@f_keita またちょっと、KTRの件、長々と失礼します。

さきほど与謝野町の「海の京都」のマスタープランを拝見しましたが、非常によくある行政のプランだと感じました。
それは「~~をする」が多数書かれているのに、その素晴らしい取り組みをどうやって多くの人に知ってもらって、「行って見たい」と感じてもらうのか、ここが最も重要なところですけど、一つも書かれていないんです。
色々な活性化事例見ましたが、大抵このパターンなんです。
本来、ここが最も重要なことなんです。
ここががっちり出来れば、何もしなくてもお客さんたくさん来るんです。
最近ですとアニメの聖地巡礼ってありますが、正にそれです。
「らき★すた」というアニメの聖地になった埼玉県の鷲宮町がまさにそのパターンで、行政が何かするどころか、行政すらアニメの舞台になっていることを知らなかったわけです。
そうしたところ、突然見かけない若者が多数町にやってきて、地元の人も何が起きているのか最初は分からなかったわけです。
それほど何の準備もしていなかったわけです。
でも、アニメを通して「知る」というきっかけが起き、そこに「行ってみたい」という需要が生じたら、お客さんって勝手に来るんです。
KTRで言えば、けいおん!とか、AIRというアニメで、実際訪れた人とがそれなりにいたはずです。
別にアニメに限らず、行列が出来るラーメン店がなぜできるのかも同じです。
東京なんて環状七号線沿いとか、ラーメン激戦区ですが、行列が出来るラーメン店と全く行列が無いラーメン店がありますが、その違いは何かというとズバリ、マスコミに出たかどうかです。
よくあるでしょ雑誌とかで「ラーメン通なら必ず行きたい東京ラーメンベスト100」とかやるんですよ。
そこに出た翌日には、長蛇の列です。
汚いラーメン屋でも「通をうならせるのはこういう年季の入った店だよね」とか妙に納得するんですよ。
このように、知るきっかけと行きたいを作れることが、著しいほど重要なんです。
ここで9割決まるといっても過言ではないと思いますよ。
このきわめて重要なことが、全く無い・・・これが失敗する活性化の特徴です。

要するに、ミッションクリティカルではなく、論理の飛躍が起きるんですなんですね。
例えば「雨宿りする場所を作る」とか書かれていますが、雨宿りする場所を作ったからとお客様は来ないし、雨宿りする場所が無くてもお客さんの「行きたい!」が強ければずぶ濡れになっても来るんです。
例えば富士ロックフェスティバルとか、屋外型の音楽イベントなんて土砂降りでもみんな来るんですよ、「行きたい」が強ければ。
でもこういうのって、雨宿りする場所作ればおもてなしだ→もてなせば客は来るんだという論理になるのです。
もちろん雨宿りする場所が無いよりはあった方が良いんですが、こういう細かなことはマスタープランでは無いと思います。
その他にも色々書かれていますが、ようするにこういうのって、こういうことすれば後はお客さん勝手に来てくれるんだ論なんです。
ですから、「~~をする」が多数書かれていますが、最も重要な「どうやって知ってもらうか」が無いんです。
みんなこれで失敗するんです。

たしかに、唯一、4行だけ書かれているんです。
「雑誌媒体」「インターネット」「SNS」「メディアの取材」
とは、書かれていますが、では具体的にそれをどうするのかが一言も書かれていないんです。
先に書いたように、ホームページ作りますと、ではそのページにどうやってきてもらうのか、大体こういうところは考えていません。
ツイッターも、同じ現象がおきます。
ツイッターでつぶやくと、誰に届きます?
考えていないんです。
フォロワーさんですよね。
ということは、いくらつぶやいてもフォロワーいないと意味が無いんです。
ツイッターで最も重要な事は、フォロワー増やすことなんです。
それを考えずに一生懸命つぶやいても、誰にも届かないんです。
もちろん個人とか身内でやるならそれでも問題ないですが、広く多くの人に知ってもらおうとSNS使おうとするのなら、これは完全に失敗なんです。
例えばKTRの公式アカウントもフォロワーさんは2000人もいません。
つまりつぶやいても、その程度にしか届いていないという事です。
一方私のアカウント、7000人いますよね。
この段階で影響力が3.5倍あるんです。
一方、本垢である @maidtrain に16000件あるんです。
つまりKTRよりうちの方が8倍影響力があります。
だからちょっとつぶやくと、色々な人が直ぐに反応するんでよく炎上するんですよ(笑
よくこの話すると「リツイートあるの知らないのか」といわれるんですが、仮に1%リツイートしたとして、フォロワー2000人だと20人です。
16000人だと、160人です。
それが平均300人フォロワーいると仮定するなら、りついーとかけると前者だと6000人、後者だと48000人にばら撒かれたことになります。
天と地の差です。
考えていないんですよ、こういうことを。
だから一生懸命つぶやいても殆ど効果ないというわけです。
これでって、うちはまだまだ少ない方ですよ。

