★米(軍)との協力ならOKの空気蔓延、
「米軍支援の大会に3大学 軍事研究禁止の東大黙認」―(孫崎享氏)

A:事実関係(3日東京新聞)

米海軍が資金提供して開催された無人ボートの技術を競う国際大会に、

東京大学など国立三大学の工学部学生チームが、資金援助を受けて参加していた。

三大学のうち、軍事研究への関与や軍事関連組織からの援助を原則禁じている東大では、

米軍関与を認識しつつ参加を黙認。

米海軍は理系の学生への支援は「(将来)米国や軍に利益をもたらす」としている。

 参加したのは、二〇一四年十月にシンガポールで開かれた無人ボートの国際大会

「マリタイム ロボットX チャレンジ」の第一回大会。

米海軍海事技術本部(ONR)などが資金を出し、

米国防企業が加盟する米国際無人機協会(AUVSI)などが運営した。

日本からは東大のほか東京工業大、大阪大が出場。

参加した日米韓など五カ国計十五大学の学生チームは、

それぞれ八百万円相当の支援を受け、無人ボートを開発、その性能を競い合った。

各チームが受け取ったのは、

ONRが開発した全長四メートルの船体(五百万円相当)と三百万円の資金で、主催者側の負担はこれだけで一億二千万円に上った。

 関係者によると、三大学の学生らはそれぞれ、

工学部の教授や准教授から大会参加を呼びかけられて、チームを結成した。

 このうち工学部システム創成学科の准教授の勧誘で結成された東大チームは一四年春、

大学の水槽施設を利用して、無人ボートの開発を計画。

米軍関与の大会だったため、

同学科では軍事研究禁止の原則との関係を教員会議で議論した。

その結果、「大会は最先端技術の習得が目的」とする准教授の主張を受け入れ、

施設利用を認めた。この際、大会参加の是非については議論しなかったという。

 大会では、米国チームが優勝、日本では大阪大の六位が最高だった。

ONRはこの大会のために一二年に一括で五百万ドル(約六億二千万円)を支出し、

このうち二百四十万ドルが既に使われたとしている。

 学生チームへの対応について東大広報は

「軍事研究禁止の方針に変更はない」としたうえで、

「米海軍機関がスポンサーに加わっているが、もの作りの力を競う大会であるため、

施設利用を承認した。大会参加は学生の自主性を重んじた」とコメントしている。

◆軍を担う学生採用視野

 大会を支援したONRのボブ・フリーマン広報担当補佐官の話 

われわれは、軍の将来を担う科学者やエンジニアを、

投資した学生の中から採用することも視野に入れている。

将来のために理系の学生には積極的に投資していく。

 <東大の軍事研究禁止の原則> 

大学の最高意思決定機関である教育研究評議会での学長発言を通じて

引き継がれてきた東大の戦後の基本原則の一つ。

1959年の評議会で、

当時の茅誠司学長は

「軍事研究はもちろん、軍事研究として疑われる恐れのあるものも一切行わない」と表明。

67年には、大河内一男学長が「外国も含めて軍関係からは研究援助を受けない」とした。

しかし昨年12月、大学院の情報理工学系研究科は、

「一切の例外なく禁止」という文言をガイドラインから削除した。

 B:

・ 「三大学の学生らはそれぞれ、

工学部の教授や准教授から大会参加を呼びかけられて、

チームを結成した」とあり、単なる学生の参加ではなく、大学の寛容はある。

・従来東大は、

「軍事研究はもちろん、軍事研究として疑われる恐れのあるものも一切行わない」と表明、

こうしたこともあって、自衛隊員の修士課程入学を原則求めない等慎重な姿勢を持ってきた。

・方針の変更は米軍との協力を視野に入れての物である。

・米国従属の姿勢は、今、いたるところで強化されてきている。

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