上月スポーツ賞 羽生結弦選手スピーチ全文


上月スポーツ賞 羽生結弦選手スピーチ全文
本日は私たちのためにこのような素晴らしい表彰式を開いていただきまして、誠にありがとうございます。私たちアスリートにとって、この上月スポーツ賞をいただけるということは、大変名誉なことだと思っています。この場をお借りしまして、受賞者代表の挨拶と御礼(おんれい)とさせていただきます。

この表彰式の前に行われました上月スポーツ選手支援事業認定式を拝見させていただき、私(わたくし)も2008年中学2年生の時に初めて出席させていただいたことを思い出しました。この時に、この支援事業は、将来オリンピック競技大会等で活躍できるような、優れた資質のあるジュニア選手がスポーツに打ち込める環境を整えるために支援をしているとお話をいただきました。

あの頃はオリンピックはほど遠いと思っていましたが、認定していただけたので、より頑張っていこうと心に決めていました。おそらく、今回の受賞者の方のほとんどが、この事業でご支援をしていただいたのではないかと思っています。

全国大会や国際大会などに参加できるようになった時に、この支援が大変心強く感じられました。また、2011年より東日本大震災の特別枠を設定していただきましたことを心より感謝申し上げます。

私事になりますが、上月スポーツ賞は2010年、12年、13年と3回いただいております。受賞のたびにこの1年頑張ってきた、頑張ってきてよかったという思いと、世界との距離が少しすつ近づいてきたことを実感できました。

そして、昨シーズン、まずはグランプリシリーズに出場しました。10月のカナダ大会、11月のフランス大会の2戦ともに、世界王者であるパトリック・チャン選手に力の差を見せつけられました。しかし、この2つの大会で素晴らしい選手と戦えたことによって多くのことを学ぶことができました。短期間ではありますが、学んだことを生かし、練習に集中して取り組み、12月のオリンピックの前哨戦であるグランプリファイナルで、ようやくチャン選手に追いつくことができました。

2月のソチオリンピックでは、とにかく自分自身の演技に集中することだけを考えてのぞみました。3月の世界選手権では金メダリストとしてのぞんだ初めての試合であり、精神的にももっとも大変な試合でした。

しかし、どの大会でも自分をささえてくれるコーチ、トレーナー、家族、そして応援していただいた方々の力をいただき、なんとか結果を出すことができたと思っています。昨シーズンを通じて、選手に必要なことは向上心、素直な心、そして感謝の心であることをあらためて実感しました。

スポーツはとても残酷だと思います。一番努力した者が必ず一番の結果を出せるものではありません。しかし、努力しなければ結果は決して残すことはできません。私たちは最高の結果を出すために感謝の気持ちを持ち続け、今後も日々精進してまいりたいと思っています。

今後ともご支援、どうぞよろしくお願いします。本日は本当にありがとうございました。

平成26年8月25日 受賞者代表 羽生結弦

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