いつもお約束の手段の目的化現象で「やる」ことが目的になって、活用すること考えていないんです。
だからKTRのツイッターアカウントも、数週間に一回くらいしかつぶやいていませんし、内容もタダの広告ばかりなんですよ。
そういうものって、興味持ってくれないんですよ。
興味が無いからみんなフォローしないんです。
そんなところでいくら情報発信しても意味が無いんです。
アテンダントブログも同じで、何の目的でブログをやっているのかって、多分誰も考えていないんです。
ズバリPRのためですよね。
だったらPRになることやら無いとならないですよ。
しかし、そもそもの目的が無くブログ開設したらそれで満足しているから、適当なんです。
例えば、ホームページのイベントで1月19日「蛇綱」というのが書かれています。
だったらその様子を取材してアップロードするとかすれば沿線のPRになりますよね。
そういうのを地道に日々続け沿線の良さを知ってもらうのがブログの目的ですよね。
ここもそうなんですよ、ブログ開設したら満足して、後は勝手に人来るんでしょ論理なんです。
でも、結局それを誰もプロデュースも指導も出来ないんです。
こんなことやり続けていたら、そりゃお客さん来ないですよ。

実際、どうやって知ってもらうのかを考えずにやって、悲惨に結果になった実例を3つ紹介します。
あるローカル線の存続運動で、市民がUSTREAMをつっかて、存続を訴える番組を流しました。
この番組の目的って、多くの人に見てもらって、今の問題を知ってもらうことです。
しかし、見ていると地元のビデオ仲間が集まって、番組を流すことが目的になっているんです。
ですからその番組をどうやってみてもらうのか、全く考えていなかったんですね。
USTREAMって視聴人数が出るんですがその数・・・・・・・二十数人なんですよ。
結果、何万人の沿線住民がいるんだと、経済効果がどうのこうのとか、散々言っても、「要するに二十数名しか興味ないんでしょ」という、沿線住民の関心の低さをわざわざ全国に放送してしまっただけなんです。
だったら、こんなことやらない方がまだ良かったんです。
これは完全な「手段の目的化現象」で、ビデオ仲間が集まって番組作ることが目的で知ってもらうこと全く考えていないんです。
ここもツイッターアカウント持っていましたが、フォロワー数は十数名、内訳も殆どが身内ばかり、要するに外部には全く情報発信されていません。
こういうことを何も考えていません。
結果、どうなったか、廃線という最悪の結末を迎えました。

次に、あるローカル線の存続を訴える市民団体が写真コンテストをやりましたと。
ところが、殆ど応募が無かったそうです。
どれくらい酷いかというと、この手の賞金出るコンテストで関係者の応募ってご法度です。
だって、賞金に集めた協賛金内輪で分配することになるんですから、それ背任行為ですよ。
でも、応募者が誰もいないので関係者ばかりが応募したそうです。
作品発表見ても、「あなた社員ですよね」という方ばかり。
それで、作品集まらず、挙句は、応募した関係者に対しても更に名前変えて応募するように要請までしていたそうで、全く作品を集まらなかったそうです。
そりゃそうなんですね、そんなコンクールやっているって多くの人に知ってもらわないと作品なんて集まらないですよね。
でも、何もやって無いんですよ。
全く考えていません。
活性化とは程遠い、内輪で楽しむだけのマスターベーションで終わっているわけです。

次に、ある観光客が激減したある温泉町が活性化の起爆剤に若女将募集というのをやりました。
その応募件数、なんと0件でした。
ここもお約束のパターンで、Facebookで情報発信していたんですが、そのFacebookにどうやってきてもらうか、全く考えていないんです。
色々情報発信したり、大阪とか、東京で説明会も開催したんですが、いくら説明会としても説明会やっていることを多くの人が知らないと、人来るわけ無いですよね。
全く考えていないんです。
Facebookブームの使えば、うちも人気になれる論理なんです。
典型的な「~~をする」ばかりが並んで、~~すれば後はお客さん勝手に来るという論理の飛躍です。
結果、応募者ゼロという最悪の状況となります。

