★南シナ海問題で手を打つ米中と、はしごを外される日本-(天木直人氏)

中国が突然発表した。

 南シナ海で建設していた人工島作業計画を完了したと。

 撤回ではない。

 完了なのだ。

 私が注目したのは、これを報じる各紙の記事が、

これを中国が米国との摩擦回避に動いたと、一斉に書いていることだ。

 各紙がそう書いたということは、米国と中国との間で妥協がはかられつつあるということなのだ。

 米国は基地建設を撤回させることなどもはや不可能と考えている。

 これ以上中国が軍事的に拡大することをとりあえず阻止すればいいのだ。

 そして中国はその米国の要求に応じたということだ。

 これで9月の習近平訪中に向けて米中協議が加速するだろう。

 急速にレーム・ダック化するオバマ政権にとって、それ以外の選択の余地はない。

 オバマ政権にとって最優先は、中東のテロとの戦いであり、

ウクライナを巡るプーチンの欧州に対する軍事攻勢を抑えることだ。

 いずれも中国の協力が不可欠である。

 中国と軍事的にこれ以上敵対する余裕はオバマにはない。

 日米同盟強化で習近平の中国と張り合って来た安倍首相は梯子を外されたのだ。

 中国の南シナ海における基地建設計画作業終了宣言を大騒ぎして

日本のメディアが報じるのは、そういう背景があるからだ。

 メディアもまた安倍首相とともにオバマの米国に振り回されているということである。

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