★ボコバ事務局長に軽くあしらわれた馳文科大臣ー(天木直人氏)

馳文科大臣がパリのユネスコ本部まで出かけて行ってボコバ事務局長に文句を言ったらしい。

 何と言ったか。

 ユネスコの透明化を迫ったと言う。

 ボコバ事務局長は何と言ったか。

 その通りです、透明化を進めなければいけないと応じたと言う。

 この報道を見て、ボコバ事務局長が譲歩したと思ったら大間違いだ。

 ユネスコの制度改善、透明化は常に指摘されてきた問題だ。

 その改善に誰も異存はない。

 ボコバ事務局長としても異存があるはずはない。

 だからこそ、そのような問題のあるユネスコの現状の下で、

日本が自らの主張が正しいというなら、うまく交渉して主張を認めさせるべきだった。

しかし、その努力が足らなかった。主張が聞き入れなかった。

いったん決まった事を、いまごろ事務局長の私に文句を言っても始まらない。

これを教訓にユネスコ改革に指導力を発揮してもらいたい、そう言っているのだ。

 すなわち馳文科大臣は記憶遺産登録取り下げについて何も成果を上げられなかったのだ。

 いまごろ何をしに来たのかと、にこやかな笑みで、やんわり諭されたのだ。

 役者が違う。

 日本は世界に恥をさらした。

 馳文科大臣がユネスコ拠出金の減額・停止に言及したかどうかは、報道では明らかではない。

 しかし、もしそんなことを事務局長に少しでもほのめかしたとしたら、恥の上塗りだ。

 この問題は勝負はついている。

 菅官房長官は上げた拳をどう振り下ろすつもりだろう。

 記者会見でその質問をすべきなのだが、誰も聞きそうもないところに、

この国のメディアのダメさ加減が見て取れる。

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