安倍首相とオバマ米大統領の共同記者会見起こし
(2014年4月24日、仮起こし=赤旗政治記者J ※赤旗政治記者による仮起こしです。あくまでもご参考まで。なお、オバマ大統領の発言は、通訳による日本語訳です)

(両首脳冒頭発言)
 安倍 国賓として来日したバラク・オバマ大統領に対して、日本国民を代表して心から歓迎の意を表したいと思います。
 バラクと私がホワイトハウスで初めて会ったのは昨年の2月であります。ありとあらゆるテーマについて忌憚なく話し合い、私たちが同じ問題意識を持ち、同じ目的をシェアしていることを確認いたしました。日米同盟は力強く復活をいたしました。そのことを内外に示すことができた会談でありました。
 あの時バラクはこう語ってくれました。「アジア太平洋地域に大きな経済圏をつくることは、日本にとっても、アメリカにとっても、他のアジアの国々にとっても大きな利益になる」と。まさにTPPは国家百年の計。そして、バラクとの真摯なやり取りの結果、日本は、TPP交渉への参加という次なるステージに移ることができました。
 あれから1年ほどが経過し、いまや日本は米国とともにTPP交渉を大きくリードしています。今回の日米首脳会談を一つの節目として、日米間の懸案を解決すべく甘利大臣とフロマン通商代表との間で精力的かつ真摯な交渉を継続することとしました。
 私とバラクから両閣僚に対し、残された作業を決着させ、TPP交渉全体を早期に妥結させるよう指示を出しました。これから、今日、この後も、両国の閣僚で交渉が続けられます。したがって、共同声明の発表は、その結果を見て適切に行うことといたします。
 日本と米国は、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、そして戦略的利益を共有するグローバルなパートナーであります。そのパートナーシップを有する両国の強固な日米同盟は、アジア太平洋地域の平和で繁栄の礎となっています。日本が掲げる積極的平和主義と米国の進めるアジア太平洋重視政策は、ともに地域の平和と安定に貢献するものであり、互いに評価し、歓迎しました。
 そしてその上で、今回、バラクとの間で、平和で繁栄するアジア太平洋を確実にするための日米同盟の主導的役割を確認することができたことを申し上げたいと思います。
 安全保障に関しては、日米防衛ガイドラインの見直しをはじめ、幅広い安全保障、防衛協力を推進していくことで一致いたしました。
 在日米軍再編については、在沖縄海兵隊のグアム移転や普天間飛行場の移設を含め着実に進めていく、その決意をお互いに改めて確認しあいました。
 普天間飛行場の5年以内の運用停止をはじめ、仲井真沖縄県知事からの要望についても、私からオバマ大統領に説明をし、沖縄の負担軽減に向けて米国のさらなる協力を要請いたしました。
 国際社会が直面している諸課題についても、胸襟を開いてバラクと話し合いを行いました。
 ウクライナ情勢については、力を背景とする現状変更は許されないことを改めて確認をし、ウクライナ支援の重要性と、引き続き日本やG7で連携していくことで一致いたしました。
 中国については、法の支配に基づいて、自由で開かれたアジア太平洋地域を発展させ、そこに中国を関与させていくため連携していくことで合意いたしました。
 そして、力による現状変更の動きに対しては明確に反対していくことで一致いたしました。今後とも対中政策に関して、日米で緊密に連携していくことも確認しました。
 北朝鮮問題に関しては、引き続き日米韓3カ国の連携が重要であることを確認いたしました。また、今回、バラクが横田さん夫妻と飯塚さんと対話する時間をつくってくれましたが、首脳会談でも私から、拉致問題の解決に向けて引き続き理解と協力を要請し、大統領から支持を表明していただきました。
 さて、ケネディー大使とは、今月すでに3度にわたってご一緒させていただきました。宇宙、そしてリニア、さらに文化交流、日米の協力関係がいかに幅広いかを物語るものであります。
 首脳会談では、米国へのマグレブ技術の導入について私から改めて提案をいたしました。
 エネルギー協力についても意見交換を行いました。そして、女性の輝く世界の実現をはじめ、グローバルな課題に協力して取り組んでいくことで合意をいたしました。
 いまや、日米友好の象徴的な絆として、大活躍されているケネディー大使とも、さらに緊密な連携をとりながら、日米の協力関係を一層深めていきたいと考えています。
 日米同盟の今後の発展を支えるのは両国の若者たちです。若者たちの交流を一層強化するため、今年度6000人の留学生を米国に送るプランを伝え、大統領も高く評価してくれました。
 日米同盟はかつてないほど磐石であります。
