【仮起こし】参院予算委での日本共産党の小池副委員長の質問と政府答弁の仮起こし(人質事件関連部分)


【仮起こし】参院予算委での日本共産党の小池副委員長の質問と政府答弁の仮起こし(人質事件関連部分)
(2015年2月3日10時46分~、赤旗政治記者の仮起こしです。あくまでもご参考まで)

 小池晃副委員長 過激武装組織「イスラム国」が湯川遥菜さんに続き、ジャーナリストの後藤健二を殺害したことが明らかにいたしました。日本共産党は残虐で卑劣なテロ行為を怒りをこめて断固としてまず糾弾をいたします。そして、ご家族、関係者のみなさんに心からの哀悼の意を表したいというふうに思います。
 いま必要なのは、国際社会が結束をしてイスラム国に対処し、国連安保理決議2170が求めているように、外国人戦闘員の参加を阻止し、資金源を断つなど孤立させ、追い詰めて、武装解除と解体に追い込んでいくことだと思います。(「そうだ」の声)
 日本共産党はこれまで人質救出のさなかにあった時点では、人命最優先の立場から政府の対応の問題点を指摘することは自制してまいりました。しかし、今の時点においては、このような事態を繰り返さないためにも、この間の日本政府の対応を冷静に検証していくことが必要だと考えます。
 そこでお聞きします。昨年8月には湯川さんの拘束が明らかになり、その後、後藤さんの拘束を政府が知ったのはいったいいつか、そして後藤さんの夫人のもとに犯行グループからメールが送りつけられ、政府にも通報があったといいますが、それはいつでしょうか。

 岸田外相 政府は昨年11月1日に、後藤さんのご家族からの連絡を受けて、同氏が行方不明になっていることを認知いたしました。そしてその後、12月3日、犯行グループからの最初のメールについてご家族から連絡を受け、この段階で、後藤さんが何者かに拘束された可能性が高いことを認知いたしました。

 小池 総理、この間、湯川さんの事案から5カ月間、政府はどのような対応をしてきたのか、具体的にご説明をお願いしたい(「委員長」と岸田外相)。総理に!

 岸田 今回の邦人テロ事件につきましては、政府としては、人命第一の立場にたち、これまで培ってまいりましたあらゆるチャンネルを最大限活用し、早期解放に向けて全力を尽くしてまいりました。先ほど答弁させていただきましたように、昨年11月に、後藤さんが行方不明になっているとのご家族からの連絡を受け、同事案につきましても、外務省対策室と現地対策本部において、情報収集にあたってまいりました。その後、1月20日に、湯川さん、後藤さんとみられる邦人が拘束された動画を確認した直後に、官邸に対策室、外務省に緊急対策本部を設置するとともに、中山副大臣をヨルダンに派遣し、現地で陣頭指揮を取りました。そして、総理からの指示のもと、私自身、関係各国の外相とのあいだで電話会談等で連絡を取り合い、情報収集および、早期解放について、最大限の協力を要請し、情報機関を含む各国からの情報提供等の具体的な協力を得た次第です。同時に、外務省の緊急対策本部において、情報を集約・分析するとともに、現地対策本部において、ヨルダン政府への協力要請を行い、緊密に連携をしてきた次第であります。
 しかし、残念ながら、こうした結果になったことにつきましては、まことに無念・痛恨の極みであると感じております。

 小池 ヨルダンの現地対策本部はどのような体制で行ったのか。本国からの応援はあったんでしょうか。

 岸田 現地の体制ですが、まず、このシリアにおきましては、ご案内のとおり、この治安の、この悪化にともなって、各国とも大使館を退避させるという対応をとっておりました。わが国も、シリア大使館をヨルダン大使館に退避させるという対応をとっておりました。よって現地には、シリア、そしてヨルダン、この二つの大使館のアラビアの専門家が存在したわけですが、1月20日以降、この現地対策本部に対しましては、中山副大臣を派遣するとともに、外務省、また他の在外公館におります、このアラビア語、あるいはアラビアの専門家を派遣し、万全の体制で臨んだ次第であります。派遣した人数、これは時期によりまして上下しておりますが、10数名増員をさせたということであります。
 結果、この、必ずしも人数は一定ではありませんが、現地対策本部、最大30数名体制で臨んだ次第であります。

 小池 私が聞いたのは1月20日以降ではなくて、事案が発生して以来の体制強化です。

 岸田 先ほど申し上げましたように、この時期によって上下しております。1月20日以前の状況については、いま詳しく、手元に、この資料がありませんので、あらためて報告させていただきます。

