★翁長沖縄知事の最善、最強のブレーンはカズニック教授である―(天木直人氏)

米国との交渉は、我々よりも米国のことを知り、

そして影響力のある米国人の識者を味方にすることだ。

 その観点から、私はかねてから翁長知事の沖縄に助言したいと思っていた。

 「語られない米国史」で米国の原爆投下の真実を明かした

オリバー・ストーン監督とカズニック・アメリカン大学教授のコンビこそ、

翁長沖縄知事が三顧の礼をもって協力を求める米国人であると。

 その中でも歴史学者としてのカズニック教授の果たす役割は圧倒的に大きい。

 そのカズニック教授が、きょう6月2日の朝日新聞オピニオン欄でインタビューに答えている。

 その内容は日本人にとって必読だ。

 彼は言う。

 私とオリバー・ストーンが「語られない米国史」のプロジェクトを始めたのは、

彼(オリバー・ストーン)の娘の高校教科書の広島・長崎についての記述が

原爆投下を正当化するひどいものだったからだと。

 トルーマンが原爆投下したのは、

無駄な犠牲をこれ以上増やさないという人道的なことではなく、

ソ連が参戦する前に日本を降伏させたかったという外交的な現実主義であったことは、

多くの歴史的資料で明らかにされていることであり、

多くの米国人は、それを知らないまま「原発神話」を信じ込まされているのだと。

 私が注目したのは彼の次の言葉だ。

 すなわち、「語られない米国史」に対する批評の85%は

極めて好意的であると断言しているところだ。

 その一方で、これを嫌う保守派はもちろんいるが、

ヒラリー・クリントンらに代表されるベトナム戦争を支持した民主党の「冷戦リベラル」も

批判的だ、と述べているところだ。

 そして、学生時代は反核行進に参加し、

就任直後のプラハ演説で核兵器のない世界を訴えたオバマ大統領は、

いまや正反対の行動をしている、偽善的なことだ、と批判しているところだ。

 何よりも私が注目したのは、米国の若者は原爆についてほとんど知らないが、

若者は核兵器について批判的であり、もっと知りたいと思ってる、

イラン、アフガンの戦争を経て厭戦気分になり、

リビア、シリア、イエメンと続く戦闘にうんざりしている、

だから広島、長崎の原爆投下にも心を開いてくれると信じている、と述べているところだ。

 こう書いていくと、カズニック教授は反原爆に最大の関心を持っていると思われがちだ。

 広島、長崎の反核運動たちこそカズニック教授を味方につけことが先だ、と多くの者が考えるだろう。

 しかし、彼らは沖縄問題にも熱心である。

 そして辺野古移設こそ、核廃絶より喫緊の日米間の外交課題である。

 辺野古移設を止められれば、対米自立の第一歩になる。

 対米自立の究極の到達点は、米国の核の傘からの自立であり、

日本が本気で核廃絶を訴えられるようになることである。

 翁長知事の沖縄は、広島、長崎と一緒になって、

カズニック教授を三顧の礼で最善、最強の味方に招き入れ、

米国との正しい交渉に臨むべきである。

 自立した平和国家日本を取り戻す時である。

Reply · Report Post