★昭和天皇がここまで政治・外交に関与していたとは衝撃的だー(天木直人氏)

これも私が知って驚いた歴史の一断面だ。

 昭和天皇が安保条約成立の過程で

マッカーサーと何度も二人だけの会談を重ね、

吉田外交を出し抜いて天皇外交をしていたことは、

豊下楢彦教授の名著「安保条約の成立ー吉田外交と天皇外交」(岩波新書)で知った。

 新しい日本国憲法ができて象徴天皇として政治にかかわらないことになった後も、

かくも重要な外交に繰り返し携わっていたことは驚くばかりだ。

 そう思っていたら、

もっと衝撃的なスクープ報道が7月31日の東京新聞に掲載された(北京発時事)

 すなわち、秘密指定解除された米国務省の外交文書によれば、

昭和天皇が佐藤栄作首相(当時)に対し、国連代表権問題で、

「日本政府がしっかりと蒋介石(台湾)を支持する」ように促していたというのだ。

 いうまでもなく日本は米国と一緒になって二つの中国を推進したが、

最後は国連総会決議に従って中国を唯一の代表と認めることになる。

 占領時代ならまだわかる。

 しかし、1970年代にもなっているのに、昭和天皇はここまで外交に関与していたのだ。

 あたかも昭和天皇は新憲法によって象徴天皇になったことを認識していないかのごとくだ。

 そして、とどめを刺したのが、

発売中の週刊新潮夏季特大号(8月13・20日号)における「特別読物」

「英国情報工作員とも引見した『昭和天皇』復興のインテリジェンス」に書かれていた、

昭和天皇の八面六臂ぶりである。

 ジャーナリスト徳本栄一郎氏の手になるその記事は、

昭和天皇が国際情勢に非常な関心を抱き、

ローマ法王から海外のインテリジェンスに至るまで、

幅広く接触して情報収集に努めていた史実を教えてくれている。

 我々は昭和天皇のこの行動と、

それを容認していた政府、宮内庁をどう考えたらいいのだろうか。

 憲法99条は天皇を含めたこの国の指導者たちに

憲法遵守義務を課しているのではなかったか。

 知らされていない史実はあまりにも多いに違いない。

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