 バラク、あなたは昨夜のお寿司を人生の中で一番おいしかったと評価していただきました。私たちは胸襟を開いて、1時間半にわたり、日本とアメリカの課題、世界の課題について語り合いました。それは日米の絆と役割を確認し、日米関係のさらなる可能性について語り合う非常に充実した時間でありました。
 私にとっても、昨夜の寿司がこれまでの人生のなかで一番おいしく食べることができたお寿司であったということは間違いありません。ぜひ、バラクと私で、これまで一番良好な日米関係を築いていきたいと思います。
 私からは以上です。ありがとうございました。
 オバマ こんにちは。皆様こんにちは。安倍総理が温かい言葉で歓迎をしてくださいましたことを感謝いたします。また、おいしいお寿司とお酒を昨夜振舞ってくださったことを感謝します。
 また、日本に戻ってくることができてうれしく思います。今回が3度目の来日ですけれども、ほぼ20年ぶりにアメリカ大統領が国賓として日本を訪れることができ、今回、天皇皇后両陛下にお迎えをいただきましたことを感謝しております。日本国民のおもてなしに感謝しております。
 これまで何度も申し上げてきましたが、アメリカはいまもこれからも太平洋国家です。アメリカの安全保障と繁栄はこの地域とは不可避であります。離すことはできません。そして、このアジア太平洋地域において、この経済発展において日米同盟は土台、礎となっております。
 安倍総理、われわれの同盟に対して、非常に力強いコミットメントをしていただいたことを感謝しております。日本がさらに多くの世界の平和に貢献してくださることをアメリカは歓迎いたします。
 昨夜、われわれは、さまざまな問題に関して議論することができました。これからも、日米の安全保障における協力を深化させ、この沖縄も含めて、アジア太平洋地域において米軍を強化し、そして地元への負担を軽減し、日本は非常な軍事的な能力をもっておられます。また、日米はともに、この地域の紛争に対処していきます。この海洋紛争も平和的に対話を通じて解決していきたいと思います。
 そして基本的な原則、航行の自由、そして国際法の順守を求めていきます。
 繰り返しますが、われわれは日米安全保障に対してコミットメントをしております。そしてこの日本の施政下にある領土、尖閣諸島も含めて日米安全保障条約の第5条の適用対象となります。
 また、北朝鮮、また朝鮮半島の核に関しても北朝鮮の挑発に対して対抗していきます。また、北朝鮮による日本国民の拉致問題に対しても対処していきます。
 北東アジアを越えて、経済的、また外交的にもASEANと協力していきたいと思います。
 私たちはグローバルなパートナーとして協力を深化していきます。去年のフィリピンの台風の後の対応から、ロシアのウクライナに対する軍事侵攻まで協力をしております。
 そして、TPP=環太平洋パートナーシップ協定でも前進をしました。アメリカの政調と雇用の増加を促進し、そして日本でも経済の再活性化を推進していきます。また、自動車や農業の分野で交渉を行っています。私は明確に正直に申し上げました。アメリカのメーカーと農家は、TPPに含まれる日本も含む試乗へのアクセスが必要です。これによってアメリカにとって、アメリカの家族にとって、消費者にとって、そして企業にとってもよいこととなります。それが重要なことです。
 そして同時に安倍総理は、日本経済の再生に深く関与していらっしゃいます。安倍総理にお話したように、日本にはTPPで主要な役割を果たすチャンスがあります。この世紀のアジア太平洋において大きな役割を果たすチャンスがあるのです。ですから、大胆な措置をとって包括的な合意に達することができると信じています。
 そして、私たちの国は、すべての市民の才能を生かしたときに、最大の能力を発揮できるということを信じています。ですから、女性の能力を活用しようとする安倍総理の行動を賞賛したいと思います。そしてエネルギー安全保障、そしてクリーンな代替エネルギーの開発も国内、そして海外で協力していきます。また気候変動にも取り組んでいきます。
 そして最後に、私たちの国民の絆、とくに若者の間の絆を強化していきたいと思います。私は今日、若者にこの後会うことになっています。新しいプログラムを開始し、日本の留学生がアメリカにくるのを増やしたいと考えています。英語のスキルを改善し、そして貴重な経験をアメリカの組織や企業で働くことで得てほしいと思います。2020年までに、日米留学生の交流を2倍にしたいと考えています。
 安倍総理、あなたの友情、パートナーシップ、そして一緒に行った進歩に感謝したいと思います。そして、あなた方、そして日本国民の方に感謝をしたいと思います。私たちが協力すれば多くのことを達成できると考えています。がんばりましょう。

