想定問答集


質問
支出の根拠は何?

回答
根拠は旧厚生省が1954年(昭和29年)5月8日に『社発第382号』として各都道府県知事宛に発した『生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について』と題する通知です。この通知により外国人に対しても当面の間、国民に対する生活保護法に基づく決定手続に準じた手続と所定の調査を行なった上で、行政措置として生活保護と同額の給付をしています。
これは法に基づく措置ではなく、飽く迄も『今後はこの様に取り扱って下さい』とした通知に従って、行政機関の裁量として給付しております。
当面の間とは何時までかって?
何時まででしょうねぇ。この昭和29年の通知には具体的な期限は書いてありませんし、この措置を期限を定めた別の通知もありませんし。それに何より2009年(平成21年)の参議院での質問に対して、当時の総理大臣だった麻生太郎氏が『通知は未だ有効である』と答えていますし、その後も『通知は失効した』なんて答弁も無いですからね。『もう通知は終わった』と言われるまでは続くんじゃないでしょうか。

それから日本政府が批准し、1982年(昭和57年)から発効された『難民条約』も根拠の一つです。
難民条約の条文中には『合法的に滞在する難民に対しては、自国民と同様の社会保障を与える事』という規定がありますので、日本政府は国民保険法等の社会保障法令から『国籍条項』を撤廃しました。
永住外国人と難民は違うでしょうって?
いや、法的には『自国民(日本国民)』と『非国民(永住外国人、一時滞在外国人、難民等の日本国民ではない者)という区別でしかありません。第一、難民だけに日本国民と同じ扱いをしたら、他の外国人はどうなります?国籍を持たない・又は国に帰れない難民だけが『日本国民と同じ権利』を持ち、ちゃんと他国の国籍のある外国人は『日本国民とは違う権利』しか持てないのだったら、これこそ『合理的な理由のない差別』ですよね?
でも生活保護法は国籍条項が消えてません。何故か。
それは入管法で決まっている『外国人の上陸を拒否する理由』に『貧困等で国や地方に負担をかける恐れのある者』ってのがあります。生活保護法の国籍条項を無くしてしまうと、自分の国で食い詰めた人が日本に来て生活保護をもらおうとするかも知れません。要は『貧しい外国人にも生活保護を上げますよ』って事ですから。これと入管法の規程が矛盾するんですね。だから『日本国民だけ』という国籍条項を消さないんです。
でも難民条約を批准したからには、外国人にも日本人と同じ権利を与えなきゃなりません。
ではどうするか。
それを解決するのがさっきの通知なんです。法的には国籍条項があるんで『日本国民だけ』なんですが、通知で行政措置として『外国人にも』生活保護と同じだけの給付を与えてるんです。国会でも、1981年(昭和56年)5月27日衆議院で『生活保護法に国籍条項は残ってますが、通知により日本国民と同じ給付を与えてますので、国籍条項が残ってても実質的には問題はありません』と答えてるんですよ。

以上が『外国人に生活保護を支給する支出の根拠』となります。

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