★米軍に支配され続けて来た戦後70年間の日本ー(天木直人氏)

戦後70年もたつというのに日本は米国に占領され続けて来た。

 そう書いても誰も驚かないだろう。

 なにしろ日本の至るところに米軍基地があり、

戦後70年もたった今でも治外法権の下で米軍人はやりたい放題だからだ。

 しかし、それを知っている日本国民でも、これから書くことを知ったら驚くだろう。

 ジャーナリストの末浪靖司氏が

「機密解禁文書にみる日米同盟 アメリカ国立公文書館からの報告」(高文研)という本を出した。

 末浪氏は、あの砂川判決で田中耕太郎裁判官が米国と通じていた事を示す

米国機密公電を見つけた一人だ。

 砂川判決再審訴訟で一緒になって以来、懇意にしている。

 その末浪氏が献本してくれた事で、私はこの本の存在を知った。

 その内容は驚くべきものだ。

 その一つが、日米合同委員会の実態である。

 日本と米国の外交・安保担当者が今でも定期的に秘密会合を開いて

日米間の主要な外交・安保政策を決めて来たという事実は、情報通の人なら知っている。

 しかし、その人たちでも、日米合同委員会のメンバーの非対称性について

知っているものは少ないに違いない。

 日本のメンバーが日本の政策を決める外務省や防衛省の文官(官僚)たちであるのに対し、

米国のメンバーは軍人なのである。

 そして、決定的に重要で驚くべき事は、この末浪氏が発見した米国機密文書によれば、

米国政府内部で日本に対する外交・安保政策の最終判断は、

国務省の判断より国防省のそれが優先すると決められており、

それを日本に了解させていたと言う事実でる。

 つまり米国軍人の判断が対日政策を決めているのである。

 因みに、この日米合同委員会の前身は講和条約が発効した直後に出来た予備作業班であるという。

 すなわち日本が独立したら米国占領軍は撤退しなければならないが、

同時に日米安保条約を結んで占領軍から在日米軍にすり替えた。

 その占領軍の軍人をそのまま予備作業班に横滑りさせて日本の占領を続けたのだ。

 その予備作業班の決定によって1952年に日米合同委員会が出来て、今日に至っているのである。

 日本は戦後70年間、米国政府ではなく米国軍人に支配されてきたと私が書いた理由がここにある。

 安倍首相が米国軍人のトップに頻繁に会ったり、米空母に載って喜んでいる理由がここにある。

 それにしても、年金暮らしの生活の中で、頻繁に訪米し、長期滞在し、自炊しながら、

ここまでの機密文書を見つけて我々に教えてくれる末浪氏の努力には頭が下がる。

 この新著も、私の様なものにとっては目から鱗だけれど、決して売れないだろう。

 ましてや安倍政権に不都合なこの本は黙殺される。

 それを活用しないと罰が当たるという思いで紹介させてもらった。

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