技術的には無論可能ですがあえてしていません。ゲームのシステムを組む際には確かに「距離と時間ですべてコントロール可能」として基礎部分を組み立てていますが、フレーム表示をする事によって様々な影響が出ると考えています。
フレーム攻略の観点においては、オフィシャルデータが提供されるわけですから、ユーザーがゲームを調べて研究する時間の短縮=ゲーム攻略時間短縮となり、ゲーム寿命にも影響は多少なりともあるでしょう。
しかしそれよりも、攻略がフレーム「だけ」で語られたり、フレームの有利不利だけを念頭に置いたバランス論に終始してしまったり、駆け引きの面白さや攻略の幅を狭めてしまうという影響を懸念しています。
実例として、格闘ゲーム上級者と未経験者の合同調査において、「格闘ゲームはフレームの読み合い」という謎キーワードでゲームを紹介するようなシーンはたびたび見受けられます。
これはおかしな表現であることはおわかりかと思います、読みあうのは実際はプレイヤー同士であって、決して「フレームを予測する」ものではないからです。
しかしながら、それだけフレームの持つ意味が大きいゆえ、このような説明や伝聞になってしまうのだと思います。

「でもフレームじゃん」 と言う人も居ます。それそのものは間違っていませんが、実際には多くの方が「フレーム」と指して言う場合は近接で接触が起きた場合に起きる硬直差の有利不利という、時間の概念のひとつでしかありません。例えばそこには、距離の概念が含まれてなかったりします。硬直差だけでなく、実際に反撃の技が届くかどうかの攻略もありますし、届く位置に移動するまでにかかる行動=時間もあります。
例えばソウルキャリバーのような武器格闘は非常にレンジの長い攻撃があるので、硬直差だけでなく距離のファクターも重要になります。しかし、この距離ファクターをフレーム=時間の概念に瞬時に計算して戻すのが難しい為、その場合は「硬直差では反撃可能だが、距離を詰める行動が難しい」となり、一転して攻略の表現や実際の対戦での行動や攻略も「感覚的」に近いものになります。

また、「ヒット発生も硬直もまったく同じフレームだが、アニメーションが違う技」があったとすると、「見極めにくい」とか、「別の技に似ている」などの理由でフェイントになったり、これもフレームの有利不利の実計算とは違った攻略になるはずです。こうした、印象だったり感覚的な部分は駆け引きを面白くする上で非常に大切だし、攻略として語られる時に忘れてはならない要素だと思っています。でも、これが省略されて数字だけで語られる事が格闘ゲームの先鋭化を進めているという部分があると思うんですね。無論、じゃあそんな攻略に頼らない対戦内容にしろや、というのは常に考えている上で、ですよ(簡単にできたら世話はないですね、言うだけは簡単ですが)。

例えば、鉄拳6やTAG2の平八なんかは良い例ですが、あのキャラはフレーム計算の攻略というかデータ上だけで語ると、本来全然強くないんですよ。データなんだから、明らかなんです。いわゆるみんなのいうフレーム攻略だとね。
だけど、平八と対戦する多くのプレイヤーはなぜか平八の技が強く見えると言います(これもプレイヤーフィードバックの定量的データがあります)。多くのプレイヤーが「ガードした時に重く感じる」と言います。
フレーム硬直差のデータで言えば、まったくそうでもないのに、です。
実は鉄拳6の時に平八と一部のキャラの技に実験的に施したある事が影響してプレイヤーにそういった印象を与えることに成功しているのですが、これはフレーム攻略には出てこない部分です。
こういう印象(怖い、とか、重い、とか)や感覚的な部分の面白さもしっかり駆け引きの中で感じ取れる事がある意味証明されているわけですが、フレームの硬直差にはそれは現れないわけです。
また、ヒット発生の前半と後半で硬直差がいつもと違うのも、ある意味駆け引きを面白くする要素のひとつです。狙って出来る場合とそうでない場合がありますし、基本データから例外が発生する面白さがあります。
いずれにしてもフレーム攻略はハードコアなプレイヤーによって集中的に行われる事ではあるので、それ自体はまったく問題無いと思っています。
ただ、その時に前述したようなフレームだけではない、様々な要素が影響してかけひきを構成されていて、実際には皆が無意識のうちにそれを使って攻略・対戦していること、フレーム以外に実は注目すべき攻略もあるというのが、ゲーム攻略の発見の面白さや対戦の奥深さなのだと思っています。
やっぱり公式で画面にガンガン出ると、そこだけに思考がいくと思うんですよ、ある種の思考停止に近い状態を生み出すデータなんだと思うんです。
先に挙げたとおり、バランス論だってフレームでしか語られなくなるでしょうし。「だって数字でこうなってるんだから客観的に明らか」とかね。そこに先に挙げたアニメーションの影響や距離(リーチなども)や、無意識下にガードが重い、技が怖いと思える仕込みの影響なんかは含まれない。
そうなると私が普段から言ってる、「人間はデータで積み上げて、最終的に感情で判断してしまう」という部分の最も悪いデータの使われ方になるんじゃないかな、と。データで積み上げて、感情・感覚の部分抜きにバランス論が語られるようになるでしょうし。
以前、私が
「様々なデータの掛け合わせから客観的かつ理論的には皆さんのおっしゃる○○というキャラが強いという事は証明できないという結論に至りました、なぜなら数値がそれを示しています」
これに近いことを話しました。でも、そんな証明のされかたをしてプレイヤーが納得できるはずがありません。
でも、納得されないことは実は重要だと私は考えています。
対戦の解析ログやデータを公開することが無いのもそれが理由です。あらゆる数値から分析されたその膨大なデータ集合体の結果を見たら、よくネットで書かれているキャラ番付との違いにみなさん驚くと思います。
でもそれが結論ですかね?違いますよね、だけど、そういうデータって諸刃なんですよ。面白さを削ぐ原因になることもあるし、プレイヤー同士のコミュニティでの聖書化して、それが全てになってしまう。
でも、データよりも自分が感じてる事とか、数値上は俺が有利なのに、何故か動けないんだよな、何故かあの技は見極めにくいんだよな、何故かこの技の後にこの距離でこう繰り出されると怖いんだよな・・・とか、そういう部分がもっと語られるといいなあ、という想いがあります。
なので、モードで全フレームデータを数字で表示したくないなあ(特に鉄拳に関しては、ですが)という感じです。

http://www.youtube.com/watch?v=cho4M6xHCRQ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm21890427

RT @kuro__kuro__
RTありがとうございます。遠征先で大会開催して来ます!モード案で…対戦動画にフレームを手入れ編集しているのですが、この様な数値表示は難しいでしょうか?

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