【日本語訳】 VOGUE 8月号 ジュンス インタビュー①




記者:公演が始まって3週間目となった。「デスノート」のLの役にはもう慣れてきたか。

ジュンス:だんだん慣れていく気がする。実は、最初は心配した。あまりにも原作ファンが多い作品だから。しかも前の「ドラキュラ」や「エリザベート」は、「これはミュージカルだ」という感じがする作品だったから。だけど「デスノート」は原作があるし、キャラクターも確実に設定されていて、そのトーンに合わせていかなきゃいけないという負担があった。既存の雰囲気に反することがないと同時に、コスプレのような感じはしないようにする必要があった。

記者:実は公演を観て、体重をかなり減らしたなという印象を受けた。すごく細く見えたから。なのに、今日撮影現場でこうやってみると、そうでもない気がする。

ジュンス:舞台では引きこもりのようなメイクをしてるし、服もぶかぶかだからそう見えたかもしれない。姿勢もできるだけ小さく見えるように、猫背にしてるから。そのおかげで最近、太ももの力が強くなった。今はむしろLの姿勢のほうが楽だ(笑)。

記者:「デスノート」はもともと月とLの戦いがメインになる。なのに、Lは公演が始まって40分も過ぎてから登場する。いったいいつ登場するのかなと思った。

ジュンス: 月が中心となって始まるストーリーなので、確かに月というキャラクターのほうが目立つ部分がある。前半のところでは優等生で、だんだん「悪」になっていく過程も明確に見えるし。演技的に、見せるところの多い役だと思う。

しかし、Lもメリットがある。彼は成功率100%の名探偵で、天才だ。今まで自分の相手になるような敵にあったことがなかったけど、月に会って初めて同等な相手だと感じる。それで、最初は敵だと思うけど心のどこかでは、自分と同等な人への憧れというか、一種の愛を感じる。同性愛のような愛ではなく、同情や憧れからくる感情を。(Lは)事件を解決していく役だけど、それと同時に(事件を)ゲームのように認識し、それを楽しむ人物だ。


記者:最初からLの役をしようとしたのか。月のほうが比重が多いため、ファンからすると惜しいと思うかもしれないけど。

ジュンス:もちろん比重のことを考量しなかったわけではない。いくら比重よりも役とインパクトが重要だとしても、始まって40分後に登場するのは遅すぎるから。会社も月を勧めた。

でも、よく考えてみたら、月はもっと歳をとってからもできそうな気がしたけど、Lは今じゃないとできないかもと思った。今の歳を過ぎてから、ビジュアルという観点で、僕がLらしい雰囲気を出すことができるかな。こういう悩みだった。

そして、「デスノート」は男性俳優ふたりがツートップになって、緊張感溢れるエレルギーを発散しなきゃいけない作品なのに、僕が月を演じることになると、じゃあLは誰が?とも思った。僕より年下の俳優に似合いそうな気がするけど、正直に言って頭に浮かぶ俳優がいなかった。僕がLを演じると仮定したときは、月に似合いそうな優秀な俳優さんが何人か想像できたのに。「デスノート」はうちの会社で製作する作品なので、こういう全体的な図も考慮した。


記者:ホン・グァンホとの共演も話題になった。今はだいぶ親しくなったのか。

ジュンス:とても親しくなった。本当に嬉しすぎる。実は、僕は40分後に登場するから、月はその前まで上手くやってくれる俳優さんだったらいいな、と思ってた。普通、ふたりの俳優がツートップになる作品は、相手より自分が目立ちたいと思いがちなのかもしれないけど、僕はグァンホヒョンと共演できて本当に幸せだ。40分間、楽屋で(舞台を)モニタリングしてから登場するけど、グァンホヒョンのお芝居を観ながら「本当によかった」「ヒョンが(月を)やってくれてよかった」と思う。


記者:(ジュンスさんにとって)「デスノート」が6回目のミュージカル作品だが、ホン・グァンホさんはミュージカルの分野ではトップだ。「負けてはいけない」という負担もあったか。

ジュンス:負けることへの負担は、全くない。仮に負けるとしても、僕は実力のある人と共演したい。これは、これからもぜったい変わらない。公演というのは、俳優が舞台でどれだけ楽しんでいるか、幸せだと感じているかが客席までそのまま伝わるものだと思う。だから僕は今回のキャストにすごく満足している。僕は実力のある人と働くとき幸せを感じるし、自分の持ってる能力以上のものを発揮できるようになる。


記者:ツイッターに、「飴のせいで困っている」と書いてあったが。

ジュンス:甘いものは好きじゃない。なのにLはいつもキャンディーをなめているから、大変だった。毎回2つずつ使うけど、シーンが終わると、すぐ捨てている(笑)。

記者:年に一つの作品に出ていて、今回でもう6回目になったが、ミュージカルの楽しいところは?

ジュンス:僕はもともと歌を歌うときも、テクニックよりは感受性、感情に集中して心から歌うことが大事だと思っている。だけどそれが度を越えてしまうと、毒になる。一線を守ることが重要だ。だけどミュージカルでは自由になれる。もっと表現してもいい分野だ。「ドラキュラ」の「Loving you keeps me alive」を何回も歌ったけど、舞台でミーナに向かって泣きながら歌っていたあのときがベストだったと思う。その瞬間の自分の感情を思いっきり表現してもいいという点が、ミュージカルのいいところだし、それがすごく楽しい。


記者:ミュージカルをしながら発声に変化はあったか。個人的には、切実な感じ、切ない感じがさらに濃くなった印象を受けた。聞いた話では、歌手のイ・ソンㇶさんが 「キム・ジュンスの声にはドラマがあって好きだ」 と言ったようだ。

ジュンス:Oh my God! (イ・ソンㇶさんは)本当に大好きな先輩だ。ドラマチックな感じや切ない感じは、確かにミュージカルを始めてからさらに濃くなった気がする。ミュージカルでは、例え悲しくて声が出なくなっても、その感情そのものが歌よりも美しいものになるから。
例えば「愛してる」というセリフが、悲しさのあまり、「愛...」までしか出なくなっても、むしろミュージカルではそのほうがさらに感動を与えるときもある。音程などを気にせずに叫ぶシャウティングとかも、普通の舞台だと「どうかしたのかな?」と思われるけど、ミュージカルではそれができる。


記者:「デスノート」はワンキャストであるため、毎日公演をしているが、体力的には大丈夫なのか。

ジュンス:今までは特に問題ない気がする。体調管理にはいつも気をつけているから。ただ少し後悔していることは、ワンキャストなので公演場に行くたびに毎日学校に登校しているような気分になることかな?(笑)。ソンナムアートセンターじゃなくて、ソンナムにある学校に通っているような気分だ。



②に続く

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