★「臨時国会見送り」と一年トップで書いた読売と産経ー(天木直人氏)

何度も書いてきたが、はやり臨時国会など開かれるはずはなかった。

 きょう10月16日の読売と産経が一面トップで臨時国会は見送られると書いた。

 読売は「政府・与党は見送る方針で調整に入った」と書いているが、

産経に至っては「見送る方針を固めた」とまで断言している。

 いずれにしても臨時国会は見送られることになる。

 もちろん、これら両紙は、「野党の反発は必至」と書いている。

 しかし、ご丁寧に、その野党の反発のオチまで解説してくれている。

 すなわち野党は、衆参院いずれかの議員の四分の一の議員の要求があった場合は

国会を召集しなければいけないという憲法53条を持ち出して召集を迫ると。

 しかし、これには強制力がなく、

現に平成15年11月には民主党などの野党が憲法53条に基づく召集要求を行ったが、

時の小泉政権は招集を見送ったと。

 そして、臨時国会のかわりに、安倍首相の外遊の間を使って11月9-11日には

閉会中審査が予定されていると。

 壮大な八百長芝居だ。ここまでシナリオが出来ているのだ。

 野党は反対したというアリバイを作ればいいのだ。

 そして閉会中であっても国会審議に応じさせたという説明がつけばいいのだ。

 しかし閉会中審査と臨時国会の召集とは、その政治的持つ意味がまったく異なる。

 おまけに、いま臨時国会を開けば、追及すべき問題が山ほどある。

 TPPの秘密交渉のいかさまぶりがあぶりだされ、安倍政権は窮地に追い込まれる。

 安保法強行採決時の国会議事録改ざんを追及されて、安保法反対の熱気が再び蘇る。

 アベノミクスの破綻や外交の行き詰まりが追及される。

 そのほかにも新閣僚の醜聞や政治資金問題が追及される。

 これを要するに、臨時国会の召集によって安倍政権を追い詰めることができるのだ。

 だからこそ安倍政権は異例の臨時国会を開かないことにこだわったのだ。

 それを許した野党もまた本気で安倍政権を追い込むつもりがないということだ。

 野党の内部事情は、国会審議どころではないのである。

 これが今の日本の政治の現実である。

 馬鹿を見るのは、何も知らされない国民である。

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