★「すべては下山事件から始まっている」という衝撃の書ー(天木直人氏)

私は最近ますます無力感を抱くようになった。

 この世の中はちょっとやそっとの事ではどうにもならない大きな権力が働いていると思うからだ。

 官僚を35年間経験して来たからそれがわかる。

 総ぐるみの権力の凄さを。

 民主党の政治家の最大の誤りは、権力の凄さに酔い痴れて舞い上がった一方で、

権力を使った経験のない者たちが、権力の凄さにおののいたからだ。

 もしあの時、返り血を浴びる覚悟で自民党政権のおかした罪を

すべて情報公開したなら、国民の怒りを買って、

自民党は二度と政権を取ることは出来なかったに違いない。

 それが出来なかった時点で民主党政権の失脚は必然だった。

 私がなぜこのような事をいきなり書いたか。

 その理由は、発売中の週刊プレーボーイ8月3日号に驚くべき記事を見つけたからだ。

 すべてがあの下山事件から始まっている。

 つまり安保法制も、原発も、今の日米関係の利権構造はすべて下山事件から始まっている。

 こう断言する人が下山事件に関する小説を出版したという。

 すなわち柴田哲孝という作家が戦後最大の謀殺ミステリーである

1949年に起きた国鉄総裁下山定則氏の轢死が、

自殺ではなく米国GHQの謀殺だという小説「下山事件 暗殺者たちの夏」(祥伝社)を

出版したというのだ。

 柴田氏はやはり祥伝社から「下山事件完全版 最後の証言」という本を書いている。

 この二つの本を合わせ読めば、あの下山事件は実は自殺ではなく

謀殺だったということがわかるという。

 なんといっても著者の柴田哲孝氏が、下山事件の首謀者の孫というのだ。

 祖父が下山事件の実行犯グループに絡んでいたと大叔母(祖父の妹)から聞かされ、

衝撃を受けて独自に調べて書いた本だというから迫力がある。

 調べる過程で次々と当時の関係者からそれは違う、本当はこうだ、

などと証言が寄せられたというから凄い。

 その柴田氏が、すべては日米関係の利権構造から来ている、

70年経った今も同じだ、下山事件は日本の戦後史の分岐点だと言っているのだ。

 それが事実だとすればすべてに合点がいく。

 ちょっとやそっとの事では日米同盟と言う名の日米利権構造は崩れない。

 その利権構造は政権交代をしたぐらいでは微動だにしない。

 そう思えてならないから無力感を覚えるのである。

 私が書き続けていることは、とてつもなく無謀な事かも知れないのである。

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