【福島県で小児甲状腺がんは増えたのか?】
平成26年2月7日に行われた、福島県の 第14回「県民健康管理調査」検討委員会
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet;jsessionid=12FE09AF3640BA368376C0A8BF8667BC?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=24809

資料2  県民健康管理調査「甲状腺検査」の実施状況について  <PDFファイル1.50MB>
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/260207siryou2.pdf

では、甲状腺検査で悪性ないし悪性疑いが、75例となっています。他地域と比べていない段階で、多いか少ないかを論じるのは暴論です。震災前の話ですが甲状腺エコーをみてみると、小児でも色々と「変異」は見つかります。

とあるつてで、長崎大学原爆後障害研究所の高村昇教授からコメントを頂きましたので、転送します。

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昨日、本件について報告があった福島県民健康管理調査検討委員会に委員として 参加してきました。 その際の記者会見でも質問が集中したのが、甲状腺がんの頻度でした。 小児甲状腺がんが100万人に数例というのは、症状が出て受診して甲状腺がんと 診断された数が小児100万人あたり数例、ということであり、 現在の福島のように全員に対してスクリーニングを行った場合とは、おのずと結果は異なってくる と考えられます。 現代の超音波画像の精度で行った小児の甲状腺スクリーニングというのがありませんので、現在行われている福島県民健康管理調査における 0.03%という頻度が高いかどうか、というのを一概にいうことはできないと思います。 ただその一方で、成人における甲状腺がんは極めて発育が遅く、かつ比較的頻度が高いことが知られています。御承知のように、いわゆる潜在性甲状腺がん は、剖検例では10%から20%にみられることが知られており、このことから少なくとも成人における潜在性甲状腺がんは極めて頻度が 高く、かつほとんどはそれ以外の死因でなくなっていると考えられます。

福島において小児甲状腺がんが増加しているかどうか、を証明するためにもっとも重要なことは、「放射線被ばくとの因果関係」を証明することであると考え ます。 御承知のように、チェルノブイリにおける小児甲状腺がんは事故当時0-5歳だっ た世代に多発したことが知られています。 これは被ばく時年齢が低いほど放射線感受性が高い、ということを示すものです。 その一方、福島における小児甲状腺がんは、これまでのところ加齢に伴って増加していることが示されています。 これは、日本で以前示された小児甲状腺がんの手術時年齢の分布とほぼ一致して います(添付のスライドを御参照ください)。 このことからも現在福島で同定されている甲状腺がんは、従来潜在がんとして見逃されていたがんが高性能の超音波によるスクリーニングによって 発見されている可能性が高いと考えられます。

今後、「放射線被ばくとの因果関係」を証明するためには、甲状腺がん発症と発症年齢との関係に加え、甲状腺がん発症と被ばく線量との関連を検証する必要 があると考えられます。

以上について、私の意見ということで投稿していただいて構いません。 また、もし必要であれば小児科の研究会等の場で、放射線被ばくと甲状腺疾患について、話をさせていただいても結構です。 昨年の小児科学会の市民公開シンポジウムでも話をしましたが、その他の機会で小児科の先生方に福島の状況についてご説明する機会があれば、喜 んでうかがいますので、何かありましたら遠慮なくお申し付けください。

原研国際 高村 昇
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https://drive.google.com/file/d/0B55Py2W0JEnVejdMZ0cxNEFZTmhDUmc5aXpDbkMyNzlHVWpv/edit?usp=sharing

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