★憲法学者の違憲発言を安倍政権打倒に生かせない日本の政治-(天木直人氏)

安保法制案は違憲だと断じた憲法学者の国会証言を受けて、

続々と憲法学者が違憲の声を上げ始めた。

 いいことだ。

 安保法制案は違憲だという声がどんどんと国民の間に広がっていけば、

安保法制案は今度の国会での成立はむつかしくなる。

 たとえ廃案に追い込めなくても、もし今度の国会で成立させられなければ安倍首相は終わりだ。

 なぜなら米国で成立を約束してきたからである。

 だからこそ、安倍首相は夏までの成立にこだわるのだ。

 だからこそ、菅官房長官にしても、二階総務会長にしても、

さらには山口公明党代表でさえ、およそ安倍自公政権は、

政権ぐるみで安保法制案は違憲ではないといい続け、

今度の学者の発言ハプニングを、ことさらに封じ込めようとしているのだ。

 それに対し、野党の動きがあまりにも鈍い。

 なぜか。

 本気で安保法制案に反対すれば、安倍首相は解散・総選挙に打ってでるからだ。
 
 今、総選挙をすれば自公は勝てるからだ。

 野党は準備不足で勝てない。

 だからこそ、野党は安倍政権を本気で追い込めないのだ。

 そうは言っても、安倍自公政権も、できれば解散・総選挙は避けたい。

 勝てると思っても、やはり選挙は何が起きるかわからないからだ。

 かくて、週明けからは、自公政権の攻勢が、猛烈な勢いで始まるだろう。

 すなわち、安保法制案は決して憲法違反ではないという説を、

あらゆる屁理屈を並べて流し、メディアがそれに加担し、

再び不毛な憲法論議に明けくれ、メディアがその議論に加担し、

かくして国民がけむに巻かれてしまうことになる。

 本来ならば一気に倒閣運動につながるところを、

安保法制案は違憲か合憲かという無意味な議論が始まり、

いつもの通り議論がかみ合わないまま終わる。

 ここまで憲法学者によって違憲性がはっきりした安保法制案であるというのに、

安倍政権の手で成立させられてしまうのだ。

 この不条理と怒りが、

いやが上でも新党憲法9条の結党を促してくれることになると私は期待している。

 やはり既存の政治から脱却した、まったくあたらしい国民政党をつくらなければいけない。

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