 (質疑応答)
 (朝日 安全保障について。安部総理に聞く。オバマ大統領はいま、尖閣諸島の防衛について、日米安保条約にもとづく防衛義務を明言した。受けとめを。集団的自衛権について、会談でどのような説明をしたのか。理解を得られたのか。オバマ大統領に聞く。いま言った日米安保条約に基づく尖閣諸島の防衛義務は、米大統領として初の言及だ。なぜここで言及したのか、その趣旨、意味を教えてほしい)

 安倍 えー…。オバマ大統領との会談を通じまして、さきほど、大統領からも冒頭の発言があったとおりでありますが、日米安全保障条約のもとでのコミットメントを果たすため、全ての必要な能力を提供している、このコミットメントは尖閣諸島を含め、日本の施政下にあるすべての領域に及ぶ。米国は尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対するとの考えで一致をいたしました。
 また、集団的自衛権の行使については、えー…ま、現在、日本において、えー、安全保障の法的基盤を整備するための議論を行っていること、そしてそれは、日本や地域の平和と安定のために、さらにはまた日米同盟を有効に機能させ、地域の平和と安定に貢献…そして寄与できるようにするために…検討を行っているという説明をしたところでありますが、この日本の検討について、日本が検討を行っていることについて、えー…歓迎し、支持するとの立場から、えー、オバマ大統領より示されました。

 オバマ 私たちの立場は新しいものではありません。ヘーゲル国防長官が、日本を訪れたときも、ケリー国務長官がこちらを訪れたときも、両方ともわれわれは一貫してこの立場をとっております。
 領有権に関しての決定的な立場は示しません。けれども、一方的な変更をすべきではないと思っています。これまでも一貫して述べきたのは、われわれの日米同盟が、この、つまり日米安保条約は、日本の施政下のすべの領域に当てはまるということであって、これはなにも新しい立場ではありません。これまで一貫して述べてきたことです。
 議論において私は強調しましたのは、この問題を平和的に解決するということの重要性です。言葉による挑発を避け、どのように日本と中国がお互いに協力をしていくことができるかを決めるべきです。そして対極的な見方をしますと、われわれアメリカは、中国とも非常に緊密な関係を保っています。中国はこの地域だけでなく、世界にとって非常に重要な国であります。人口も増えています。非常に多くの人口を抱え、中国が平和的に台頭することをアメリカも支持しています。
 貿易、気候変動、開発…中国に関してもこのような分野でかかわってほしいと思いますし、また同時に、このアジア歴訪を通じて強調したい点があります。それは、われわれ全てがこの国際的な秩序と法を守る、維持する責任があります。大きな国も小さな国も、すべて正当で公正なルールに従う必要があります。平和的に問題を解決する必要があります。これが、中国に対しても直接私が伝えたいメッセージです。という意味で中国に関しては、これからも成功していってほしいという点で一貫しています。
 大国が、たとえばアメリカのような大国、あるいは中国のような、ロシアのような大国が一方的に行動を起こすことができると思うような状況になってしまいますと、小さな国にとって不利になります。そういった国際秩序であっては、繁栄した、長期的に繁栄をすることはできません。ですから、国際的な秩序に従う必要があります。それは、あらゆる問題に適用されます。海洋の問題もそうです。ですから、これかも中国がわれわれと関与し、そのほかの地域に、地域の国々に関与し、とくにこの領有権、ある土地の領有権だけでなく、すべての国々が基本的な国際的な手順を踏んで紛争を解決することを望んでいます。
 中国が成功するだけでなく、中国には非常に大きな日中の強力の可能性があります。ベトナムと中国の可能性もあります。フィリピンと中国の協力の可能性もあります。すべて、この地域の人々に恩恵をもたらすでしょう。

