★暴挙。安倍政権、醜悪さの極致、辺野古問題。
選挙結果を踏まえた沖縄県の意志は無視する。
賛成者に金をばらまく。そして米国に隷属する。ー(孫崎享氏)

10月13日、翁長知事は普天間基地の辺野古移転承認を取り消した。

翁長知事は知事選挙で辺野古移転反対を掲げ当選した。

その結果を踏まえて、前知事の辺野古移転の承認を取り消した。

これは選挙結果を踏まえた政治的決断である。

 この決定を否定することは、民主主義と言うものを根本から否定するものである。

私はこの決定を支持することをこのブログにおいて下記理由で指示した。

1.対象は海兵隊である。海兵隊の任務は奇襲で、特定地域の防御ではない。

したがって基地は沖縄に置かなければならない問題ではない。

米国本土や、ハワイ、グアム島を含め世界のどこでもよい。

2.中国の大陸間弾道弾とクルーズミサイルの数量、性能のアップにより、

米軍基地は極めて中国の攻撃に極めて脆弱になった。特に沖縄はそうである。

したがって、海兵隊の日本防衛への貢献はさらに低まった。

3.辺野古移転による利益は基本的に海兵隊と言う極めて狭義の利益である。

それが米国国防省の主張、ホワイトハウスの主張になっているが、

米国全体の利益にどこまで供しているかとなると、大きくない。

4.上記の事実が辺野古移転を取りやめたとしても、

日米関係をおかしくする筋合いのものではない。

こうした中、政府は次の行動をとった。

「米軍普天間飛行場の移設計画をめぐり、石井国土交通相は26日、

前沖縄県知事による同県名護市辺野古の埋め立て承認を取り消した

同県の翁長知事による処分の効力を、いったん止める方針を固めた。

石井氏は防衛省が行政不服審査法に基づく不服審査請求と同時に行った

執行停止の申し立てを、27日に承認する。…

政府は27日午前の閣議で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の

名護市辺野古移設に関し、

翁長雄志知事による辺野古の埋め立て承認取り消しは違法だとして、

地方自治法に基づき、

国が知事に代わって埋め立てを承認する「代執行」の手続きに着手することを了解した。(時事通信)

他方次の行動を行った。

「安倍政権は26日、米軍普天間飛行場の移設先とする

同県名護市辺野古周辺の3地区の代表者を首相官邸に招き、

今年度中に振興費を直接支出することを伝えた。

移設計画に反対する沖縄県と名護市の頭越しに地元と直接交渉し、

移設に向けた「同意」を浮き立たせる狙いがある。

この日、官邸では菅義偉官房長官ら政権幹部と、

名護市辺野古、豊原、久志の「久辺3区」の代表者による懇談会が開かれた。

地元からは辺野古の嘉陽宗克(、豊原の宮城行雄、久志の宮里武継)各区長が出席。

菅氏は各区長に「3区の補助事業の実施にできるだけ協力する。

具体化を図っていきたい」と伝えた。(朝日)

選挙結果を踏まえ行動する沖縄知事の行動を徹底無視。

そして安倍氏に従うとみられる人々への金のばらまき。もう安倍政権の醜悪さの極致である。

本件に関する28日付沖縄タイムス社説[代執行と効力停止]不信招くあざとい手法」

・安倍政権が「敵・味方の論理」と「勝ち負けの発想」に凝り固まり、

「知事権限を無力化した」と得意がっているとすれば、それこそ政治の堕落である。

・県民の中に渦巻く政権不信と、強権的手法に対する激しい反発。
今やピークに達している。危険な状況だ。

・政府は26日、名護市辺野古の新基地建設予定地に近い
久辺3区(辺野古・豊原・久志)の代表を首相官邸に招き、
2015年度から県や名護市を通さず直接、振興費を3区に支出する考えを伝えた。