 小池 きのう、文書で質問を出しておきました。

 岸田 現地対策本部の体制、そして応援の人数等について、ご質問をいただくということは承知しておりましたが、1月20日以前の体制について、申し訳ありません、いま手元に具体的数字をもっておりません。

 小池 私は、昨日、現地対策本部ができたときから体制はどうなっているのかということを文書で送りました。

 岸田 基本的には、えーっと、先ほど申し上げました10数名の増員は1月20日以降でありますので、1月20日以前は、本省、あるいは他の在外公館からの応援はなかった次第です。

 小池 私はね、こういう対応でよかったんだろうかと、2人の日本人が拘束された段階でどれだけ危機感をもって政府が対応してきたのか、人的補強はなかったというわけですね。これは、詳細にさらに情報を求めていきたいと思います。
 それから、後藤さんのご夫人にはイスラム国側からメールが送られて、それは通報されていた。私はね、なんらかのルートはつくれたんではないかというふうに思うんです。しかし、巣が官房長官は記者会見で、接触しなかったと述べられました。総理にお聞きしたいのは、接触といっても、もちろんいろんな形が私はありうると思います。しかし、なぜこう接触しないという対応になったのか、ご説明いただきたい。

 菅義偉官房長官 まさに、テロ集団ですから、接触できるような、そういう状況ではなかったんです(小池「だから、いろんな形がありうると…」)。ですから、政府としては、さまざまなこのルートを構築してですよ、とにかく、もっとも効果的な方法、ありとあらゆることを関係各国、あるいは、宗教のですね、方とか、あるいは部族長だとか、ありとあらゆることのなかで、それは対応をとってきたということであります。

 小池 直接対話にあたっていたのは政府です。やはり、この間、いったいどういうことをやってきたのか、やはり、私はありとあらゆる努力をつくしていれば、この1月20日以降だってもっと対応がね、変わっていた可能性があるのではないか、そういう指摘もあるわけです、現実には。
 委員長に申し上げますが、この人質拘束事件に対する対応について、詳細な資料提供を委員会として求めていただきたい。

 委員長 後刻、理事会で協議いたします。

 小池 さらに2人の拘束の事実を知りながら、首相が中東訪問でとった言動、とくに1月17日のエジプトでの演説内容について聞きます。総理は1月17日のエジプトでのスピーチで、イラク、シリア、そしてトルコ、レバノンへの支援は、イスラム国がもたらす脅威を少しでも食い止めるためと述べて、このパネルにあるような表明をしました。「地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと戦う周辺諸国に総額で2億ドル程度支援をお約束します」。このフレーズのなかには、非軍事の人道支援だという表現はございません。湯川さん、後藤さんがイスラム国に拘束されていると知っていながら、こういう演説をやれば、2人の日本人に危険が及ぶかもしれないと、この認識が、この一点聞いているのは、そういう認識は総理にあったのかなかったのか、お答えください。

 安倍晋三首相 まず、認識をしなければいけないことは、いまやすべての国がこうしたテロの危険にされされているわけであります。シリアにおける邦人の殺害事件もそうでありますが、パリにおける新聞社襲撃事件もそうであります。
 そこで、ことの本質をしっかりとみていかなければいけないと思います。それは、テロのリスクをいかに低くしていくかということであります。テロを恐れるあまり、その脅かしに屈するような態度をとれば、テロには効果があったと、テロリストがそう考え、さらにまた日本人、邦人の身が危険になるという新たなリスクが発生してくるわけであります。大切なことは、まさにこうした過激主義、ISILの拡大を防ぎ、そして最終的にはですね、彼らの動きが止まり、非武装化していく、いま、小池さんがおっしゃった状況に持ち込んでいくことが大切。それはそう簡単なことではなくて、最前線で難民も受け入れ、がんばっている周辺国をしっかりと支えていくことであろうと、その国々に連帯を示すのは当然のことであろうと、こう思うわけでありますし、私どもが示してきた支援、ひたすら、いわば日本は非軍事的な支援をおこなってきたところでございまして、そのためにしっかりと、まさに、中東においてメッセージを出すことこそ、そうした方向に向かう日本の役割、責任ではないかと、このように考えたところでございます。

 小池 私が聞いたのは、危険になるという認識があって、スピーチをしたのかという一点を聞いているんですね。テロに屈するということと、慎重に言葉を選ぶということは、私は違うと思います(「そうだ」の声)。ぜひですね、そのことは、総理は、このスピーチをどういう認識で、これは危険を与える可能性があったんではないかと、私の質問に正面から答えていただきたい。