 (CNN 大統領、総理、ありがとうございました。尖閣諸島についてだが、明確にお聞きしたいが、アメリカは中国が軍事侵攻を尖閣諸島に行った場合には、武力を行使するということなのか。そして、これも越えてはならない一線というのはどこになるのか。この信頼性をかけて、シリアも同じ、ロシアも同じだったが、この越えてはならない一線をどこに引くことになるのか。北朝鮮に対して核実験を行うべきではないと安倍総理との間で警告をする話はしたか。安倍総理に聞くが、アメリカとヨーロッパがロシアのウクライナへの侵攻を止めることができない場合にはどうしたらいいのか)

 オバマ いくつか予断に基づいた質問ということがいえるとおもうんですけれども、そしてそれに私は同意できないところもあります。アメリカと日本の条約は、わたしが生まれる前に結ばれたものです。ですから、私が越えてはならない一線を引いたわけではありません。これは、標準的な解釈をいくつもの政権が行ってきたわけです。この同盟に関してです。日本の施政下にある領土は、すべて安全保障条約の適用範囲に含まれているわけです。そしてデッドライン、越えてはならない一線は引かれていません。そして、同時に安倍総理に申し上げましたが、この問題について、事態がエスカレートし続けるのは正しくないということです。日本と中国は信頼醸成措置を取るべきでしょう。そして、できる限りのことを外交的に、私たちも協力していきたいと思います。
 そして、もう一つの問題についてですが、私たちの立場、アメリカの立場というのは、国は国際法に従わなければならないということです。国際法や規範が侵害されたりするわけです、このほかの国の領土を侵略した場合にはです。こうした規範に反した国が出てくるたびに、アメリカは戦争しなければならない、武力を行使しなければならないというわけではないわけです。そうでなければ、私たちは真剣に、そうした規範を信じていないということではないわけです。このシリアの化学兵器の87%は、すでにシリアから国外に移送されています。残っているのは13%です。アメリカの指導力の賜物だといえるでしょう。実際、私たちはミサイルを発射せずにそれを達成することができました。こうした国際的規範が守られた、成功を収めたわけです。完全な成功ではありません。最後の13%を国外に移送するまではです。
 ロシアとウクライナについてですが、私たちははっきりと、この問題に対する軍事的な解決はないと申し上げてきました。しかし、すでに制裁を行っています。そして、ロシア経済に影響がすでに表れています。そして、われわれは今後もこの問題を外交的に解決しようとします。ロシアがより懸命な道をとるという可能性もあります。ジュネーブの合意にです。このジュネーブの合意に反する行動をとらないでほしいと願っていましたが、民兵や武装勢力が政府庁舎を占拠し、自分たちと意見が違う人たちに嫌がらせをしています。そしてこの地域を不安定化しています。そしれロシアがこれを阻止しようとする動きは見られていません。そしてウクライナは恩赦法を導入するなど具体的な措置をとってきました。そして、一連の改革を憲法について提案しています。ジュネーブの合意に沿った行動をウクライナはとっているわけです。ですから、ふたたびロシアがジュネーブの合意の精神と文言に違反するのであれば、さらに追加制裁を行うことになるでしょう。
 だからといって、すぐに問題が解決するという意味ではありません。これらは難しい問題です。しかし、私たちが何を信じているか、どのような立場をとっているかというのは明確にします。そして、こうした価値観、規範、理想にもとづいて行動をとるということを申し上げたいと思います。
 質問は?

 (北朝鮮に対して核実験を行わないよう警告するか)

 オバマ 北朝鮮は挑発的な行為を行ってきました。過去数十年にわたってです。国際的な舞台において、ここ数十年にわたって、無責任な行為者だったわけです。ですから、北朝鮮に対するメッセージは一貫したものです。世界でもっとも孤立した国が北朝鮮です。
 そして、国際的な制裁や非難を世界のどの国よりも受けています。その結果として国民が苦しんでいるのです。そのほかの人々と同じようにです。ですから、北朝鮮が普通の国であるということについて、まじめに取り組むのであれば、行為を変えなければなりません。朝鮮半島の非核化を進めていかなければならないのです。戦略的な変更が北朝鮮の態度にあるかと考えれば、それはないかもしれません。しかし私が自信を持って言えるのは、日本と協力し、韓国と協力し、そして中国と協力することで、そしてそのほかの関係国と協力することで、今後もより多くのプレッシャーを北朝鮮にかけていきたいと思います。なんらかの時点において、北朝鮮が進路を変えるかもしれません。その間、北朝鮮は危険です。そして、私たちは、北朝鮮の挑発行為がいきすぎないように、慎重に対応する必要があります。だからこそ同盟関係が非常に重要なわけです。
 しかし、北朝鮮が無責任な行為を行っても驚きません。それは数十年間続いてきたわけです。ですから今後もそれを封じ込め、こうした行為によるダメージを軽減し、そしてプレッシャーをかけ続けていきます。これによって北朝鮮の進路が変わることを望んでいます。
 中国が、北朝鮮に進路を変えるよう圧力をかけることも極めて重要です。そうしたチャンスがあるだけでなく、中国の安全保障の国益、そして幅広い国益にもかなったものだと思います。一世代にわたって対立が続き、アジア太平洋地域でもっとも危険で不安定化を招く事態だと思います。

