6/27(土)開催の猫町UG@名古屋 課題本の「O嬢の物語」の完訳版(高遠弘美訳 )を編集担当をされた幣旗愛子さんから完訳版の読みどころを教えて頂きました。 


第一部のあと、Oがどうなったか。あなたは真実を知りたくありませんか?
この完訳版には、ほとんど訳されてこなかった第二部とマンディアルグの序文がはいっています。
第二部は蛇足だという人もいます。しかし、幻想や物語はつまらない現実から生まれるものです。現実がつまらなければつまらないほど、人は魅力的な幻想を築きあげていきます。幻想には、現実を破壊し乗り越えていく力があります。第一部の物語を支えているのは、まぎれもなく第二部の物語なのです。 第二部の序「恋する娘」には、この物語が生まれた秘密が書かれています。ひっそりと息をひそめながらも、
そこにこそ一人の恋する娘、本当のOが、レアージュが隠れているのです。なぜ彼女がこの物語を書かずにはいられなかったのか、愛する人に見せずにはいられなかったのか。そこにこそ、本書のテーマである愛の純粋性や美しさ、恐ろしさがあります。
 また、本書は誤訳をただし、あえて意訳をしていない翻訳という点でも画期的です。物語の背景や既訳については、訳者あとがきに詳細があります。第二部やあとがきをあわせて読めば、より深くこの物語に触れていただけるのではないかと思います。

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