b_9reak

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4th Nov 2014 from TwitLonger

幻想世界CM設定(修正版)


この世界は広大な空と海、それに囲まれた一つの大陸、そして幾つかの島から成る比較的小規模な幻想世界である。人口は30億程であり、それぞれ独自の発展を遂げ多様化した国という単位に分かれて生活している。今回はそのうち大陸に築かれた八つの国と、空に浮かぶ一つの国について紹介する。


【湖底の国】
国土全てが広大な湖の底に沈んでいる。国の中心には世界樹と呼ばれる巨木があり、その根は水底を覆うように国全体に伸びている。世界樹の根には神聖なエネルギーが流れていると信じられており、人々はその根に沿うようにして町を築く。建築様式は伝統的な白い石造りでどの家も似た形をしており、道にも同じ石が敷き詰められている。
国民はみな一対の鰓を持ち、水の中で呼吸することができる。肺も失ってはいないため、然るべきトレーニングによって陸上での生活に適応することもできる。泳ぐための鰭は持たず、人々は陸上とあまり変わらない生活をしている(浮力があるためある程度自由な行動は可能)。湖の水質は清浄で、非常に透明度が高い。水面を通して射し込む光は柔らかく拡散され、ヴェールのように街を照らす。当然だが雨が降らないため天気の変化も穏やかで、水温も一年を通して大きく変動しないため大変過ごしやすい気候である。地面には草花の代わりに多様な藻が自生し波に揺蕩い、空には鳥の代わりに魚の群れが悠々と通り過ぎ、足元に影を落とす。

【水路の国】
大陸からちょうど鴉の嘴のような形に張り出した半島に築かれた国であり、国土の三方が海に面している。国全体に水路が張り巡らされており、人々は魔力を動力とするゴンドラに乗って移動する。このため、どの家も一艘はゴンドラを持っているのが普通である。
この国では、人はみな程度の差はあれ魔力を帯びて生を受ける。とある学者の一説によれば、この土地がちょうど魔法風の吹き溜まりとなっており、永い年月を経て非常に高濃度の魔力が蓄積した結果らしい。
誰に習わずとも大抵の場合5歳までには簡単な物体浮遊術程度は使えるようになるが、稀に例外も。この国の民にとって魔法は非常に生活に密接した存在であるが、必ずしも魔法学校等の教育機関でその魔術を磨く必要はなく、魔術師として生計を立てることを望む者のみ然るべき教育課程を経て資格を取ることになっている。試験を突破し正式に認められた国家魔術師のみが纏うことができる、紋章入りのローブと鍔の広い特徴的な帽子は、国民の畏敬と憧憬の的である。

【黄昏の国】
常に夕刻であり、行き交う人の輪郭は朧げである。街灯が薄暗い街角を照らし、通りに並んだ時計屋、古本屋、喫茶店などがぼんやりと浮かび上がる。どこからか聞こえてくるアコーディオンの音色、ノスタルジアと、どことなくメランコリックな空気の漂う国。
この国を訪れた旅人はみな、何故か懐かしさを覚える、と首を傾げる。
郷愁を誘うこの国の空気がどこか作り手たちのインスピレーションを刺激するのか、歴史的に音楽家や作家、詩人などを多く輩出している国である。
不思議とここでは人の肉体の成長は極端に遅い。他の国の人間の5倍から10倍の寿命であるとも言われるが、その理由はよく分かっていない。国民はみな外見年齢より非常に老成しており達観したものの見方をするが、その反面様々な理由でずっとこのままでいたい、変わらずにいたいという願いをもつ者が多い。そういう者が集まる国である。いつまでも変わらない思い出を、黄昏時の街に閉じ込めたような、そんな国である。

【雨見の国】
常に雨が降り続く国。しとしとと絶え間無く続く雨音に、話し声や足音は吸い込まれてしまう。たいへんに静かな国である。人々は穏やかで大人しく、手先が器用である。
細工師や技師が多く、また四方を他国に囲まれた地理的条件により国外からさまざまな文化が流入した結果、独特の技術が発展した。現代では、とりわけ芸術分野では繊細なガラス細工、医療分野では義肢など代用パーツの技術が盛んである。
雨に濡れることを厭うという発想がないため、外に出るとき国民は傘をささないが、他国の人間にとってはこの雨は毒である。長い間この国の雨に打たれていると、次第に体温と身体の色素という色素を失い、ゆっくりと衰弱し、死に至る。この国の雨に打たれることによる死は最も美しい死と言われており、自殺志願者が命を絶つ目的で足を踏み入れることも少なくない。そのため、入国の際には必ず傘の携帯を確認される。なお、そういった事情で他国の人間は必ず傘をさしているため、見分けるのは簡単である。

