__Y10__

· @__Y10__

24th Apr 2014 from TwitLonger

彼に好意を抱いたきっかけは、偶然彼と同じ講義だった時、すれ違いざまにぶつかって始めてその存在に気づいた時からだった

「あ、ごめんなさい」

すらっとした身長に大きな目
程よい濃さの茶髪にシャツが似合う

彼は左側の真ん中より少し前の方の席に座った

講義が中盤に差し掛かり、ふと気になって彼を見ると、ペン回しをしながら教室を端から端まで見渡していた

その視線が私とぶつかり、彼は照れたような、気まずそうな雰囲気で、ふんわりこちらに会釈をした。

その後何度も同じ講義で見かけるようになって、あれ以来特に何もないのでやはり一時的なものだったんだ、大学なんてそういうものだと思っていると

「あの、」

と少し背を屈めて、例の彼が話しかけてきた

「第八講義室ってどこかわかりますか」

大学広くてまだ分からないんですよね、と照れた様子で笑う彼

『すいません私も慣れてなくて…私も次そこなんですよね…』
「じゃあ一緒に探しましょうよ、大学散策かねて」

と微笑む彼の笑顔に不覚にも胸が苦しくなった。
顔に似合わず声は低く安定していて、あれ以来声を聞くのはこれが初めてだな、と考えていると

「あ、僕パクチャニョルって言います。」

とお辞儀をするので負けじとお辞儀をしかえす

「サークル何入るかとか決めました?」
『ん〜、結構気になるのあって今迷ってるんですよね…』
「ちなみにそれって?」
『写真部か、ボランティア会で』
「え!僕も写真部気になってるんです」

奇跡なんてあるんだな、なんて柄にもなく思っていると隣から焦った声が聞こえた

「やべっ、講義始まってる…」

罰が悪そうな顔する彼の横顔をチラッと覗くと目が合い

「こっそり行けばバレない、行きましょう」

と逞しい手が私の手を掴み、重々しいドアをそっと開けた

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