「いつまでくるくる回ってるの」「先に行っちゃうよ?」「待って待ってー!」そんな感じでさらっとくるりん #セーラー少女



 ふわり

 風にそよいだセーラーの、リボンがふわっと浮き上がる。軽いステップで着地をすれば、腰のリボンもひらりひらひら宙を舞う。くるくる回る視界には、高い木々から降り注ぐ木の葉が空を隠して見える。感じるままに適当に、思うがままに体を動かす。たったそれだけで、世界はくるくる色を変える。自分もくるくる目が回る。風の動きに身を任せる。それがあまりに気持ちよくて、ついつい頭がぐわんぐわんと揺れるまでステップとターンを続けてしまう。降り注ぐ木の葉と気ままにワルツを。気分と共に、マズルカなんかもいいかもね。

 ふ

 り

  ふ


  ふ
   わ

   ふ
     わ
      
     ふ
      わ
    り

 地面に広がる落ち葉の音が、ダンスを次へとリードする。さくさくぱりぱりしゃらしゃらぱきん。踏み鳴らすたび、音楽を奏でる落ち葉たち。優しい音色が心地良い。赤く色づく桜の葉、それらを見ると心も踊る。

 春に蕾んで咲き誇り、夏はきらめく木洩れ日の影。秋には赤く身を染めて、恥じらうように舞い落ちる。冬も寒さを耐え忍び、新たな蕾を膨らませる。

 さくらの姿に重ねて見るのは、胸に灯した淡い想い。一人で踊るワルツは続く。いつかきっとの未来では、貴女と踊る夢を見る。

 くるり

 世界が反転する。ターンをすれば校舎が前に。もう一度回れば校舎が後ろに。大好きな場所を何度も見て回る。風に吹かれてくるくる回る。どうかしたみたいに笑いが溢れる。楽しくて楽しくて笑い声が木霊する。深く息を吸い込めば、胸いっぱいに空気が満たされる。深く息を吐き出せば、自分の空気が世界に溶け込む。吐息に乗せた募る想いが、風に運ばれ世界を回る。届くかどうかもわからない、新芽の想いはゆらゆら揺れる。ワン、ツー、ターンで葉を巻き上げる。

 く
  る
   り

  く
   る
    く
   る

   く
 る

    く
     る
      り
    
 気持ちに背中を押されては、気持ちに行く手を阻まれる。

 あっちへひらり、こっちへふわり。

 風に吹かれてくるくる回る。

 日和見鶏の風見鶏。

 くるりとジャンプで着地をすれば、風に届いた自分の名前と呼ぶ声たち。浮ついた足をしっかりと地面につければ、あっという間に世界は戻る。渡り廊下に目をやれば、見慣れたモノクルと長い黒髪。踏みしめた落ち葉がざくっと大きな音を立てる。空を仰げば、綿のような雲が高く泳いでいた。リズムがガラッと変化する。ジグのように駆け巡り、タンゴのように鋭く跳ねる、フラメンコのように情熱的に、楽しくポルカを踊りましょう。ルールなんて気にせずに、さあさ心のままに踊りましょう。


 桜に重ねた面影に、笑みを浮かべて踊りましょう。

Reply · Report Post