★首脳会談の評価はこれにつきるー(天木直人氏)

一連の首脳会談が終わった。

 三つの首脳会談が行われたというのに、いっぱひとからげに論じられる。

 それほど歴史認識で同根の問題を抱えている首脳会談だった。

 その首脳会談の評価をめぐって、今後も様々なことが語られ、書かれ続けることだろう。

 しかし、安倍首相がみずから率先してその成果を強調すればするほど痛ましい。

 どのメディアも、一面トップで一定の成果があったとこぞって書く一方で、

一枚めくれば、解決には程遠いという本音をこぞって書いている。

 それを見るにつけ、メディアの苦悩が痛ましい。

 私はもうこれ以上首脳会談につて書かない。

 そのかわりに最後にきょう11月3日の産経新聞の記事を引用して終わりにする。

 今度の首脳会談の評価はこれに尽きるからだ。

 その記事は、日韓首脳会談で共同記者会見が開かれなかった事について、

外務省筋の言葉としてこう書いている。

 もともと成果を求める会談ではなかった、と。

 共同記者会見で成果は何かと聞かれれば答えに窮するから、

お互いに共同記者会見など無いほうが都合がよかったと認めているのだ。

 産経新聞は、例によって韓国叩きだから、

韓国側の都合で共同記者会見が開かれなかった事を強調する。

 しかし、その一方で、慰安婦問題で対立が浮き彫りになれば、

来年日本で開かれる日中韓首脳会談の開催が危ぶまれることになる。

 だから安倍首相も共同記者会見など無い方がよかったのだ、といわんばかりだ。

 会談内容を明かすことができず、会談した事自体が成果だと繰り返すしかなかった首脳会談。

 これは日韓首脳会談の評価だけではない。

 日中韓三カ国首脳会談についても、日中首脳会談についても、同じだ。

 歴史認識の大きな違いをそのままにして、首脳会談が開かれた事を成功だと評価する。

 すべては先送する。

 そして首脳同士の会談ではどうにもならないので、局長級の協議に委ねて、協議を急がせるという。

 あまりにも痛ましく、馬鹿馬鹿しい。

 やっているほうも、それを真面目に書いているほうもである。

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