 安倍 まず最初に申し上げたいことは、かけがえのない日米同盟はゆるぎないということでありまして、このアジア太平洋地域を平和で安定した地域にするためにも、日米同盟関係の強化は、極めて有益である。そしてこの日米同盟関係を強化させていくことに対するオバマ大統領の情熱を私は信じておりますし、大統領の情熱、そして米国をわれわれは信頼をしているわけであります。
 そして、今日の首脳会談において、その信頼はますます強くなったということは申し上げておきたいと思います。そしてまた、この日米同盟関係を強化させていくということはですね、他の国に対して圧力をかけるとか、他の国に驚異を与えることではないということでありまして、それはまさに地域の平和と安定を強化し、そしてこの地域を法律を…法を尊ぶ地域にする、力による力を背景とする現状変更は許さず、人々が望んでいる、法を尊ぶ平和な地域にする上においてですね、日米同盟の強化が極めて重要であるということでありまして、このことについて私は、あー、完全にオバマ大統領を信頼をしているわけであります。
 いま、記者が言及をされましたウクライナの問題についてでありますが、まさに戦犯、ハーグで開催をされたG7におきましても、オバマ大統領のリーダーシップによりですね、まさにG7は一致してこの現在のロシアによる国際法違反であるクリミア併合は許さないという強いメッセージを出すことができたと、こう考えているわけでありまして、えー、ロシアに対して、われわれは今後ともですね、この問題を解決すべくですね、正しいメッセージをオバマ大統領のリーダーシップのもとに出していきたいと、こう考えているわけであります。
 また北朝鮮についても、彼らがいまとっている政策を変更しない限り、北朝鮮の国民の未来はないんだということを理解させる必要があるんだろうと思います。そのための圧力は国際社会が協力して行っていく、とっていく、そして重要なカギを握っているのは中国でありますが、中国に対しても、日米韓が協力をしてその影響力を行使するように促していきたいと、このように思います。
 このアジア太平洋地域の問題についてはとくにそうでありますが、国際社会全体におきましてもさまざまな課題において、日米同盟がしっかりと強力な絆を持ちながら、協力してですね、えー、解決に…貢献をしていきたいと、このように思っております。

 (テレ朝 TPPについて二人に聞く。安倍総理は、TPPは継続協議だというが、現時点では具体的にどこまで進展し、何がいま残された課題なのか。国会では、重要5品目の段階的関税撤廃も認めないと決議しているが、こうした状況のなかで合意にこぎつけられるとお考えか。オバマ大統領に聞く。日本側はコメや麦のほか、牛肉、豚肉についても関税を引き下げることに慎重だ。そういった事態をどのようにみるか。日米合意に向け、農産品の関税は具体的にどのように妥結するのが望ましいと大統領は考えるか)

 安倍 えー…TPPはですね、成長センターであるアジア太平洋地域に一つの大きな経済圏をつくり、そして自由、民主主義、基本的人権、まあ、法の支配といった普遍的価値を共有する国々と新たなルールをつくり上げるものでありまして、21世紀型の新たな経済圏をつくっていこうというものであります。
 この地域にとって、地域全体にとって戦略的に極めて重要であるという認識においては、オバマ大統領と完全に一致をしているわけであります。
 ま、今後残された課題を早急にですね、克服をして、TPP交渉全体の妥結に向けて、一致協力してさらなるリーダーシップを発揮することが、私とオバマ大統領に課せられた責任であろうと、このように思いますし、まさに大きな観点から、オバマ大統領とともに判断をしていきたいと考えています。
 えー、わが国としては、国会決議があります。この国会決議をしっかりと受け止めまして、えー、国益にかなう最善の道を求めていくなかで、なんとかよい形で交渉全体の妥結を目指していきたいと思います。