 県に対してはあらゆる手を使って権限を封じ込め、

基地受け入れを表明した3区に対しては財政の支出ルールを変えてまで振興費を支出する。

 メディアを通した印象操作であり、あまりにも露骨な「アメとムチ」の政策である。

・行政不服審査法は公権力に対して不服を申し立てる制度で、

「国民の権利利益の救済」を目的としている。そもそも国に不服申し立てをする資格があるのか。

 防衛省(沖縄防衛局)が行政不服審査法に基づいて

国土交通相に審査請求と取り消しの効力停止を求め、

国交相はその通りの結論を出す。公平性・客観性を欠いた猿芝居というしかない。

・効力停止の決定理由として国交省は

「飛行場周辺の住民らが被る危険性が継続するなど重大な損害が生じる」ことを指摘する。

いわゆる「一日も早い危険性の除去」論だ。

 はっきり言おう。長い普天間飛行場の歴史の中で危険性除去に熱心でなかったのは

日本政府である。過去に何度か米側から在沖米海兵隊の撤退案が示されたことがあるが、

そのつど反対したのは日本政府だ。

 1996年の日米合意からすでに19年もたっているのである。

「一日も早い危険性除去」が普天間返還の第一の目的であれば、

普天間はとうに返還されていたはずだ。

 安倍晋三首相が仲井真弘多前知事に口約束した「5年以内の運用停止」も雲散霧消してしまった。

・政府が決まり文句のように強調する「唯一の選択肢」論も、

海兵隊の分散化が進む現状を反映していない。

辺野古移設にこだわる理由は米国の中でも失われつつあるのだ。

 そもそもなぜ、「唯一」だなどといえるのか。

辺野古に移さなければ日本の安全保障に致命的な悪影響を与えるとでもいうのだろうか。

選択肢なき政策こそが大問題だ。

28日付琉球新報「取り消し効力停止 許せぬ民意への弾圧 新基地作業は認められない」

・権力を乱用した民意への弾圧としか言いようがない。

民意を踏みにじるもので、許されるものではない。

・石井国土交通相は取り消し処分の効力を停止した理由について

「普天間飛行場の移設事業の継続が不可能となり、

(普天間)周辺住民が被る危険性が継続する」と説明している。

 住民の安全を考えているように装うことはやめるべきだ。

新基地は完成まで10年かかるとされる。

10年がかりの危険性除去などあり得ない。

普天間飛行場を即時閉鎖することが唯一の解決策である。

・ 行政不服審査法に基づき、知事の取り消し処分の無効を求めて

審査請求する資格は、そもそも防衛局にはない。

請求制度は行政機関から私人への不利益処分に対する救済が趣旨である。

私人ならば、米軍への提供水域を埋め立てできないことからも資格がないのは明らかだ。

・菅義偉官房長官は代執行に向けた手続きに着手することを決めたことに関し

「外交・防衛上、重大な損害を生じるなど著しく公益を害する」と述べている。

 県民は外交・防衛の犠牲になれと言うに等しい。

県民は戦後70年にわたり、米軍基地の重圧に苦しんできた。

県民の「重大な損害」は一顧だにせず、過重な基地負担を押し付ける姿勢は、

知事の言う「政治の堕落」そのものだ。

 知事権限を無力化するために、

行政機関として代執行の手続きに着手する一方で、私人の立場も装う。

恥ずべき二重基準を使ってでも新基地建設を強行する政府のやり方には強い憤りを禁じ得ない。

・ 99年の地方自治法改正で、国と地方は対等の関係になった。

だが、沖縄でそれを実感することはできない。

国が沖縄の声を踏みにじっていることが要因である。

 知事選をはじめとする一連の選挙で示された「新基地は造らせない」との

圧倒的民意を国が無視し続けることは、どう考えても異常だ。沖縄からは圧政国家にしか見えない。

・自己決定権に目覚めた県民は圧政には屈しないことを国は認識すべきだ。

日米安保のため、沖縄だけに過重な負担を強いる国に異議申し立てを続けねばならない。

国を新基地建設断念に追い込むまで、揺るがぬ決意で民意の実現を目指したい。

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