 安倍 もうすでにお答えをしているように、しっかりとした連帯の意を表明する、そして私たちは過激主義とたたかう、いわばイスラムの国々を、アラブの国々をしっかりと支援をしていくという表明をする、それが極めて重要であろうと、このように思うわけであります。いたずらに刺激をする、それは避けなければいけませんが、同時に、テロリストに過度な気配りをする必要は、私はまったくないんだろうと、このように思いますし、これは、今後とも、不動の姿勢であります。

 小池 私は、過度な気配りをしろなどといっていません。テロは許さないということは明確にいっております。ただ、言葉は慎重に、総理の言葉は重いわけですよ。そのことを踏まえて行動されたのかということを検証しているわけです。
 実際に総理は、殺害予告が出されたあとの20日のイスラエルの内外記者会見ではこういっています。「わが国がこのたび発表した2億ドルの支援は、地域で家をなくしたり、避難民となっている人たちを救うため、食料は医療サービスを提供するための人道支援です。まさに避難民の方々にとって、もっとも必要とされている支援であると考える」と。言い方、変わっていますよ。これは、やはり総理も、エジプトで行ったスピーチが、拘束された日本人にとって危険をもたらすものであるというふうに考えたからなんじゃないですか。そこを正確にお答えいただきたい。

 安倍 小池さんのご質問は、まるでISILに対してですね、批判をしてはならないような(小池「そんなこといっていない」)印象をわれわれは受けるわけでありまして、それは、まさにテロリストに私は屈することになるんだろうと、こう思うわけであります。

 (各党の理事が委員長席に集まる。小池「そんなこといっていませんよ」)

 小池 後藤健二さんは、生前、こう述べておられました。「テロとのたたかい、対テロ戦争、この言葉の裏でどれだけ人の命が奪われてきたのか」と。私はね、テロと断固たたかう、テロに屈しない、その一言で、さまざまな懸念や批判に耳を貸さないという態度でいいんですかと総理に問うているわけですよ。批判するななどといっていません。しかし、こういうね、日本人が拘束されているというもとで、十分な上にも十分な慎重な物言いが必要だったんではないか、その点で、エジプトでのスピーチは果たして妥当なものだったのか、そのことを指摘しているわけです。
 総理は、きのうの委員会でもこういっています。さまざまな観点を総合的に判断して訪問を決め、そこから世界に発信することを決断した。テロリストの意思をいちいち忖度してそれに屈してはならないと。忖度しろなんて私はいっているわけじゃない。しかし、慎重な発言が必要だったと思う。しかし、この答弁に照らせば、結局、危険性は認識していたと、しかしテロに屈しないという姿勢を示すために、あえて発信したと、そういうことですね。そのことは認めていただきたい。

 安倍 まさに私がいった忖度というのはですね、テロリストの意図に、を考え、その意図に沿わないことはやらないということはしないということでございます。それが、まさに私たちがいま試されていることではないでしょうか。ここ、ここに至ったなかにおいてですね、彼らを、たとえば刺激しないように、あるいは彼らの意図に反しないように、世界がそう思うことになってしまっては、まさにテロが世界で横行する、そういう事実を生み出してしまう。決してそんな世界にしてはらないと、われわれはそう思うわけでございます。
 いまこと、世界の国々と、世界の国々においても、さまざまなテロが発生しています。しかし、多くの国々は、テロに屈しずに、連帯をしながら、しっかりとこの過激主義の動きを止めなければならないと、こう決意をしなければならないと私は信じております。

 小池 私の質問に答えていない。あのね、そんなことを私はいっているんじゃないですね。総理のエジプトでの演説について、これはやはり、これは、危険…実際なにもない状況であればですよ、しかし拘束されているわけですよ。そういう事態のなかで、こういう発言をすることがどういうことをもたらすのかということをちゃんと考えて発言されたんですかと。そういう危険性があえてあると知りながら発言されたんなら、そうだというふうにお答えいただきたい。そうなんですか。

 安倍 これは、あのー、何度もお話をさせていただいておりますが、まさに、われわれは、このテロの危険のなかにいるわけであります。しかし、テロには決して屈してはならない。そういうなかにおいて、われわれはどういうメッセージを出すべきか、それをしっかりと議論したうえで、えー、カイロにおいて、このメッセージを発信したわけでございまして、これは現地エジプトをはじめ、多くの国々から賞賛されたわけでありまして、日本のこうした支援を歓迎する、あるいはヨルダンをはじめ、多くの避難民を受け入れている国々、これは大変な負担を背負っていうわけでありますが、そういう国々を決して孤立化させてはならない。そういう意味において、大きな私は評価を得たものだと思っております。

