★見送られたプーチン大統領の年内訪日ー(天木直人氏)

プーチン大統領の年内訪日を見送る事で安倍・プーチン大統領が合意していた、

という驚くべきスクープを報じたのは10月14日の日経新聞であった。

 すなわち複数の日ロ外交筋によると、安倍首相とプーチン大統領が

9月28日にニューヨークで会談した際に、年内の実現を無理に急がず、

来年4月の訪日を視野に

領土問題や経済協力に関する交渉を事務レベルで加速させることで一致したというのだ。

 これは実は大スクープだった。

 なぜなら、9月28日に安倍首相とプーチン大統領が首脳会談を行った時の報道では、

首脳会談が開かれたことばかりが外交成果のごとく喧伝され、

その時に年内訪日は行わないと合意されていたことなど、まるで報じられなかったからだ。

 そしてこの日経新聞のスクープを受けて

翌10月15日の産経と朝日と毎日が後追い記事を小さく書いた。

 すなわち、プーチン大統領の年内訪日はなくなったと。

 これできまりだ。

 しかも問題は、来年以降の訪日の目途がまったく立っていないところだ。

 その理由が二つある。

 一つは北方領土問題の交渉にプーチン大統領が応じようとしていないことだ。

 もうひとつは、ロシアと米国の関係が、

ウクライナ問題に加えてシリア問題でますます対立しつつあることだ。

 おまけに来年に入ると安倍首相はサミット議長として、その成功にすべてを優先しなければいけなくなる。

 プーチン訪日どころではない。

 いまでもなく、安倍外交の唯一の見せ場が北方領土問題の解決と

その為にプーチン大統領の年内訪日だった。

 そして安倍首相はそれに最後までこだわった。

 そのプーチン大統領の訪日が消えたのだ。

 もはや安倍外交になすべきことは対米従属しかなくなった。

 安倍外交の完全なる敗北である。

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