それとここもう一つ、酷いなと感じたのがFacebookのつくりです。
「若女将探し隊」という名称でやっていて、「隊」というイメージでやったんでしょ、おじさんたちがニヤニヤ並んで双眼鏡でこっちを見ているという画像がトップです。
意味は分かるんですが、その画面の先に誰がいるんですか?
そのページに何かの偶然出来てくれた若い女性ではないでしょうか?
その女性が「応募したいな」と思う、画像を載せるべきですよね。
でも、オッサンが双眼鏡でこっちを見てみてニヤニヤしているといのは、ただ覗きなんですよ。
そんなところ応募しようと思うわけが無いんです。
極端な例ですが、AV女優の募集ページって、絶対に男は出てこないんです。
そういう世界に飛び込むのはさすがに誰だって不安があるんです。
そこにおっさんが出ていたら、より不安ですよね。
若いイケメンでも騙されるんじゃないかって不安なんです。
だから必ず、同年代のAV女優が出ていて、彼女たちの不安を解決するようなことがちゃんと書かれています。
例えば、こういう世界に飛び込む最大の理由は、お金ですよ。
だからいくら稼げて、いつ支払か、大抵の場合は「当日現金払い」と書かれています。
あるいは親にバレルのが怖いですから、「アリバイ会社」というのがあり、親が会社に電話しても「○○さんは今日は営業で外回りで出ていますよ」といってくれる会社がありますよ、と説明されています。
例え極端ですが、相手の立場、相手は何を求めているか、徹底的に考えているんですね。
そうすると、「なんか大丈夫そうだな」と思いますよね。
そういうこと全く考えずにやるって、AV女優の募集より酷いということです。
ここはを締め切り間際にこのことを新聞社が「誰も応募者がいない」と報道したため、その報道を見た方が、一人だけ最終的に応募されました。
その方結局採用されて、非常に頑張ってやってらして、選択の余地が無い中でも結果的には良かったと思いますが、仮にとんでもないズベコウが応募してきたらどうしたんでしょうか?
結果オーライではありますが、「知ってもらう」を考えないと悲惨な結末になる事例です。

次に「マスメディアの取材獲得」とは書いていますが、どうやって取材獲得するのでしょうか?
こういうところの特徴は、ぼやんとしたイメージはあるんですが、具体的にそれをどうするのかというミッションが無いんです。
KTRについても、具体的には書けませんが、同様の現象が生じしていて「あれもします」「これもします」とはなっているんですが、具体的に的にそれをどうやるのかが殆ど無いんです。
「これをやる」と言っても、それを具体的にどうすれば良いのか誰も分からないし、それを調べてやるという担当もいないし、誰か担当つけても、「あとはよろしく」で誰も進捗率の管理も、結果の測定もしていないから、結局何一つ実現していないんです。
これKTRに限らず活性化しない所はみんなそうで、あるローカル線も自治体に「あれもします」「これもします」と書いて補助金もらっていましたが、数年後、殆ど実行されていないんです。
ここまで行くと補助金詐欺なんです。
実行できる宛も無いのに「やるから金クレ」というのは完全に詐欺です。

仮にマスメディアに「取材に来てください」と言っても、取材に来るでしょうか?
「何しにタダで宣伝しないとなら無いんだ、宣伝して欲しいなら広告料出せ」と思われるだけですよ。
取材して欲しいなら、マスメディアが「記事にしたい」と思う物を出さないと、取材に来るわけ無いんです。
例えば、八百屋で大根を売りますというのを報道しますか?
まず、報道されないでしょう。
だって、八百屋なんだから大根売っているのは当然で、それを報道する、意味がさっぱりわからないですよ。
でも、ローカル線の活性化って、こういうことやるんです。
「記念切符を発売します」
記者からせすれば、八百屋で大根売る話と同じで「そりゃ駅だから切符売るだろう」としか思われないんです。
でも、コンビニで大根売ると報道されるんですよ。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1700Q_Y4A110C1MM0000/
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1401/24/news043.html
この違いは何でしょうか?
これがわからないから、みんな報道されないんです。

このことについても、山形鉄道の野村社長はこういっています。
マスコミに報道されるには「すしはどこさ」の法則があると。
http://keiei-online.jp/seminar/succession/post_192.html
要するに報道には、ストーリー、社会性、初物、ドラマ、公共性、サプライズ、これらがそろって始めて報道されると。
しかし、八百屋で大根を売るという話は初物でなければ、サプライズ、すなわち意外性もありません。
そんな物は報道しません。
一方コンビニで野菜を売るというケース。
元々コンビにって利便性を追求してきたところです。
利便性を追求する流通網、販売システムが確立していました。
そんな中で、鮮度維持が必要で手間がかかるものを売り出すなんて、意外=サプライです。
そして、今までのコンビニと違うという「初物」です。
ではなぜこんなことをはじめたのかというと、都市とかって買い物難民と呼ばれる方がけっこういます。
核家族化で一人暮らしのご老人が増えて、一方で郊外型の店舗に押されて都市部では徒歩圏にスーパーが無い地域って結構あります。
そういった所は、ご老人が生活に困っているという社会性とストーリーがあります。
そこに、今までの流通網と全く違う商品を配送するコンビニ社員の奮闘気というドラマがあります。
「さしはどこさ」が完全に一致します。
だから報道されるんです。