 オバマ 交渉の詳しいことは交渉担当者に任せたいと思います。
 ただ、私から言いたいのは、ある一部の分野、日本経済において、農産品、自動車といった分野、市場の開放度が制限されています。これはアメリカの消費者に対するマーケットアクセスに比べると限られています。こういった問題はみなよく分かっている問題です。そして解決されなければなりません。いまこそその解決すべきときだと思います。安倍総理は、勇気を持って認めてくださいました。日本は、これからも世界経済において経済大国であり続けたいということです。
 これまで、日本の経済の成長は少し鈍化しました。もし日本が21世紀においてさらに前進したいと思うのであれば、いろいろな改革を実施していかなければなりません。TPPはこういった改革と歩調を同じくするものです。安倍総理もおっしゃったように、TPPには戦略的な重要性があります。といいますのも、経済のこの世界の中でももっとも急成長している地域において、今年、来年といったものではなく、これから10年のあいだ成長を維持していくためのものだからです。どういったルールをここで適用していくのか。公正で透明な形で知的財産を守り、ルールを適用し、自由にアクセスできるマーケットをつくっていかなければなりません。
 それぞれの国々が、人々のための雇用を増やせるように貿易を拡大していかなければなりません。TPPはまさに、私たちにとって、そういった可能性をもたらすものです。
 そうは言っても、貿易の問題に関しては政治的な問題があります。安倍総理も私もそれぞれ政治的な問題を抱えています。
 議会は、たとえば最近、韓国とのFTAを可決しました。世界のほかの国々とのFTAも可決しています。それは、お互いが繁栄することができると思うからです。こういった既存の障壁を打ち倒すことで、両国にとって恩恵をもたらすと思うからです。多くの国が関与し、参加してほしいと思っています。
 私がこのようなことをするのは、アメリカにとっても、最終的には恩恵をもたらすと思うからです。アメリカ企業がアジア太平洋地域においてイノベーションを進め、自由にものを売り、アメリカの知的な財産が守られることによってアメリカ国内に雇用が生まれ、アメリカの反映にもつながっていきますけれども、これ単にアメリカだけではなく、相手=日本も、マレーシアも、ベトナムにとってもよいことです。そのほか、このTPPに関わる国々にとって恩恵をもたらすものです。
 自分たちの心地よい場所からさらに一歩外に踏み出して、そのほかの国々のマーケットにアクセスするということが重要になってきます。そのためには、有権者が今の心地よさを脱していく必要もあります。

 (米側司会 最後の質問)

 (AP ウクライナ情勢に戻りたいが、ロシアはこれまでジュネーブ合意に従っていないといったが、まだ追加制裁については決定していないようだ。追加制裁についての決定は行われたのか。そうでないなら、この追加制裁を先送りすることで、ロシアが行動を変えるという兆しはあるのか。安倍総理、アジアには歴史的な対決があり、これがアジアの不安定につながってきた。あなたやほかのアジアの指導者は、靖国神社の参拝などでさらに緊張が高まるのを防ぐためにどのようなことをすべきだと考えるか)

 オバマ 私たちはつねに、ジュネーブ合意が履行されないときに備えて準備をしてきました。この議論が終わったときに私は何を期待するかと聞かれました。そして私は、あまり楽観的ではないと答えました。つまり、私たちはずっとこの合意が順守されない場合に備えて準備をしているわけです。追加政策についてです。これはテクニカルな仕事が必要ですし、またほかの国との調整も必要となります。ですから、発表していないからといって、まだ追加制裁を準備していないということではないわけです。
 そして、私たちが追加制裁を行うときには、APに真っ先にお伝えします。
 強調すべきは、このプロセスを通して私たちの目標は、プーチン大統領の見方を変えることです。そして、外交的にこの問題を解決することです。制裁は、ロシアにダメージを与えますが、世界経済にも影響を及ぼします。
 そして、ウクライナの政府が真剣な交渉をする準備をしているわけです。ロシア系住民も含めて交渉を行い、そして地方分権を進めるといっているわけです。プーチン大統領にとって重要なことについても話し合いを行うといっているわけです。
 しかし、そうした賢明な道をまだロシアは選んでいません。中期的、長期的には、ウクライナだけでなく、ロシアにも同じようなマイナスの影響が及ぶでしょう。すでに大量の資金、外国投資家が資金をロシアから引き上げているわけです。信頼できる投資先と見ていないからです。ロシアは経済を改革し、そしてその経済の多角化を進める必要があります。世界のほかの地域は、化石燃料から離れようとしているわけです。ロシアの重要な収入源である化石燃料からです。そしてウクライナについての決定は、その助けにならないでしょう。
 追加制裁によって、プーチン氏がとる道は変わらないかもしれません。その可能性もあります。しかし、どのように変えるかということは、私たちの制裁だけでなく、ほかの国との強力にも関わっています。ですから、多くの外交的な作業を各段階で進めていく必要があるわけです。
 安倍総理との話し合い、そしてヨーロッパの諸国との話し合いにおいても、アメリカが単独でできることもありますが、最終的には共同努力でなくてはなりません。
 私たちは私たちの宿題をしました。そして、ほかの国と協議を進めていることを確認する必要があります。私たちが追加制裁をするたびにです。

