【新世界ネタバレ】語り足りないんです……。


もう二次小説でも書いてろよって感じですけど、その前に妄想を整理したい。

もうね、あの後は誰のことも兄貴と呼ばず、誰にも兄貴と呼ばせないジャソンのことを考えると不憫で不憫で仕方ないんですよ。妻はいるけれど、彼女もまた(ジャソンに本気で恩義を感じ始めているとはいえ)カン課長の差金がなければジャソンの元には来なかった。嫁さんはきっと夫を根っからのヤクザと信じてその情報を課長に流してたと思うし、その引け目を抱えながら気弱に微笑んでずっとジャソンの側にいるつもりなのだと思います。唯一の家族的な存在ですね。

でも、やっぱりジャソンはあのラストで完全にひとりぼっちになってしまったのだと思います。ゴールドムーンの王になり、もうお父ちゃんもお兄ちゃんもいなくなってしまって、誰も彼を上から叱ったり肩を並べて励ましたりはできなくなってしまった。まだ30代のジャソンは、これから先長いながい時間をひとりぼっちで過ごすんです。あの玉座で、一人で自分の煙草に火を点けて過ごすんですよ。自分で書いてて泣きそうですよ。一人ぼっちの大人に弱いんですよ……。

みんながハートをブチ抜かれたあのラスト。あそこでニカーッと心から笑っちゃった瞬間から、もうジャソンの辿る路は決まってたんですよね。あの背後の扉の向こうは死屍累々の阿鼻叫喚なはずで、ほんとはジャソンはあんな顔しちゃいけない立場なんです。でも「兄弟」と成し遂げたシノギの達成感の方が強かった。二人でやり遂げた楽しさのほうが勝ってしまった。「俺」だけで生きてきたであろう(妄想)ジャソンが、「俺ら」になる楽しさを知ってしまった。だから笑っちゃった。もうあんな顔しちゃったらさ! お前の心はとっくに兄貴のものになってるってことなんだよ! なあ! おい!

私も韓国社会にはまだまだ不勉強で全く詳しくないんですが、どうもかなりボッチが生きづらい風土であるらしいと聞きます。カップルでも友人でも、とにかく「ツレ」がいるのが前提。ボッチへのプレッシャーは日本以上に強いらしい。そんな状態で、チョンチョンみたいな陽気でアホで(あの映画の中で一番頭がいいのはチョンチョンだと思うんですが、ノリ的な意味でね)気のいいアニキが出来たらさ、コロッといっちゃいますよ。出入りの前に「この後ヒマ?」ですよ。出入りの後に「風呂行ってエロ映画でも見ようぜ」ですよ。絵に描いたような、キラキラな男の子の憧れの「ダチ」じゃないすか。きっとじゃれるようなどつきあいとか、酔ってアホをやらかすとか、そんな遅れた青春をジャソンはチョンチョンで取り戻したのではないだろうか。ジャソン、チョンチョンのこと大好きだったと思うよ。でも好きになっちゃいけないのももちろん分かってたから、チョー辛いよね……。

あれだけ警察に戻りたがってたジャソン。でも戻ったってほんとは何もないんですよね。実績をあげたとはいえ、元潜入捜査官はもうソウルどころか韓国内では働けない。海外で、知らない土地でまたひとりぼっちになるだけ。それでも戻りたいと願ったのは、そう思わないと逆境の中で警官になった意味がなくなってしまうと思ったからかな。ハナから高校にも行かず麗水でそのままグレていたら、チョンチョンと自然に出会って、何も隠し事のない兄弟になれたかもしれないんですよ。ヤクザ世界に居心地の良さを感じることは、自分のそれまでの努力の否定になってしまうとジャソンは思ってたのかもしれない。

あーーーージャソンはやっぱりかわいそうだなあ! かわいそうかわいいよ!!!! まだ話したりない!!!

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