鉄道も同じですね、駅や車内で駅弁を売ります。
鉄道が日本に開業した百数十年前からの駅弁なんて売っているので、そこに何の意外性も初物もありません。
それは「八百屋で大根売ります」というリリースと同じなんです。
つまり、駅弁作ったなんて殆ど報道されません。
でも、うちでプロデュースした「メイドトレイン」という列車の中でメイド喫茶を展開するというのは、世界中で報道されました。
http://www.maidtrain.info/
でも、これ要するに「車内販売」なんです。
ではなぜこんなに世界中で報道されたのか、それはまさに「すしはどこさ」なんです。
まず、誰もこんなことやっていないから、初物です。
次に鉄道で、まさか地方のローカル線でという意外性、サプライズです。
そして、何でこんなことをやったのかというと、ひたちなか海浜鉄道は経営再建中というストーリーです。
実際日本テレビの報道では「乗客が減少し、経営が厳しく、乗客誘致をしている」旨コメントも入っています。
そこで地元特産のお弁当を販売する=地元経済へ貢献=社会性です。
そして、これらを実現するために保健所と掛け合ったり色々大変だったというドラマです。
鉄道は公共交通機関ですから、公共性については論じるまでもありません。
「すしはどこさ」が完全に一致するので、報道されます。

さらに、掲載されるなら大きく掲載されて、より多くの人に知ってもらいたいですよね。
そこで我々やるのが、マスコミにリリース打ち込むのは「木曜日の15時」という法則があります。
まず、15時って夕刊の締め切りに間に合わないんです。
ではなぜ締切時間に間に合わないところでわざわざやるのか?
夕刊って発行部数少ないんですね。
少ないところに載せられるより、発行部数が多い朝刊に載った方がいいですよね。
だからあえて、夕刊の締め切りに間に合わない時間にやります。
また、朝刊の編集会議って20時~21時頃なんです。
とすると、15時だとそこから取材して記事書いても、この会議に間に合うんです。
さらに、ただ「こんなのやります」とリリース打っても、開催前だと写真が無いですから、ベタ記事にされるしかないんです。
そこで、事前に写真準備しておくんです。
上記のホームページの写真も、運行1.5ヶ月前に池袋駅の特急ホーム封鎖して、さらに当日の車両の運用変更までさせてわざわざメイドの子を集めて撮影しました。
その画像をマスコミにCD-Rでリリースと共に配布します。
それもちゃんとレタッチして、印刷用のファイル形式で渡します。
ここまでやるから、ちゃんと写真入りで掲載されるんです。
ではなぜ木曜日かというと、掲載されるのは早くても金曜日なんです。
そうすると、週末って総じて暇な人が多いんです。
とするとこの手の物ってネットで話題にされやすいんです。
また、週末って、新聞業界で「暇記事」と呼ばれるものがあるんです。
週末って政治経済が止まっているので、ネタあまり無いんです。
そうすると「○○山に花が咲きました」とか、わりとどうでもいいニュースが掲載されます。
これが「暇記事」なんです。
こういうのって、ニュースの無いときのニュースなんです。
週末に向けてこの手の緊急性の無いリリース打ち込むと、こういう暇記事扱いで掲載される可能性が高いんです。
我々は暇記事だろうとなんだろうと掲載してくれればそれでいいので、可能性高いほうがありがたいのです。
そのほかにももっと細かいプロセス経ていて、この後も続くんですが、レクチャーすると1時間くらいかかるので、もしお会いすることがあればその時にでもお話します。

