでこの記事を読んだものだ。

 しかし私がその時思ったのは、その事だけではない。

 このような重要な政策発表を、首相記者会見という公の場ではなく、

11月6日の読売国際経済懇話会の講演という、

一メディアが主催する私的な講演の場で発表したという読売偏向ぶりだ。

 11月7日の読売新聞は、その講演の要旨を報じる記事の中で次のように具体的に報じている。

 政府は法人税の実効税率を欧州やアジア諸国並みの20%台にする目標を掲げており、

16年度に現在の32・11%から少なくとも31・33%に下げることを決めているが、

安倍首相の講演での発言は、引き下げ幅をさらに上乗せする考えを示したものだ、

20%台まで引き下げる意欲をあらためて示したと。

 首相という公人のトップが、ここまで読売に偏向していいのか。

 しかし、私がもっと驚いたのは、その同じ日の11月7日の朝日新聞が、

やはり一面トップで大きく、こう同じような記事を報じていたことだ。

 すなわち法人税について政府が2016年度の実効税率を30・88とする方向で

最終調整に入ったと。17年度には20%台とする方針だと。

 しかもその朝日の記事は、読売国際経済懇話会と言う名前こそ明示しなかったが、

安倍首相が都内で講演し、

「実効税率を数年で20%台まで引き下げ、国際的にそん色ない水準に改革する。

来年は0・8%引き下げると決めているが、上乗せしてさらに引き下げる」と語った、と報じている。

 これを要するに、朝日新聞は、あたかも法人税引き下げの大スクープのように

一面トップで書いた記事の情報源を、ライバル紙である読売新聞社が主催した講演で得ていたのである。

 日本の二大紙として読売新聞と競争している朝日として、これほど屈辱的なことはない。

 ここまで安倍首相は読売新聞を利用し、朝日新聞を軽視、いや敵視すらしているのだ。

 朝日新聞はいつまでも慰安婦問題誤報のトラウマにとらわれていないで、

腹を決めて安倍打倒に舵を切るべきである。

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