【碧翼の国】
世にも珍しい「移動する国」。
様々な地から集まった国民は特定の地に留まることを厭い、魔力を動力とする飛空挺に乗って空を放浪している。多くの飛空挺が連結してできた大きな飛空挺団、それが碧翼の国である。飛空挺団は幾つかの団に分けられ、またその中でも細かく分かれている。挺団はそれぞれ仕事を振り分けられ自給自足の生活をしている(作物や家畜も飛行艇の上で育てている!)。ある挺団が、全体の意思に反して進みたいと思えば、切り離して別行動することも可能。こうして飛空挺団は世界中の空に散らばっており、そのどれもが大雑把に「碧翼の国」と呼称されている。即ち、「碧翼の国」とは決まった形を持たない多様な集団の総称であり、厳密に言えば国ではない。その規模が非常に大きい為、便宜上国と呼んでいるだけである。
このような形態をとっているため、国全体に通用する法律のようなものは概ね無いと言えるが、動かすことのできないルールが一つだけある。「一度地に降りたものは二度と空には戻れない」。
このルールの為、この国の民が他の国民と婚姻関係を結んだり、旅をするということは非常に大きな覚悟のいることである。

【乾砂の国】
砂漠に囲まれた、土地の痩せた国である。日中は暑く、夜は凍えるように寒い。ひび割れた地面は硬く、懸命に耕しても収穫できる作物は僅かである。多くの人々が匙を投げ、この地を去った。それでも、残った僅かな人々は不断の努力でこの国を立派に築き上げた。環境の厳しさ故か国民はみな身体が丈夫で、勤勉かつ聡明。
この地にはかつて栄えた文明の遺物が多く残っており、古くから研究が盛んである。その為かこの国には学者・研究者が多く、街角で議論を闘わせている光景がよく見られる。国外からも多くの学者や留学生が訪れ、学問の中心となっている。また、国内には教育機関も兼ねる世界最大の図書館を有し、事実上この国の最高学府となっている。
この国の守る最大の遺産は、世界の成り立ちを解き明かす鍵となると言われる巨大な石板である。もう何百年も研究が行われているが、まだそこに刻まれた古代文字の解読はほんの10%しか進んでいない。しかし、この国をゼロから築き上げた彼らなら、いつの日か必ず真実に辿り着くことができるだろう。

【常雪の国】
大陸の北端に位置する、雪と氷に閉ざされた美しい国。この国の氷は透明度・純度の高さが知られており、夏でもけして解けることがない。その特性と加工が楽という特徴を活かして、家々の窓は全て氷が嵌め込まれている。住人は皆寒さへの耐性が強く、情に厚い穏やかな性格である。降りしきる雪が積もらないよう、建物の屋根は高く鋭い。国の名物である大教会の鐘の音は国民の誇りである。環境がよいせいか、格別に美しい妖精の棲みかが国中にあり他国からの密猟者があとをたたない。条件がよければ見られるオーロラは世界でも有名で、それを目当てによく旅行者がやってくる。

【地底の国】
獣人の支配する国。かつて差別され地上から放逐された獣人は、大陸の地下に集落を築きひっそりと生き延びていた。やがて集落は拡大し、一つの国となった。そのような経緯から地底の国は長らく鎖国状態にあったが、澄明歴836年に統一連合によって獣人や機械人への差別が公に撤廃されたことで、地上との交流が行われるようになった。現在では他国と肩を並べるまでに発展したが、今でも根強い偏見は獣人たちを苦しめている。
地下都市は外の陽光こそ差し込まないものの、発達した照明・空調システムにより環境は完全にコントロールされている。これは古くから唯一絡繰の国との繋がりがあったためで、その他にも多くの技術が流入していたと思われる。発達した設備と裏腹に町並みは昔ながら石造りの家が多く、素朴な獣人たちの性向が垣間見える。獣人には哺乳類型と爬虫類型がおり、それぞれ猫型と蜥蜴型が多いという傾向はあるが個性豊かな様々なタイプが存在する。

【絡繰の国】
この世界に息づく全ての機械人たちの祖国である。かつて世界では優れたロボット工学をもつ文明が栄えていたが、やがて高度に発達し人の知能を凌駕したロボットに恐れを抱いた人類は全ての人型ロボットの生産・運用を禁じ、多くのロボットが廃棄された。このとき逃げ延びたたった一体のロボットが大陸の西端に棲みつき、仲間を増やし、長い年月をかけて一から作りあげたのがこの絡繰の国だと言われている。この国の技術レベルは非常に高く、国の中心の巨大な工場を取り巻くように複雑な道路や高架橋が張り巡らされている。なお、ロボットは人型だけでなく、機械猫や機械犬も当然存在する。

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