★米軍オスプレイの佐賀訓練撤回は米軍の命令であるー(天木直人氏)

中谷防衛相は10月29日、

佐賀県の山口知事と会談して米軍オスプレイ訓練機の佐賀配備を撤回する方針を正式に伝えたという。

 報道は、このことについて米海兵隊が来ることに対する地元の反対が強いからだと書いている。

 これによって沖縄の基地負担軽減に悪影響を与え、沖縄の反発が高まる事必至であると書いている。

 実際に、沖縄の翁長知事は、「他の都道府県は知事や市長が反対するだけですぐ引いてしまう。

沖縄では市町村長らがそろって(中止)要請しても強権的に作業を進めてくる」と反発している。

 しかし、中谷防衛庁が佐賀県の地元の反対だけで、

いったん決定した米軍オスプレイ訓練の佐賀移転を撤回するだろうか。

 もちろんそうではない。

 米国が岩国移転はしないと言っているから出来ないのだ。撤回せざるを得ないのだ。

 そのヒントを示してくれた唯一の報道が、きょう10月30日の産経新聞だ。

 米軍訓練機移転取り下げを報じた記事の中に次のようなくだりがある。

 「・・・政府は沖縄の基地負担軽減に向け、海兵隊による訓練移転の検討を進めていたが、

米国と地元のいずれの理解も得られず、断念せざるを得ないと判断・・・」

 地元の反対なら押し通しただろう。

 しかし肝心の米国が訓練の佐賀移転はしないと言い出したとならばどうしようもない。

 だから中谷大臣は撤回せざるをえなかったのだ。

 それではなぜ米国は佐賀移転に反対なのか。

 地元の反発を恐れたのか。

 それもあるだろうが、本当のところは米国の勝手な理由からだ。

 それを見事に教えてくれたのが10月28日の東京新聞だ。

 実はこの佐賀移転の撤回を最初にスクープ報道したのは10月28日の東京新聞だった。

 その記事は撤回の理由を次のように書いていた。

 「・・関係者によると、米側は佐賀への訓練移転について

『沖縄からの部隊の移動や、訓練場の確保が困難だ』との認識を日本側に繰り返し伝達。

防衛省が検討していた佐賀空港での暫定移駐についても難色を示し、日米調整は不調に終わった・・・」

 これを要するに米国が米軍の都合で反対したのだ。

 沖縄の負担軽減がすべてに優先する日本政府が、地元に移転を押しつけようとし、

そして地元が反対しても押し付けるつもりであったのに、肝心の米国が反対した為できなくなったのだ。

 このオスプレイ米軍訓練機の佐賀移転白紙撤回の真相は、

すべて米国の意向に従う日本の大誤算であったと私は見ている。

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