★国民は安倍首相の海外での言動を正確に知る必要があるー(天木直人氏)

サミットの報道の中で安倍首相の発言が気になる。

 およそ不毛な今回のサミットであるというのに、

そしてそのとりまとめの苦労は議長国のメルケル首相であるのに、

なぜか安倍首相が積極的に発言をして会議に貢献しているような報道が目につく。

 それが取材に基づくものではなく、

あらかじめ外務省から用意されていた御用資料に基づいた作文ならまだ害は少ない。

 しかし、もし本当に、

報じられるような言動を安倍首相が各国の首脳の前で行っていたとしたら大問題だ。

 中国包囲網をみずから率先して言いふらし、

アジアインフラ投資銀行に関する発言に至っては、

「参加を表明した国々を批判するつもりはない」などといって、これ以上ない批判をしている。

 ことほど左様に、頻繁に外遊する安倍首相が海外で何をしゃべっているか、

国民は正確に知る必要があるのだ。

 たとえば少し前の事になるが、安保法制の与野党合意を論じた5月12日の朝日新聞の

「戦後日本の危うい岐路」という社説の中で、次のようなくだりがあった。

 安倍首相がどんな日本の将来を描いているか、

その一端がうかがえるスピーチを訪米時にしていたというのだ。

 すなわちワシントンの研究機関の会合で演説した安倍首相は、

「私の外交安保政策はアベノミクスと一体だ」と切り出した上で、

アベノミクスによってデフレ経済を脱却し、国内総生産(GNP)を増やせば、

「当然、防衛費をしっかり増やしていくことになる」と語ったというのだ。

 これは国民として看過できない発言である。

 朝日はその社説をこう締めくくっている。

 「あたかも『富国強兵』の再来を願うかのような高揚感が見て取れる。

安保法制だけの問題ではない。将来の日本の道筋に関わる問題である。

戦後日本はいま、きわめて危険な岐路に立っている」と。

 そんな悠長な事を社説で書いている場合ではない。

 日々の重税と社会保障負担であえいでいる国民が安倍首相のこの発言を知れば怒り出すだろう。

 安倍首相は国民の前でこんな事が吐けるか。

 国民に対しては決して言えない事を、米国の前で、迎合するかのように話すダブルスタンダード。

 メディアの使命はそれを糾弾して国民を覚醒させることである。

Reply · Report Post