★安保関連法案成立。全てが終わったわけでない。
戦いの基礎は「違憲」.そして「3要件」。安倍政権打倒ー(孫崎享氏)

安保関連法案が成立した。

野党は国会で、出来る限りのことはしたと思う。

最大の収穫は多くの国民の覚醒である。

本年3月ごろ、日本国内には集団的自衛権成立やむなしの空気が覆った。

その後、日本の各層が反対の見解を述べ始めた。

1. 大森、宮崎、、角田元内閣法制局長官が違憲ないし疑問の発言

2. 山口繁・元最高裁長官「集団的自衛権の行使を認める立法は、違憲」

3. 憲法学者の約95%が違憲。元要職にあった人々の発言。

 学生が「自由で民主的な日本を守るための、学生による緊急アクションです。

担い手は10代から20代前半の若い世代です。

私たちは思考し、そして行動します」をスローガンに掲げるシールズが

5月3日結成され、安保関連法案に反対し、毎週金曜日夜、

政府に対する抗議デモを主催してきた。

 8月30日には10万人を超える人々が国会包囲デモに参加した。

 その後も、厳しい警備をはねのけ、国会前は警備が「決壊」し、

デモは国会前車道にあふれた。反対の勢いを示した。

日本各地でデモが盛り上がった。

鎌田 慧氏(組織者の一人)は私のニコニコ動画で「60年安保は主として動員。

今は個々人の主体的判断。

デモの成功や失敗を自分の経験として持ち帰っている。

60年安保は採決後運動は消滅していったが、今回はそれはない。

それぞれの人々が経験を次につなげている」と発言した。

デモは決して無駄ではなかった。

今後の運動につながる。

多分今後発生することは、各地で違憲訴訟が起こるであろう。

最高裁レベルでは、

最高裁判事は政府が任命して構成されていることを考えれば、

政府の行動を容認する人々から「違憲」判決が出るのは難しいであろう。

しかし、各地の地方裁判所のいくつかで違憲判決が出るだろう。

これは新たな力を付与する。

この安保法案は自衛隊を米軍の戦略のために使用する制度である。

それは当初からの目的である。

ただ、この安保法案を審議していく過程で政府は新要件を加えた。

 2014年7月1日の閣議決定「国の存立を全うし、

国民の生命と平和な暮らしを守るための切れ目のない

安全保障法制の整備について」]および

内閣官房の「『国の存立を全うし、

国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について』の一問一答 」により

次のように定義されている。

1. 我が国に対する武力攻撃が発生したこと、

又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、

これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が

根底から覆される明白な危険があること

2. これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと

3. 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

 政府はもとから、こんな要件を守るつもりはない。単なる方便である。

「我が国の存立が脅かされる」という事態が簡単に起こるはずがない。

 この要件が反対の手がかりになる。

 ただ、最も重要なことは、この安倍政権はあまりにも酷い政権である。

 集団的自衛権、秘密保護法、原発再稼働、消費税引き上げ等。

 これらを嘘と詭弁で実施してきた。

 しかし、国民は明らかに嘘と詭弁に気付き始めた。

7月内閣支持率で、初めて「不支持」が「支持」を上回った。

「安倍政権、おかしいではないか」を国民が築き、

少なくとも安倍政権の打倒を達成することであろう。

それは可能の射程距離の中に入っている。

 国民の世論形成でマスコミの果たす役割は大きい。

今や「安倍擁護宣伝機関」と化したと見られたNHKや朝日新聞が

最終局面で頑張りを見せたことは、若干の救いであった。

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