★集団的自衛権行使容認の根拠の砂川判決を繰り返す政府見解の愚-(天木直人氏)

安倍自公政権は、あくまでも安保法制案は合憲であると突っぱねるつもりだ。

 きのう6月9日、野党に対し政府見解を提出したらしい。

 もちろん、突っぱねろという私の助言に耳を傾けたわけではない。

 安倍・自公政権としてては、ここで譲歩し、少しでも違憲性を認めたら終わりだからだ。

 面白くなって来た。

 この安保法制案の合憲、違憲をめぐる論争は、最大の政治問題になってきた。

 野党側はどう迎え討つのだろうか。

 私なら真っ先に合憲の根拠に砂川判決を持ち出した政府見解のオウンゴールを衝く。

 きのう提出された政府見解に、

合憲の根拠に1959年に下された最高裁の砂川判決が明記されている。

 これを知った私は、飛んで火にいる夏の虫だと思った。

 その理由を、きょう6月10日の東京新聞が書いた。

 すなわちあの砂川判決そのものが無効なのだ。

 東京地裁の伊達判決、すなわち在日米軍は違憲であると断じた伊達判決を差し戻した

田中耕太郎最高裁長官の砂川判決について、

現在、当時の元被告らが再審請求訴訟を起こしていることは知られていない。

 その訴訟を起こした当事者の一人である土屋源太郎さんが、

「まだ、そんな馬鹿なことを言っているのか」と怒っている。

 あの砂川判決を田中耕太郎が下した裏には、

田中耕太郎がマッカーサー駐日米国大使と内通して、

司法権の独立を放棄していたことが米国の機密文書解禁で明らかになった。

 とんでもない司法権の放棄だ。

 「法の支配」の逸脱だ。

 それを最高裁長官がみずからおかしていたのだ。

 そのような判決自体が無効であり、憲法違反なのだ。

 このような驚くべき事実を誰も知らない。

 メディアがそれを報じないからだ。

 しかし、安倍政権が安保法制案の合憲性を主張する根拠に砂川判決を持ち出したことで、

いやでも砂川判決の再審請求が日本国民に知れ渡ることになる。

 東京新聞が書いた以上、ほかのメディアも書かざるを得ない。

 書かなければ土屋源太郎さんらが騒げばいいのだ。

 伊達判決が54年後に蘇り、こんどこそ、日米安保体制の違憲性を国民に知らせることになる。

 それにしても、二度もオウンゴールをおかす安倍自公政権は、

なんと愚かで軽率な政権であるのだろう。

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