一方、行政のマスコミの使い方って色々調べて実際のリリース文も検証しましたが、やはり共通していて、こういうこと全く考えておらず、ただ地元の記者に「こんなのやりますので、よろしく」程度のリリースしか渡していないんです。
でもそんな物は紙面割いて報道する価値が無いんです。
だから報道されないんです。
せいぜい地元の新聞が、地元経済という視点で報道する程度で、全国的には誰も知られないという状況が起きます。
みていると、活性化ぜんぜんしないところって我々のような仕掛け屋と発想が真逆なんです。
つまり、我々のような仕掛け屋は話題にしたりブームにするにはどうするのか、強いてははどうすればマスコミが取り上げるのか、そのために何をしなければならないのかという方向から考えます。
その上で、地元のPRをどうやって繋げていけるのかという物の考え方なんです。
しかし、失敗するところってまずはじめに自分たちが何をしたいのかから始まります。
いくら「こういうことやります、報道してください」と言っても、報道する価値無ければ報道しないんです。
それを延々やるから報道されない=誰にも知られないという現象が起きます。
お客様に対しても同様で、まずお客様のニーズが先にあるんです。
そのニーズ無視して「こんな特産あります」とアピールしても、「別に興味無いですから」で終わるんです。
だから活性化しないんです。
でも、このマスタープランを見ても自分たちが何をしたいのかばかり書かれていて、お客様が何を求めているのかが一つも書かれていないんです。
まず、時代が何を求めているのかというマーケットの背景や、お客様が何を求めているのかというニーズの把握が最も重要です。
その上で、自分たちが提供したい物と、どうやってマッチングできるのかです。

お客様のニーズとうまくマッチングさせた例が、埼玉県の秩父市です。
http://timecapsule.jp/katasomeshop/anohana.html
若い人に染物買ってくださいと言っても、買うわけ無いんですよ。
でも、秩父は「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」というアニメの舞台です。
アニメという若者の需要と、秩父銘仙という地元の特産品をうまく結びつけた事例です。
こういうのはブームになります。
別にオタクに限らず、例えば一時「山ガール」という、女性の登山ブームがありました。
この需要に小田急電鉄がうまく乗りました。
http://www.odakyu.jp/recruit/shinsotsu/project/report09.html
ここは確かにトイレ改修したり、ハードの整備もしましたが何より集中投下したのがプロモーションです。
小田急は小田急エージェンシーという広告代理店を持っています。
元々専門集団がグループにいます。
そこで、まず小田急の殆どの駅、車内にポスターを貼ります。
車内に張っても、一日に数百万人利用しているところなら、ローカル線と違ってそれは意味があります。
また、自社だけではなく関東の民鉄にも声かけてプロモーション協力してもらっています。
私千葉なんですが、京成バスの車内にも貼られていました。
千葉から伊勢原って約100kmありますから、KTRのポスターが京都市内のバスにガンガン貼られているイメージです。
そこまで知ってもらう努力しているんです。
いつも言っているように、成功する所は「何かをする」と「知ってもらう」が常にセットなんです。
でも、失敗する所は常に「何かをする」で止まって満足してしまうんです。
このプロジェクトが成功したのは、まず「山ガール」というブーム、すなわちマーケットニーズがあり、そこに小田急グループの持っているポテンシャルをつなぎ合わせたこと、さらにそれをグループのみならず関東民鉄にまで協力を求めて集中的に知るきっかけを作ったこと、だから成功したんです。
こういうのが一体になると成功するんですね。

このマスタープランは私は非常に「ネガティブ」の判定です。
この手のプランニングって、大体色々な関係者が集まって、意見出し合って作りますよ。
これが一番駄目なやり方なんです。
良く考えてください、そんな作り方をする映画って無いですよ。
まず、映画の製作主体はどこなのか?
映画の製作会社です。
そこに全体を統括するプロデューサーがいます。
そのプロデューサーも、ゼネラルプロデューサーとか、エグゼクティブプロデューサーとか、元締めになるプロデューサーと、各部門ごとのラインプロデューサー、音楽プロデューサー、宣伝プロデューサーとかが配下にいます。
そこに更にディレクターがいて、それを補佐するアシスタントディレクターがいます。
その他にも多数のスタッフがいますが、それらが対等であることは無いんです。
だって映画で一番決定権持っている人って監督じゃないですか。
そして色々なスタッフの調整や、プロジェクトの管理、予算管理を統括するのがプロデューサーです。
その最終責任は映画会社にあります。
もちろん企画会議とかで色々意見出し合う場はあるでしょうが、最終的な作品に対する決定権は監督にあるんです。
そして販売を含めて全体的な決定権はプロデューサーにあります。
つまり、海の京都事業ってこういうピラミッド構造になっていないんです。
それは結果として、強力な演出をしていく監督もいなければ、管理をしていくプロデューサーもいないということなんです。

