★目に余る安倍外交報道の混乱ぶりー(天木直人氏)

9月に安倍首相が訪中し、三回目の首脳会談を行う見通しとなった、

そのお膳立てとして谷内正太郎NSC事務局長が訪中し厚遇を受けた、

そう喧伝されたのはつい一週間ほど前の事だった。

 しかし、わざわざ書き直させた防衛白書が中国の脅威を強調し、

これに中国が激怒して非難の応酬となっている。

 おまけに中国の東シナ海油田開発の再開問題が急浮上して日中関係が緊張している。

 挙句の果てに、きょう7月23日の毎日新聞が一面トップで書いた。

 安倍首相が9月の抗日戦勝記念式典に参加しなくとも

中国は安倍首相の訪中を歓迎するが、

その前提として三つの条件を飲めと中国側が訪中した谷内局長に提示していた事がわかったと。

 すなわち、日中関係を規定する過去の4文書の遵守、

村山談話の踏襲、靖国不参拝の約束、これである。

 いずれも安倍首相の飲めないものばかりだ。

 安倍首相の下で果たして日中関係は改善しつつあるのか、ないのか。

 同様の事は対ロ外交でも言える。

 プーチン大統領の年内訪日について動き出したと報じられたのはついこの間だ。

 しかしその直後にロシアが流し網漁禁止を発表し、日本漁船が拿捕された。

 プーチン大統領訪日の最大の目的は北方領土問題の解決であるが、

ロシアの保健相が色丹島を訪れ実効支配を誇示している。

 対ロ外交は進むのか、停滞したままなのか、どっちだ。

 いずれも、私には本当のところはわからない。

 それを判断する確たる情報など得られるはずがない。

 しかし、ひとつだけはっきりしている事がある。

 ここにきてあらゆるメディアの世論調査で不支持率が支持率を上回るようになった。

 いつ倒れるかわからない不透明、不安定な政権を相手に、

譲歩など決してしない、というのが外交の鉄則だ。

 外交で大ばくちを打って点数を稼ぐというのは、行き詰まった弱体政権の常だ。

 こう考えた時、報じられる安倍外交は、

実態から離れた安倍政権のパフォーマンス外交の可能性が高いと考えるのがまともな考えだ。

 検証努力を怠り、外務省が意図的に説明する情報をそのまま垂れ流すメディアこそ、

混乱した安倍外交の合わせ鏡である。

 安倍外交の混乱は安倍首相の自業自得だが、

それにつき合わされて騙される国民はたまったものではない。

 メディアの大罪を追及すべきである。

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