★日米電話首脳会談を報じる記事のウソー(天木直人氏)

日米電話首脳会談を報じる記事を見ていつも思うのだが、

これほど世論を欺く記事はないと思う。

 なぜか。

 それは日米電話首脳会談の内容を知っているのは、

当然のことながら電話会談を首相とそれを傍聴した外務官僚など、ほんの一握りだからだ。

 当然のことながらそれを報じるメディアは政府から教えてもらう内容をそのまま書くしかない。

 そこに政府の情報操作の余地が生まれる。

 直近のケースでは8月26日に行われたオバマ大統領と安倍首相の電話首脳会談だ。

 それを報じる27日の各紙の報道は、その電話会談の内容を次のように書いた。

 韓国と北朝鮮の緊張緩和で合意

 TPPの早期妥結に向けた協力の確認

 世界同時株安への対応

 戦後70年安倍談話の評価

 米政府の日本盗聴問題

 これだけ多くの、しかもいずれも極めて重要なテーマについて、

通訳を入れた片道20分程度の電話会談で話し尽くすことができるのか。

 もちろん、そんな事はあり得ない。

 おまけに電話はいつも米国側がかけて来る。

 すなわち米国は日本に注文をつける必要がある時だけ一方的にかけてくるのだ。

 それではオバマ大統領は何のために電話をかけて来たのか。

 いまごろになってオバマが陳謝してきたということはあり得ない。

安倍首相が日本盗聴について抗議したと言っているが、それはアリバイ作りだろう。

 世界的な株安に対し日米が連携を確認したというが、

米国が日本に期待する事は何もない。株価操作は米国の独断場だ。

そして株価操作で米国が必要するものがあるとすれば、

それは中国の理解と協力である。米国が日本に期待することなど何もない。

 思うに今度の電話会談で米国が日本に伝えたかったのは、

TPP交渉の事だったのではないか。

 もはや8月中の閣僚会議は無理だ。

 米国としてはこれ以上無理をして進めるつもりはないから、

日本がTPP交渉の早期妥結を唱える必要はない、と釘をさしたのではないのか。

 その一方で日米二国間協議で合意された日本の譲歩は確実に守れと行ってきたのではないか。

 その事を8月28日の朝日新聞と日刊ゲンダイが書いていた。

 すなわちTPPの次期閣僚会合の日程が決まらないのは

米国側が早期開催をためらっているからだと(朝日)

 TPP反対派の急先鋒であるレビン下院議員(民主党)の圧力に米国は屈したと(日刊ゲンダイ)。

 これを要するに、今度の日米電話首脳会談でオバマが伝えて来たのは、

もやは米国としてはTPP交渉推進を急がない、だから日本も先走りするな、

と釘を刺したのではないかない。

 その一方で二国間の対米譲歩だけはしっかり守れと行って来たのではないか。

 おそらく私の推測はあたっているだろう。

Reply · Report Post