濡れ煎餅ブームの銚子電鉄出身でも、現在は銚子市観光プロデューサーの向後功作という方がある講演でこういっています。
「活性化に成功したところには、大抵プロデューサーがいる」と。
みんなが集まって対等な関係で意見を出し合うというのは、裏を返すと誰も決定権も無く、指導者もいないという事なんです。
こういう場で意見が拮抗すると、みんな揉め事起こしたくないのでお互い譲り合いになるんです。
何をすべきかではなく、円満な解決になってしまうんです。
私も色々な会議とか出たことがありますが、まず、皆さん意見言いません。
私も同じですよ、そういう会議の場では大人しくしていますよ。
ギャーギャーいってうるさい奴だと思われたくないんで。
みんな同じだと思いますよ。
仮に意見を言うような場であっても、本音は言わないんです。
「いや、それおかしいよ」とか言わないんです。
だからはじめから上下構造を作ってから意見を出し合って、意見が拮抗した場合の採択件は誰にあるのかを明確にしておくべきです。
じゃないとみんな好き勝手、統制の取れていないことをはじめてメチャクチャになってしまうんです。

多数決も一見民主的なようですが、決してそうではなく、知識と経験がある人たち同士で多数決をするとそれは高度な結論が出ます。
でも、知識が無い人たちで多数決を取ってしまうと、正しい方向に向かわず、場合によっては少数派の方が正しいことすらあります。
先に紹介した石川氏羽咋市のスーパー公務員と呼ばれる高野誠鮮さんが正にそうです。
地元の米をブランド米にしようとしたら、地元の農家の人が猛反発して「バカ野郎、帰れ!」状態になったそうです。
160人のうち、2人くらいが「やったみてらどう」と言ったそうですが、殆どは「帰れ帰れ」です。
数年後、ブランド米は成功し、農家の収入も4番近くに引き上げ、若い人も入ってきて限界脱出できたそうです。
要するに、少数派の方が正しかったというわけです。
先に掲載した秋元康の言葉のように、AKBにしたってはじめて「そんな物絶対に流行らない」と言われたそうです。
でも結果はご覧の通り。
(もちろん少数派が常に正しいとは限りません)
つまり、強力に牽引するリーダーがいないとこの手のプロジェクトってうまくいかないんです。
だから羽咋市は高野さんよなうな人がいたから成功したし、富士宮やきそばもそう、くまモンもそうなんです。
成功する所はこのようにプロデューサーか、名称は違っても同様の役割を担う人がいるんです。

それと非常にまずいなと感じるのは実施主体の殆どが、「民間」と書いてますよね。
これとんでもない誤りで、実施主体はプラン立てた自治体ですよ。
(もっと言えば、京都府が主体のはずです)
民間と協力してやっていくのが悪いとは言いません、むしろ必要ですが、あくまで主体は自分たちですから、責任あるのも自分たちなんです。
でも、その意識が無いと何が起きるの?
ただの丸投げになるんです。
後はまかせっきりで全く確認しないという。
でも、そもそもプロデューサーも監督もいないので、そもそも確認する人もいないわけです。
さらに各々が、確認、連携もしないんです。
実際これがKTRで起きているんです。
まさにホームページがそうなんです。
赤松、青松、魅力が伝わっているのか?
だれも検証して無いんです。
例えば低速走行で海が見え、その魅力がどうやって伝わるのか?
誰も考えていません。
だから「お客様に、車両から見える海の素晴らしさを感動して欲しいのに、車両の写真出しても伝わらないだろう」とか、誰も考えないんです。
そもそもお客様に何を感動して欲しいのかという主体が無いから、これが異常だと感じないんです。

水戸岡さんの件は正にそうで、自分たちがまずは何をしたいのかが無いんですね。
鉄道の活性化をする主体ってあくまで鉄道会社なんです。
自分たちでコンセプトを作って、テーマを作って、ストーリーを作って、数いるデザイナーの中から、「やはり我々のプランを実現できるのは水戸岡さんだけだね」というのなら、水戸岡さんに頼めばいいと思いますよ。
そういうのが全く無いまま、水戸岡さんに頼んだと思うのです。
後は勝手に客来るんだろう論理なんです。
その証拠にその車両を生かしてどうやってお客様に感動してもらうのか全く考えていないわけです。
例えば車内でコーヒー販売していますが、紙コップなんです。
なぜ紙コップなの?と思うんです。
例えば宮津焼なんて物があるようですが、こんな器で来る方が価値観ありますよね。
http://asp.nihon-kankou.or.jp/bnr/ctrl?evt=ShowBukken&ID=26205be2230133277
でも、それをやるには食品衛生法の許可の問題があり、施設基準もあるんです。
でもあの車両は洗い場が無いので、器で出すこと出来ないんですよ。(洗面所は駄目ですよ)
というのを先に考えてから、設計じゃないですか?
考えていないんです。

