★ここまでボロを出した安倍政権と、それでも攻められない民主党ー(天木直人氏)

5月20日の党首討論で安倍首相がボロを出したと思ったら、今度は中谷防衛大臣だ。

 きのう5月22日の記者会見で安保法整備によって自衛隊員のリスクが増大することはないと、

仰天発言をして恥の上塗りをした。

 そう思ったら、自民党のハト派の親分であるはずの谷垣幹事長が、

やはり同じ5月22日の記者会見で、

「実際を言えばリスクはある」と中谷防衛大臣の発言と異なる見解を示したという(5月23日日経「記者手帳」)。

 さらには菅官房長官がやはり同じ5月22日の記者会見で、

他国領域での集団的自衛権行使はありうるのかと聞かれ、

「新三要件に該当するなら、憲法上の理論としては許されないわけではない」と語ったらしい。

 野党の攻撃に先手を打って安倍首相の答弁を補足したというわけだ(5月23日読売)。

 菅官房長官はいつから外交・安保政策の専門家になったのか、と突っ込みを入れたくなる。

 5月26日から始まる本格審議を前にして、はやくもここまで迷走している安倍政権である。

 まともに野党が追及すれば、今度の国会で安保法制案の成立などありえない。

 米国議会での公約に反した安倍首相は、解散・総選挙に追い込まれてもおかしくはない。

 それほど重要な国会審議なのだ。

 しかし野党は安倍政権を追い込めないだろう。

 5月21日に決まった安保法制案を審議する衆院特別委員会の、民主党の顔ブレを見てそう思った。

 長妻昭、辻元清美、長島昭久が論客のトップスリーだという。

 年金問題追及で名を売った元日経新聞記者が

どうして安保政策で安倍首相を追い詰められるというのか。

 護憲を売り物にしたパフォーマンス政治家・辻元清美と

日米同盟信奉者の右翼政治家・長島昭久の正反対の二人が、

どう協力して安倍首相を追い込むつもりなのか。

 支離滅裂だ。

 せっかくのチャンスを野党はみすみす手放すことになるだろう。

 いっそのこと衆院・安保特別委の野党質問はすべて共産党に任せるべきである。

 共産党を皮肉ってそう言っているのではない。

 せっかくのチャンスを生かすにはそれしかない。

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