★ プーチンと会談してオバマと会談できない安倍首相ー(天木直人氏)

 安保法案を強行採決までして国連総会に出席したかった安倍首相。

 その安倍首相が出発前のインタビューで今度の国連総会の課題を聞かれて、

真っ先に口にしたのがシリア難民問題だった。

 これは象徴的だ。

 日本にとって何ら貢献できないシリア難民問題が、安倍首相の口から最初について出た。

 いかに今度の国連総会が安倍首相にとって出番のないものであるかの証拠だ。

 それだけではない。

 安倍首相がその後に語ったのは国連総会の場を利用した首脳会談だ。

 ところがプーチン大統領に会って、オバマ大統領に会えない。

 会わないんではなく、会えないのだ。

 もちろん安倍首相はオバマ大統領との首脳会談を申し入れたに違いない。

 なにしろ米国は日本にとって最大の同盟国である。

 おまけに安保法案採決という手土産を持っていくのだから、

それをオバマ大統領に真っ先に報告したかっただろう。

 ところがオバマは会おうとせず、バイデン副大統領に任せたのだ。

 そして、プーチンに会ってオバマに会えない、この二つは決して無関係ではない。

 プーチンの年内訪日にこだわる安倍首相にオバマは愛想をつかしたのだ。

 まだわからないのか、この馬鹿が、と。

 もちろん習近平主席や朴クネ大統領と安倍首相の首脳会談は予定されていない。

 国際会議の場を使った国連首脳外交の観点からも前代未聞の不毛さである。

 残る唯一の安倍首相の晴れ舞台は、国連総会での演説だ。

 しかし、これこそが、今度の安倍首相の国連総会出席の最大の不毛なところだ。

 国連総会は各国代表の演説くらべと相場は決まっている。

 そして今度の国連総会では初日の9月28日に

オバマ、プーチン、習近平の演説が予定されている。

 そこまでは安保理常任理事国の首脳だからまだわかる。

 しかし報道によれば朴クネ大統領の演説まで、初日に行われるという。

 そして安倍首相の演説は、それらの演説がすべて終わった2日目の29日だ。

 見ているがいい。

 その時には、出席者はまばらで、誰も安倍首相の演説など

関心はないといわんばかりの光景になるだろう。

 はじめから分かり切った不毛な国連総会に、喜んで出席する安倍首相。

 それをあたかも重要な外交のように報じるこの国のメディア。

 われわれは国民は、この国の壮大な虚構の中で生かされているということである。

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