我々もメイドトレインやるときは紙コップですが、これは一日二日のために数千万円かけて車両改造できないから「やむなし」なんです。
そこは色々検討しましたよ。
座席外してパーテーションで仕切って設備基準満たすという案もあったんですが、それをやると車両の構造変更になるので国土交通省の承認必要なんです。
一度承認取ったら戻すのにまた承認必要で、承認取れるまで車両使えないんです。
それは一日二日のためにはハードル高すぎますよね。
それは「やむなし」なんです。
でも、中全部ひっぱがして、数千万円かけて改造して、承認も取り直すなら、はじめから設備作っておけば良いんじゃないのと?と思うのです。
けど、主体無く水戸岡さんの車両入れてしまうので、後になって何かしようとしてもできなくっなてしまうんです。
ですから今から宮津焼きでやりましょうと言っても、100%不可能です。
施設基準満たしていないので、営業許可下りません。

駅弁にしても、同じで業者丸投げだと思います。
だから説明すら書いていないんですよ。
これに対しても、「これじゃーお客さんわから無いだろう」とか、全く考えないんです。
自分たちで試食して、自分たちの感じたコメントを載せたりすらしないんです。
一部、コメントは出ていますが「酢〆めの鮭と鰯を笹に包んで、枯れ松葉で止めたもの」、これでは何が魅力なのか全くのわからないと思いませんか?
例えば(内容は適当ですが)
「地元宮津港でその日の朝に上がった新鮮な魚介類をねたに、財団法人日本穀物検定協会が行っている食味官能試験において特Aランクに輝いた地元京丹後コシヒカリのシャリで職人が一つ一つ握りました。酢メシの酢は創業明治26年、121年にわたり宮津で酢を作りけた飯尾醸造の酢を採用。京丹後の歴史が香ります」
と書けば、なんか凄いものに聞こえません?
こういうこと考えていないんですよ。
行政のよくある観光案内ってただの電話帳で、観光地の住所と電話番号書いてせいぜい門構えの写真載せて、そもそもそこが何であるのかすら分からず、何が楽しいのかさっぱりわからないという観光案内がよくあるんです。
予約も、要するに在庫抱えたくないからという理由でしょうが、「職人手作りのため、一日200個までしか販売できません。鮮度が高いため、予約販売のみ受け付けます」

と書けば、とんでもない価値がありそうに聞こえますよね。
以前からよく言っている話で、「女子大生が夜にキャバクラでバイトしていると聞くとふしだらに聞こえるけど、キャバクラ嬢が昼は大学で学んでいると聞くとまじめに聞こえる」という法則があるんです。
でも、言っていること一緒なんですよ。
要するにこれって、同じ物でも、見方かえるとぜんぜん違うものになって、価値の無いものでもものすごい価値になるんです。
ですから、どうやったら価値になるのかなと、とことん考えていないと、価値があるものすら価値がなくなってしまうんです。
でも、こういうことばかりやってしまうのです。

極端に言えば全部、業者丸投げでも良いんです。
でも、ちゃんプロデュースと監修はしないと。
もっとやる気があるのなら、自分でメーカー行って、説明聞いてきて、どこの産地なのか、どういう拘りとか、聞いてくるべきです。
工場で「酢何使っていますか」と聞いたら「ミツカン酢です」というのなら、「それは味気ないね、飯尾醸造の使えない?」とか交渉しないと。
「コスト上がる」というのなら、どこまでコスト削減出来るのかとか、価格にどこまで転嫁できるかとか、そういうのをつめるのがプロデューサーの仕事です。
でも、プロデューサーがいないと、誰もやらないんです。
とはいえ、突然「お前プロデューサーね」と言っても、突然そんなことでき無いんです。
そうすると、結局全部丸投げになるんなです。
西舞鶴のちりめんが埃まみれとか、宮津駅がクモの巣だらけとか、なんでこんな現象が起きるのかというと、プロデューサーいないからなんですよ。

たしかにこれ「マスタープランなんで」というのもあるかもしれません。
でも、これも行政でありがちなのが、マスタープランあるのですが、実行プランが無いんです。
KTRも(具体的には書けないですが)、マスタープラン的なものはあっても、実行プランが無いんです。
ですから誰もやっていないんです。
例えば車内に広告枠ありますよね。
あれも車両導入した時に、標準装備でついていたのではなく、ここ数年で設置工事しているはずです。
というのは、広告で増収という経営改善をしようとした証拠なんです。
でも殆ど何も掲載されていないですよね。
これって「広告で増収」というマスタープランはあっても、どうやって広告取るのかという実行プランが無いんです。
しかもそれを誰も監修や効果測定していないでしょ。
だから何年もガラガラなのに誰も気付きません。
何でこんなこと起きるのかという、ではどうやって広告取るのかという具体的な営業戦略が無いんです。
これも典型的な手段の目的化現象で、広告枠作ったら後は満足なんです。
それで同時に物依存で、広告枠作ったら後勝手に広告来るんでしょ的発想というわけです。
だから殆ど広告集まらないんです。

