★政権側も護憲側も日米関係に言及できない馴れ合いー(天木直人氏)

まず、次の言葉を黙ってお読みいただきたい。

 「・・・護憲派でありながら従属的日米関係を変えず、

日米安保条約を維持するとすれば、

結局は『喧嘩に弱いので強い米国にただ乗りしよう』という理屈になってしまう。

これでは『米国に料金を払おう』という、

政府・与党の集団的自衛権行使の理屈に勝てない。

『ただ乗り』と『料金を払う』では、後者が立派に見えてしまうのは当然だからだ。

結局、政権側も護憲派も日米関係に言及できないという、

ある種の『政治的なれ合い』が起きている。

『護憲』というのであれば、『米軍の存在抜きにどうやって9条を維持するか』、

ひいては『国の安全保障をどうするか』ということを真剣に考え、

覚悟を決めて積極的ビジョンを示すべきだと思う・・・

仮に護憲派が憲法9条を『自尊心の核』としたいのならば、

日米関係を変え、日米安保条約をいずれ破棄しなければいけない・・・」

 これは大澤真幸(まさち)という社会学博士が、

労働党の機関紙である労働新聞の8月25日号で語った言葉だ。

 私は左翼に批判的だが、共産党さえも生温いと批判する極左の労働党は、

なぜか私の批判にも寛容で、

彼らが組織する「広範な国民連合」に所属してともに活動してきた。

 そのよしみで労働新聞の配布を受けて毎号愛読している。

 この大澤真幸という学者の政治的立ち位置を私は知らないが、

ここで述べている彼の言葉は、まさしく私が日頃、言っていることだ。

 このような大澤博士のインタビューを掲載するのは、

極左の労働党だからできることだ。

 しかし、この大澤氏の指摘こそ、今こそすべてのメディアが掲載し、

国民的議論をうながすべき時である。

 安保法案が成立しても、しなくても、

日本は必ず日米同盟関係をどうするかという問題に行き着く。

 国会がその議論を避けるとすれば、

まさしく大澤氏が喝破したとおり、政治的なれ合いである。

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