★日中韓首脳会議開催。
この地域は世界で最大の経済圏。経済協力を推進で繁栄と協力の地域にー(孫崎享氏)

米国の情報機関にCIAがある。

CIAは自己のサイトに「WORLD FACTBOOK」を持っている。

この中で」に各国の経済規模を購買力平価ベースで計り、

本年は中国が購買力平価ベースGDPで米国を抜くことを記載した。

さらにこの数字を使っていくつかの地域の比較をしてみたい。

中国・日本・韓国の東アジア圏の規模を100とする

米国・カナダの北米はその79である

EUは73である。

今や東アジア圏は世界で最も豊かな経済圏となった。

ではこの地域は繁栄と平和を謳歌しているか。

北米やEU内で武力紛争を想定する人はほとんどいない。

密接な複合的協力関係が形成され、武力紛争を行う馬鹿馬鹿しさを各々の国民が衆知している。

では東アジアでそのような想定が出来るか。

出来ない。

残念ながら政治の貧困である。

その代表が過去3年半にわたって日中韓首脳会談が開催されなかったことにある。

その一因に、安倍政権ないしその中枢に近い人々が、

これまでの歴史問題の扱いで存在していた日中、日韓、日・連合国(国際社会)との合意を

覆そうとする動きを見せたことにあるのは、極めて残念だ。

欧州は「憎しみ合い」から「協力」に進化した。

残念ながら東アジアにはまだ「憎しみ合い」から「協力」に進化する状況は訪れていない。

こうした状況の象徴は日米韓の首脳会議が開催されていなかったことにある。

各国には各々、この会議開催に抵抗はあったであろう。

それを乗り越えて新たな動きが出たことを歓迎したい。

欧州では域内の協力関係を緊密化させることで、

国民が「憎しみ合い」より「協力」の重要性に気付いた。

同じことは東アジアにもいえる。

今回、日本ではほとんど報じられていないが、中国李首相は協力についての6つを提示した。

1、政治的相互信頼のレベルを引き上げ、地域の平和と安定を守る。

2、それぞれの比較優位を十分に生かし、国際生産能力協力を進める。
中日韓の発展レベルは異なっている。経済構造は相互補完性を備えており、
協力を進める余地は非常に大きい。

3、東アジア経済の一体化を促し、地域金融の安定を守る。
中日韓協力は地域経済を発展させ、
金融を安定させる「バラスト」としての役割を果たすべきで、
3カ国投資協定を実行に移し、中日韓自由貿易協定締結交渉を加速し、
貿易と投資の自由化と円滑化を引き続き促していくべきだ。

4、構造改革を共同で推進し、イノベーション分野の協力を強化する。

5、持続可能な発展についての協力を強化し、一般市民により多くの幸せをもたらしていく。
中日韓環境汚染対策技術協力ネットワークを構築し、
関連の循環産業経済区やモデル基地の建設を強化し、
関連の小地域協力や地方経済協力を引き続き推進し、
東アジア貧困削減協力イニシアチブを共同で実行に移し、アジアの共同発展を促がしていく。

6、人文交流を推進し、東アジア共同体意識を強化する。
3カ国の文化的伝統は似ており、人員往来をさらに拡大し、
五輪経済協力を推進し、民間友好を増進していくべきだ。

中国首相が協力の方向を具体案をもって推進していこうという姿勢を打ち出したことを評価する。

こうした提言の具体化によって、東アジアに協力の空気がみなぎり、

この地域が単に最も経済規模の大きいという地域ではなくて、

平和と繁栄を確固とした地域になることを心から望む。

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