実際、試算してみたんですが、広告いくらだと売れるでしょう?
一枠一ヶ月3千円なら余裕で売れるという自信ありますよ。
その根拠はこれです。
沿線で、「チャオ」「CS」「ジョインスリー」などのフリーペーハーありますよね。
これ小さな枠でも一ヶ月18000円ほど掲載料かかるんです。
あるいは「まねきねこ北近畿」という情報サイトがありますが、リンク貼るだけで5000円かかるんです。
でも、見てください、多数掲載されていますよね。
つまり、これくらいの広告需要は北近畿でも十分にあって、ビジネス成立しているんです。
であれば、3千円で販売なんて余裕じゃないですか。
5千円でもいけそうですよ。
仮に3千円で販売するとどれだけの収益になるのか?
一両30枠ぐらい広告掲載スペースがあり、普通車両だけで16両あります。
ということは一ヶ月の広告枠は480枠販売できます。
つまり、一ヶ月の売上は144万円にもなるんです。
一年だと、1728万円の売上です。
駅の広告とか入れれば、軽く2千万円の売上出せますよ。
2千万円の売上ほったらかしにしているのは、これはけしからんですよ。
たしかに毎月480枠売るのは大変だと思いますよ。
であれば、フリーペーハーの発行会社とかまねきねこ北近畿とタイアップして、ここの会社に3000円で下ろすので、後はその会社で5000円で販売してもらってもいいし、あるいは3000円でそのまま販売するけど、広告自体の制作費で2万円取るとか、そうすればデザイン料で儲かりますよね。
その話まで付ければ、あとは鉄道会社で広告の受付と掲載だけすれば、営業なんかしなくても、売上になりますよね。
こういうことが全く無いというのは、「広告で増収」というプランはあるのですが、具体的にどうやって広告取るのかという実行プランが無い証拠なんです。
しかもそれを誰も管理監督していないため、何年も広告取れていないことを誰も気付かないんです。
マスタープランの「情報発信」という項目も、実施主体「民間」にしているということは、多分そんな感じになると思います。
実際これ、あちこちで起きている現象ですから。

ただ、KTRは先に言ったように「再生できる」と思います。
同時に、海の京都事業も、うまくやれば北海道を超えるような観光地に出来ると思います。
理由としては、既に持っているポテンシャルが素晴らしいということと、なにより「人」です。
こういう問題点の指摘って何度もやっているんですが、けんか腰で反発する奴いるんですよ。
どれくらい酷いのかって、警察沙汰にまでなったことあるんですよ。
ある高校の鉄道研究会の生徒や取り巻きか警察で立件、家庭裁判所送致になっているんです。
本人は正しい事いっているつもりかもしれませんが、まったく知識も無ければ、法的見解も支離滅裂。
それで学校から指導されても、聴く耳待たずで警察沙汰になったんです。
これは極端としても、KTRや北近畿の皆さんって問題を受け入れて改善しようという意識を凄い感じるんです。
だからこそ事業者募集もやっているわけです。
自分たち限界だという認識をちゃんと持てたんです。
そういう認識を持てる所は改善できるんです。
「海の京都*ふじさん」さんについても、これだけがっつとり指摘したらどういう反応するのかな?と思ったんです。
でもちゃんと問題を直視して認識できましたよね。
こういうスピリットがある人たちの所は、成功すると思います。
現状の問題は関係者か無能だということではなく、皆さん何とかしたいんです。
でも何をしていいのかわからず、空回りしているんです。
ですから、それを回転させられる、強力なリーダーが来れば、私は北近畿はすごい事になると思います。
先に書いたように、私だって突然船に乗せられて「漁をしろ」と言われても、出来ないですよ。
出来ないなら「すみません、出来ないです」と言った方が勝ちなんです。
KTRは今それをやって、運行事業者を募集しています。
だから私は勝てると思います。

なんだったら私がKTRの再生やりたかったんですが、いかんせん事業規模デカ過ぎるんですよ。
運転資金も数億円でしょ、ちょっと無理ですよ。
運行会社まで準備して、社長を公募しますなら、応募したい気もしますが、運行事業者になって、事業免許も取れというのはハードル高かったですね。
ですので、うちも「コンサルティング」という部分だけで、手引きにしました。

どんな事業者が選ばれるのか・・・楽しみです。

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