★憲法9条が安倍首相に退陣を迫る時が来たということだ―(天木直人氏)

国会で参考人招致された3人の憲法学者が、そろって安保法制案は憲法違反だと証言した。

 なかでも政府・自民党から推薦された長谷部恭男早大教授が、

戦争法だとまで形容してその違憲性を断じたのは衝撃的だった。

 このハプニングは、間違いなく今後の安保法制案の行方に大きな影響を与えざるを得ないだろう。

 ひょっとすると今度の国会での法案成立は困難になるかもしれない。

 そうなると安倍政権は終わりだ。

 それをおそれて安倍首相は強行採決を急ぐかもしれない。

 そして国会が止まれば解散・総選挙だ。

 いまなら選挙に勝てると思って解散・総選挙をし、

そして勝った、あの再現を安倍首相が夢想してもおかしくはない。

 たとえそこまでの極端な動きにならないとしても、

今度のハプニングは、多くの問題を提起してくれた。

 私は長谷部恭男という憲法学者のこれまでの立ち位置をよく知らないのだが、

政府・自民党に推薦され、それを引き受けておきながら、なぜあそこまで言い切ったのか。

 もし安保法制案が廃案・もしくは修正という事になれば、彼こそ最大のヒーローである。

 なぜ政府・自民党はそのような人選をしたのか。

もっとゴリゴリの御用学者は山ほどいたはずなのに。油断があったに違いない。

 野党はこの敵失をどう活かせるか。これで廃案に追い込めなければ、それこそ国会なんて不要だ。

 万が一安保法制案が整理しても、違憲訴訟に弾みがつく。

そして違憲訴訟は今度は勝てる。

なぜなら、それでも最高裁が違憲判決を退けるなら、その時こそこの国の司法は終わるからだ。

 ただでさえ最高裁は砂川判決再審請求訴訟によって追い込まれているのだ。

 このように考えて行くと、

今度の三人の憲法学者の国会証言が如何に大きな意味を持つものであったかがわかる。

 しかし、私がこのメルマガで最も大きな声で強調したい事は、

この国会証言を知った後で開かれた菅官房長官の記者会見での言葉だ。

 「違憲という指摘は全くあたらない」と言い切った。

 いつから彼は憲法学者の権威になったというのか。

 もちろん、これは憲法学者としての菅官房長官の言葉ではない。

 安倍政権に不利な事はすべて否定する安倍政権の守護者を気取る政治家としての言葉だ。

 これまで、あらゆる場面で見て来た、菅官房長官の政治的ウソ発言だ。

 しかし憲法9条を否定してはお終いだ。

 今度こそ菅官房長官を吊し上げなければいけない。

 それは、とりもなおさず、驕り高ぶった安倍政権を権力の座から降ろす事である。

 今の政治にできない事を、憲法9条がついに我々に命じたということである。

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