 小池 正面からお答えいただけないんですが、しかし、やはり今の発言を聞いても、危険性があるというふうなことを認識していたということは否定はされないわけですね。私は、やはり本当にこれは、はたしてこの発言というのは妥当なものだったのかということは、本当に冷静に検証が必要だということを申し上げたいと思います。
 それから、その後総理はですね、イスラエルを訪問しています。イスラエルというのは、昨年夏だけでも2000人以上の犠牲者を出したガザへの攻撃を行い、国際的な批判を浴び、最大の貿易相手だったEUからも経済制裁が強められ、アメリカのオバマ政権すら距離を置き始めている、そういう政権。3月に総選挙を迎えるネタニヤフ首相にとってみれば、安倍首相の訪問と支援の表明は心強いものだったと私は思います。
 しかも、単なる経済協力ではないわけです。日本はステルス戦闘機F35の国際共同生産に参加しておりますが、イスラエルは同機の購入を決めています。国際紛争の助長につながることも懸念されています。そして実際19日のネタニヤフ首相との会談後の共同プレスリリースでは、今後の協力課題の筆頭に両国の防衛関係者の交流促進が掲げられております。首相はですね、日本人の拘束という事実を知りながら、こういう行動を行ったということになるわけです、事実として。つい最近も殺戮を行って批判を浴びているイスラエルと軍事協力をし、そのイスラエルの首相と肩を並べてテロと戦うと述べることが、中東諸国の人々にどう受け止められるのか、そのことを総理は考慮したんでしょうか。そのことが拘束された日本人を危機にさらす可能性を、総理は考慮しなかったんでしょうか。

 安倍 ま、いまの小池さんの考え方は、私はまったく間違っていると思います。まず、アラブの国々を私は訪問しております。そうした国々も、しっかりと私がアラブと関係…イスラエルと関係を持ち、イスラエルに対してアラブの考え方を伝える、これはむしろアラブの国々が望んでいることでありますし、訪問いたしましたエジプトにおいても、ヨルダンにおいても、あるいはパレスチナにおいても、私がネタニヤフ首相と会談をし、いうべきことをいい、そして中東和平に向けて進んでいくことを促したことに対して評価されているわけでございます。ご存知かどうかわかりませんが、平和と繁栄のカイロ構想を私たちは勧めています。ジェリコに農産加工団地をつくり、そして地域、パレスチナの人々の生活を豊かにしていく、豊かにしていくことが、これは中東、あるいは中東和平に大きく資すると考えているわけでありますが、そのためには、これはイスラエル側の協力も必要です。これはヨルダンとパレスチナとイスラエルと日本の共同作業であります。これを進めていく、ま、これはもう、第1次安倍政権のときから続けている作業でありますが、これを進めていく上においても、さらなるいっそうのイスラエルの協力も必要であり、そのことも、これは具体的にお願いをしなければならなかったのは事実であろうと、こう考えております。すべての中東諸国とバランスの取れた関係強化を図ることが、わが国の中東外交のこれは基本方針であるということは申し上げておきたいと思います。もちろん、ネタニヤフ首相に対しましては、入植はこれは国際法の違反であるから、直ちにやめるように、そして双方がですね、双方が事態をエスカレートすることのないように気をつけるようにということももちろん申し上げておりますし、2国間解決に向けて進んでいくように、それが日本の立場であるということも申し上げているわけであります。日本にしかできない外交をしっかりとやっていく、そしてこれは決してですね、いま私がイスラエルを訪問したことに対して、アラブの国々から批判されるものではない、むしろ私は評価をいただいていると、このように思うところでございます。

 小池 いまのイスラエル政府が世界からどうみられているのかということを、もっと大局的に見るべきだというふうに思いますね。かつての日本の外交というのは、もっとバランスの取れた、この地域においては、独自の役割を私は果たしていたんではないかと。そこをね、もう一度考えた対応が必要だというふうに申し上げたいと思います。
 後藤健二さんは、紛争地域の取材を続けながら、子どもたちの命の、そして人権の大切さを訴えるメッセージを送り続けています。ブログでは、「小さな心と身体に背負いきれないほどの大きな重荷を背負わせてしまう、それが戦争だ」と書き込んでいます。それを無残に打ち砕いたイスラム国の蛮行に心からの怒りが沸いてまいります。これは本当に許すことはできません。同時に、いま日本人が海外で本当に大きく活躍しているなかで、こういったことが二度と起こらないように、2人の日本人が拘束されてから、今日に至るまで、政府がとってきた対応をですね、検証するのが国会の役割であり、その疑問に真摯に正面から答えるのが政府の責任だと。それがまさに2人の無念に応えるわれわれの責任だというふうに思います。引き続きそのために力を尽くすことを表明したいというふうに思います。
 次のテーマに入ります。

 (人質事件関連部分おわり)

Reply · Report Post