 (AP つまり追加制裁を行うことを決定したものの、テクニカルなプロセスが終わるのを待っているということか。それとも決定をしていないということか)

 オバマ 私が申し上げているのは、追加制裁の可能性に準備をしているということです。しかし、多くのテクニカルの問題がその背後にあります。
 そして、ロシアが明日、あるいは翌日に進路を変えるという可能性もつねに起こっているわけです。それは単に明確にこういえばいいのです。つまり、ジュネーブ合意を信じている、そしてウクライナで政府庁舎を占拠している人たちに退去せよと求めればいいのです。そして、ウクライナ政府が恩赦を提供しているわけですから、それに従うように求め、そしてウクライナの自らの決定ができるような選挙プロセスを支持することです。ですから、大きく進路を変えろといっているわけではないわけです。この、すでに紙の上では合意したものを実施するように求めているわけです。そしてそれをロシアがすると思うかと問われれば、いまのところはあんまり希望は持てません。ただ、今週初めに申し上げたように、数日、数週間ではなく、数日の問題でしょう。彼らが約束したことを守らなければ、私たちはロシアに影響が及ぶといったことについて行動を起こします。

 安倍 えー、まず私の歴史に対する基本的な考え方は、えー、ま、政治家は歴史に対してつねに謙虚でなければいけないということであります。
 日本は、70年前の先の大戦、終戦したときに、われわれは多くの人々、とくにアジアの人々に多大な損害と苦痛を与えたことを反省し、そして戦後の歩みを始めたわけであります。70年間ひたすら平和国家としての歩みを進んできたのが日本であり、日本人でもあります。
 そしてその考え方のもとで、日本はまだ貧しい時代からアジアの国々の発展に貢献すべく、最大限の努力を積み重ねてきたところでございまして、ま、多くのアジアの国々からは、日本のその歩みを評価されていると思います。
 そして安倍政権におきましても、歴代の日本の政権とまったく考え方に変わりがあるわけではありません。
 えー、ま、昨年末の私の靖国神社への訪問については、国のためにたたかい、傷つき、倒れた方々に対して手を合わせ、そして…えー、冥福を、ご冥福をお祈りするためでもあります。そしてそれは、世界の多くのリーダーに共通する姿勢ではないかと考えます。
 そしてまた私は同時に、靖国神社の中にある鎮霊社というヤシロにお参りをいたしました。ま、このことはあんまり報道されていないのでありますが、この珍霊社には世界中の戦没者の霊がまつられているところでございまして、その鎮霊社におまいりをいたしまして、えー…二度と人々が戦火で苦しむことのない世界をつくっていくとの決意のもとに、不戦の誓いをしたところでございます。こうした考え方を私は参拝をしたさい、総理の談話として発出をしたところでございますが、この私の基本的な考え方について、えー、これからも説明し、理解を得る努力を積み重ねていきたいと、このように思います。
 日本は戦後、自由で民主的な国をつくるために努力をし、汗を流してきたわけであります。人権を尊重し、そして法の支配を尊ぶ国をつくってきたわけでございまして、さらに日本だけではなく、世界においても、そういう地域を少しでも増やしていくべきです…べくですね、努力を重ねていきたいと、えー、思うわけでございます。平和で繁栄した世界をつくっていくために貢献をしていくことによってですね、多くの国々の人々の理解を得ていきたいと、このように思っております。

 (おわり)

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