★野党の選挙協力が出来れば安倍政権を打倒できるー(孫崎享氏)

今や、安倍政権は極めて危険な政権になってきた。

 日本の国家としての在り様で、「民主主義国家」や、

「法治国家」を揺さぶる政権になってきた。

安保関連法案での安倍政権の動きが、独裁国家的様相を持ってきた。

民主主義国家の基本は国民主権である。

選挙で選ばれたら、何をしてもいいというものではない。

しかし安保法制を通す中で、

国民の大多数が反対している状況を返り見ることはなく、

国民の意思に反して安保法案を成立させた。

「法治国家」であるかの点については安保法案に関しては、

①大森、宮崎、坂田(少なくとも一時期)、角田元内閣法制局長官が違憲ないし疑問の発言

②山口繁・元最高裁長官「集団的自衛権の行使を認める立法は、違憲」

③憲法学者の約95%が違憲。と発言しているにもかかわらず、支離滅裂な論理で安保法制を成立させた。

 この過程で、自民党の総裁選挙があった。

野田聖子前総務会長が立候補を模索したが、安倍政権はこれを潰した。

党内にも力で押しつぶす力学が働いている。

 安倍政権は今や極めて危険な存在になっている。

それは安保法案だけでなく、原発再稼働、消費税引き上げ、秘密貢保護法、TPP、

沖縄辺野古への米軍基地移転を見ても明らかである。

安倍政権を倒すことが日本の「民主主義国家」や、「法治国家」を守る上で極めて重要である。

 安保関連法案についてみてみたい。

世論調査では国民の大多数が安保関連法案の採択に反対した。

19日実施の朝日新聞世論調査では安保関連法に賛成は30%、反対は51%であり、

同じく19日実施の毎日新聞では安保関連法案の成立を評価するは33%、評価しないは57%であった。

安倍政権は、国民の反対を顧みることなく、国会の数の力で強行採決をした。

どうして、自民党が国会で圧倒的多数を占めるかを考えてみたい。

自民党は、2014年の総選挙で、小選挙区は得票率48%で76%の議席を獲得した。

小選挙区制の弊害が一気に出た。

さてここで、仮定の論議をしてみたい。

今安倍政権反対は毎日新聞50%、朝日新聞45%、共同通信は50%である。

つまり、今総選挙が行われ、反安倍で結集できれば、2014年の選挙と逆に、

小選挙区で76%以上獲得する可能性があるという事である。

あるツイートがあった。

「志位委員長の、選挙協力呼びかけが実現できれば、

北海道の選挙区を例にすると、前回当選与党9人野党3人に対し、

選挙協力した場合与党4人野党8人と与野党逆転します。

他の、選挙区も諸々加味すれば、与野党逆転に」

野党協力が出来な理由の一つに共産党の対応があった。

2014年の選挙では共産党は党勢の拡大をめざし、

ほぼ全選挙区で候補者を擁立した。

その結果当選に結びつかない「死票」が大量に出た。

もし、共産党をはじめとする野党が選挙協力を実施できるなら、国会の勢力は逆転する。

こうした中で、19日 志位共産党委員長は「戦争法廃止の国民連合政府」を呼びかけた。

彼の論点を見てみたい。 

・来るべき衆議院選挙と参議院選挙で、
戦争法廃止を掲げる勢力が多数を占め、連合政府を実現するためには、
野党間の選挙協力が不可欠だ。

・昨年の総選挙の沖縄1~4区の小選挙区選挙で行った、
「米軍新基地建設反対」を掲げての選挙協力のように、
〝国民的な大義〟が明瞭な場合には、政策的違いがあってもそれを横に置いて、
柔軟に対応するということを実行してきた。

・「戦争法廃止の国民連合政府」をつくるという〝国民的な大義〟で
一致するすべての野党が、来るべき国政選挙で選挙協力を行うことを
心から呼びかけるとともに、その実現のために誠実に力をつくす。

・すべての政党・団体・個人が、思想・信条の違い、政治的立場の違いを
乗り越えて力をあわせ、安倍自公政権を退場させ、
立憲主義・民主主義・平和主義を貫く新しい政治をつくろうではありませんか。

 上記の志位書記長発言に見られるように、共産党は対応を一気に変えた。

「共産党と協力は出来ない」という人も多くいる。

しかし、安倍政権を放置しておけば、
安保法案で自衛隊を海外で闘わせる、原発の再稼働はする、消費税の増額をする。
日本の国家としての在り様で、「民主主義国家」や、「法治国家」を揺さぶる。
日本は崖から落ちる。

今、日本にとって今最も優先すべきは、安倍政権を倒すことではないか。

我々には「共産党が」と言っている余裕はない。

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