戦争(平和)教育についての我が家の対応。


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さて、こちらのまとめで取り上げられた私のツイートですが、流れをもうちょっと詳細に書いてみましょう。

時期は10年程前で、課題の現物を自宅に電話して引っ張り出してもらって確認してもらったところ、
『戦争の体験を聞いてみよう&調べてみよう』
と言うタイトルでした。
原爆のきのこ雲や防空頭巾を被ってモンペをはいた子供や旧軍の兵士と思われる服装の男性等のイラストが有り、まぁ、もう初見から
『第二次大戦を日本からの視点で調べましょう』
というのがプンプン臭って来る代物です。
(これが表紙として配布され、製作物の一番上にこれを貼り付ける仕様になっている)

しかし、10年前当時ですら存命の第二次大戦経験者、しかもそれなりの年齢だった人はどんどん鬼籍に入っていて、しかも私も夫もそういった知り合いが身近にいたわけではないので、さぁ困ったな、話を聞くのは無理そうだからネットや本で調べるか?となりました、一度は。

しかし、ふと
『戦争としか書いてないし何処にもどの戦争について調べるとは書いてないし、第二次大戦の日本については授業でやったらしいから、別にアメリカの湾岸戦争の話でも良いんじゃねぇのこれ』
と思い立ち、まぁ課題に取り組むのは息子なので、本人に聞いてみました。

『たぶんこれこれこういう事だと思うんだけど、それだと知り合いもいないからネットとか本でしか調べられないよ。アメリカの戦争の話なら南北戦争は流石に無理だけけど第二次大戦から最新迄語り手幾らでも知り合いいるけど、先生が求めてるのは違うと思う。どうする?』
『日本の戦争の話とか聞き飽きた。アメリカの戦争の話を聞きたい』(息子は日本生まれの日本育ちでした)

はい、決定。

で、そこから友人に情報を流しまくり、『話しても良いよ』という人にアタリをつけて時間を作ってもらい話を聞きに。

新しい方から古い方に行ったんですが、
『え、何それ俺も聞きたい』
という感じで語り手が道中に加わり、第二次大戦経験者に行き着く頃にはちょっした大所帯になったりもしました。

で、その時に語り手にお願いしたのは、
『経験と自分の考えを話すだけにして欲しい、息子に問い掛けたり同意を求めたりしないで欲しい』
という事でした。
息子にも同じ様に
『相手の話を、ただ聞きなさい。そして、自分自身で考えなさい。それが間違っているか正しいかは問題じゃない、お前が、お前自身でどう考えるか、その過程が何よりも大事なんだよ』
と言いました。

結果出来上がったものは短く纏めると

『どの国も夫々の理由が有って、自分達の為に戦争をしたという事が分かりました。何が正しいかは僕には分からないし、色んな人がいたら色んな意見が有るので、どの人が正しいって決めるのは無理だと思いました。でも、どうして戦争になったのかとかその後どうなったのかとかをちゃんと調べて皆で考えれば『次はこうすれば良い』とか『こういうのは止めよう』って納得出来るかも知れないし、それで仲直り出来るすか知れません。だから、僕は日本の事だけじゃなくて色んな事を調べて聞けて良かったです』

といった感じ。
一言言っておくと、私も夫も一切助言はしていない、息子が意見を求めて来た時にも
『自分一人で考えなさい、それが大事』
と突き放してこれ。

語り手も戦争全肯定なわけでもなく、かと言って全否定なわけでもなく、自分が見た事した事感じた事をそのままに語ってくれていて、まぁ勿論そこに感情が無いわけではないですが。
当然、引用した話や息子の記述にも『これは教師からしたら面白くないなー』という箇所は幾つも有りました。

で、無事に仕上がり夏休みが終わり、課題提出。

そしたら呼び出しですよ、担任から。

まぁ大体そうなるんじゃないかと予想はついてましたが、夫婦して学校へ。

・空気読め、第二次大戦の日本の話に決まってんだろ
・戦争は悪い事なんだから肯定的な意見は良くない、親はどんな教育してるんだ
・戦争の話なら米軍の被害者の話を聞くべき
・第二次大戦の授業をした後なのに何で現代の戦争なのか

等々、『あー、まーそうですよねぇ』みたいな事を言われました。
で、担任の言い草に静かにキレたのが夫。
こちら、怒らせると私よりも面倒臭い性格をしていまして、私には何も言うなと言って反論を始めました。

・空気を読めと言うが、導きたい方向性が有るのなら最初からそれを提示すべき
・『戦争』という大きな括りだけをポンと出して第二次大戦限定とはおかしくはないか?第二次大戦の話だけを扱いたいのであればそれも最初に提示し範囲に制限を設けないのは何故なのか、戦争が第二次大戦以降起きていないとでも思っているのか?
・戦争が『無ければそちらの方が当然良い』事態である事に異論は無いが、戦争経験者の話を聞いて来い調べて来いとだけ言っておい、てそれに出て来た意見を良い悪いで分けて悪いとされる意見を黙殺しろとはどういう事なのか
・被害者の話だけを聞いて来いと言うのであれば、最初からそう指定しないのは何故なのか
・第二次大戦を授業でやったと息子が言っていたので、学校で教わった事に肉付けをさせようと考えるのはいけない事なのか、学校でしっかり習ったと聞いたから先生を信用して第二次大戦以外の事も学ばせただけだ

担任が言い返せばそれを聞き終わるなり即座に反論、相手が言葉を遮ろうとしたら
『話は最後迄ちゃんと聞きなさい』
とぴしゃりと言って退け持論を展開。
もうね、担任が段々苛々してくるのが見てて分かりましたね。
鬱陶しいんだ、アレ、凄く気持ちよく分かる。

んで、最終的に
『ここは日本だ!日本の戦争だけを学んで反省してれば良いんだ!!家族揃って見た目日本人のくせにアメリカ人とかいい気になるな!!そんなにアメリカが良いならアメリカに行け!!』
みたいな事(要約)を言い出したので、もう話になんねぇなと夫婦揃って退席。

その後担任が息子を
『息子君はアメリカ人だもんねぇ。あっ、こんな事言ったらお父さんにまた怒られちゃうかな』
とか執拗にいじるようになったので、もうこりゃここにいる理由も無いなとなり、息子本人も
『もっと英語話せるようになりたいし、友達とはメールとかスカイプでいつでも話せるし、アメリカでも勉強したい』
と言うので、日本での生活を切り上げて本国へと渡った次第。

一連の流れで、自分達が正しかったとも思ってないけど、間違っていたとも思ってないんですよね。
息子の言った通り、色んな人間がいればその数だけ意見も有るんだし。
ただ、あの経験が息子の人生にプラスに働いたのであれば、親としてはそれでもう満足なのです。

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