★安倍首相にこそ質問を集中させるべきである―(天木直人氏)

きょうの新聞各紙を見ていると安倍政権の国会答弁はすでに破たんしてしまったかのごとくだ。

 私が言うように、もし野党が、手を変え品を変えて、

安保法制案の矛盾を馬鹿の一つ覚えのように執拗に繰り返せば、間違いなく安倍政権は行き詰まる。

 その事に関連して、どうしても野党にアドバイスしたいことがある。

 きょうの新聞を読むと、

野党は中谷防衛大臣に質問を集中させて安倍政権を追い詰める戦略をとっているかのように見える。

 確かに中谷大臣の答弁は稚拙であり、

中谷防衛相を更迭せざるを得ない状況に追い込む戦法は効果的である。

 しかし、本当は安倍首相にこそ質問を集中させるべきなのだ。

 これは一年前の集団的自衛権行使容認の時に書いた事だが、

あの集団的自衛権行使容認の記者会見は、誰が振り付けたものではなく、

すべて安倍首相の矛盾に満ちた、覚悟の無い、おろかな考えから来ているものだ。

 いうまでもなく、今度の安保法制案は、

その安倍首相の間違った集団的自衛権行使容認を体現する法案である。

 賢明な読者ならもうお分かりであろう。

 答弁ができるのは安倍首相ひとりなのだ。

 そして、その答弁の矛盾と馬鹿さ加減の責任もまたひとり安倍首相のものになる。

 そうなのだ。

 すべての答弁を安倍首相に集中させるべきなのである。

 安倍首相は喜んでベラベラとおしゃべりをするだろう。

 しかし、たちまちのうちに行き詰まる。

 振り向いても誰も代わりに答える者はいない。

 政治家も、官僚も、まともであればあるほど、安倍首相の考えていることが理解できないからだ。

 安倍首相の権力に面従腹背してなんとかごまかしの答弁をしているが、

そのうちつきあいきれないと思う者がでてくる。

 一人欠け、二人欠け、そして最後は誰もいなくなる。

 その頃には、権力の移り変わりに敏感なメディアは、

手のひらを変えて安倍首相に冷たくなっているに違いない。

 安倍首相が孤立し、ピント外れの答えをひとり繰り返して迷走を続け、

その果てに内閣・総辞職に追い込まれる。

 これこそが野党が目指す戦略であるべきだ。

 中谷防衛相いじめは小さすぎる。

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