★対日宣戦布告を日本政府に届かないよう妨害していたソ連ー(天木直人氏)

史実のを知ることの重要性についての三番目のメルマガはこれだ。

 きょう8月9日の産経新聞が一面トップで大スクープを書いた。

 英国立公文館所蔵の秘密文書で分かったという。

 すなわちスターリンのソ連は、1945年8月9日に、

突然日ソ中立条約を破って対日戦争に参戦したが、

その宣戦布告を伝えられた佐藤尚武駐ソ連大使が本国政府に宛てた公電が、

ソ連当局に遮断され、日本政府に伝わっていなかったというのだ。

 ただでさえ中立条約を一方的に破ったことで日本を裏切ったソ連が、

その通知が日本に届くことを遅らせる妨害工作まで行っていたのだ。

 二重の意味で背信行為を行ったことになる。

 なぜ佐藤大使が公電で伝えたものが日本政府に届かなかったのか。

 その産経新聞は要旨こう書いている。

 ・・・モロトフ外相はクレムリンを訪れた佐藤大使に宣戦布告文を読み上げ手渡した。

モロトフ外相が暗号を使用して東京に連絡することを許可したため、

佐藤大使はただちにモスクワ中央電信局から日本の外務省本省に打電した。

しかし、外務省欧亜局が作成した『戦時日ソ交渉史』によると、

モスクワ中央電信局は受理したにもかかわらず、

日本電信局に送信しなかったため、この公電は外務省本省に届かなかった。

日本がソ連の宣戦布告を知るのは、

ソ連が武力侵攻を開始してから4時間がたっていた。

タス通信のモスクワ放送や米サンフランシスコ放送などから参戦情報を入手したという・・・

 驚くべき記事だ。

 英国秘密文書でソ連の二重の背信が明らかになったことも驚きだが、

日本の外務省が検証して、それを知っていたことはもっと驚きだ。

 ソ連の背信行為をやすやすと許す責任は日本側の油断にあったのだ。

 そこまでソ連を信じていたということなのか。

 あまりにも恥ずべきことだと見えて、外務省は日本国民に隠して来たのだ。

 これではソ連に北方領土を取られるはずだ。

 すべては日本外交の無能さがもたらした国益の損失だ。

 そして日本外交の無能さは戦前から始まっていたということである。

 これでは北方領土の返還など夢のまた夢だ。

 産経新聞のスクープ記事は、そのこともまた教えてくれている。

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