@f_keita ご連絡遅くなりまして、失礼しました。
地元の方のようなので、詳細にお返事いたします。
(誤字が色々あったので再掲載します)
そろそろタイミング的にKTRの事業者募集のプレゼンが今日なので、もう公開しますが、うちの会社でKTRの事業者募集に関し、ある応募企業のコンサルティングをやっていたんですよ。
そのため、宮津の本社とか京都府とかにもここ数ヶ月何度も訪れて現地リサーチや、関係者に話を聞いたりしました。
上田社長とも2時間に渡りお話しました。
経営状況についても5cmくらいの厚さのファイルを20冊くらいでしょうか、見ましてかなり詳細に調査しました。
守秘義務があるのであまり詳しいことは公開できないのですが、一般の方でもネットで簡単に調べられる範囲でコメントします。

まず、成功事例ですが、これは色々あります。
鉄道に限定して言えば、ここ数年社長公募というのがよくありました。
この中でうまくいった所はうまくいったと思います。
このうまくいった所って特徴があります。
それは「何かをする」と「知ってもらう」が常にセットになっているんです。

例えばいすみ鉄道でジャニーズJr.とのコラボラッピング列車が走りました。
http://mantan-web.jp/2013/01/14/20130112dog00m200045000c.html
車内でジャニーズJr.の写真展示などをしました。
しかし、それを突然やったら、人が来るかというと、あまり来ないのではないでしょうか?
そんなことをやっていることをジャニーズJr.のファンが知るに至らないと、来ることはありえないです。
しかし、この企画はBSスカパー!の番組とタイアップしてやっています。
つまり、(地上波ほどではないといえ)全国に放送されるというわけです。
BSスカパー!は実質1年無料で見れるようなので、単純にBS受信世帯が視聴可能世帯数ですから、約1800万人弱見れるということです。
http://www.eiseihoso.org/data/
そのうちの仮に5%が見てとしても、90万人に「こんな列車走っていますよ!」と告知したことになります。
その90万人のうち、0.5%が乗りに来ても、4500人乗りに来た計算になるわけです。
この手のローカル線で4500人って相当でかいですよ。
実際の数値は調べていませんが、「何かをする」と「知ってもらう」がセットだとこうやって成功するのです。
仮にお客さんはそんなに来なかったとしても、マスコミに取り上げられれば大々的に宣伝するという宣伝効果考えるとぜんぜん「成功」といえるんです。
例えば90万人にビラ配ると、ビラの印刷代、紙代だけで100万円軽く超えるんです。
それに配布する人件費を考えると、数百万円は軽く超えます。
それをテレビでやってくれるのは、タダなんです。
そう考えると、マスコミに取り上げてもらうって絶大な宣伝効果があります。
成功する所はそれを分かっています。
でも、一向に活性化しないところって、こういう発想が全くありません。

この事について、石川県羽咋市で限界集落を救うほどの活性化をしたスーパー公務員と呼ばれている高野 誠鮮さんという方がいます。
この方はUFOで町おこしとか、面白いことをしています。
この方が、ある講演でこういっています。
http://www.kougabu.com/gallery/itou/pleasure/ufo.html
「まちおこしの根幹はマスコミにあるんだという考え方なんです。なぜかというと、まちおこしというのは謙譲の美徳を誇る時代じゃないんですね。どういう事かというと、どこでどんなにつまんない事をしていても、日本中の人に知ってもらう必要があるんですね。まちづくりというものの考え方からは、人に全然知ってもらわなくてもいいんだということはないんです。わが町を知ってもらいたい、そのためにはどうすれば良いのか。マスコミが流してくれればいいんですね。新聞、テレビで連日連夜ニュースで報道してくれて、雑誌で掲載してくれれば、町の宣伝になるんです。」

静岡県の富士宮やきそばも同じなんです。
まずここが何をしたのかというと、「富士宮やきそば学会」というのを作ります。
学会というと、何か権威ある研究機関のように聞こえます。
そうすると「何で焼きそばで学会の?」と皆さん思います。
そこに市場調査も「やきそばG麺」ですと行ったそうです。
こういう馬鹿馬鹿しい物ってマスコミが大好きで、年間175本報道されたそうです。
また、九州小倉の焼きうどん対決をして、その様子もテレビ番組にし、更に静岡県知事に必勝祈願を書いてもらったそうです。
知事が動くとマスコミも動きます。
こうやって「富士宮やきそば」「富士宮やきそば」「富士宮やきそば」「富士宮やきそば」「富士宮やきそば」と頻繁に報道されることで、多くの人に「富士宮=やきそば」というのがインプットされます。
そこにバスツアーとか仕掛ければ「じゃーいってみようかな」となるわけです。

我々も色々な事例を調査していて非常に感じるのが、どうやって知ってもらうのかを驚くほど全く考えていないことです。
例えば鉄道を利用していない人に利用促進するイベントをやりますと。
では、利用していない多くの人に知ってもらわないと、そのイベントに人は来ないですよね。
では、PRするのか?
駅や車内にポスター貼ります。
これが異常だと言う事に気付いていません。
なぜなら、普段利用していない人に利用促進するポスターを、鉄道利用しないと見えない駅や車内に貼っても何の意味もないですよね。
でも、それをやってしまうんです。
インターネットも、失敗しているところが多いです。
例えばホームページで情報発信するとします。
では、そのホームページにどうやって来てもらうのでしょう?
全く考えていないんです。
関係者に聞いても「ホームページに載せれば後は勝手に世界中に広まるんじゃないですか」見たいな事を言います。
せいぜい、「googleとかで検索すれば来れるでしょう」見たいな事を言うのですが、では検索キーを入れて検索してもらうというきっかけを作らないと、検索すらしてくれないわけです。
では、それどうするのか?
全く考えていないんです。
要するに、ちゃんとプロデュースされておらず、やっていることがミッションクリティカルではないんですね。
どこかが常に破綻しているんです。
思いついたことを何のコンセンサスもなく、次々にやっているだけなんです。
でも、何をしていいのかわからないから、どれもこれも中途半端で終わるのです。
しかもそれを誰も管理も統制も効果測定もしていないから、メチャクチャな方向に向かうんです。
こういうところって、何をやっても成果が出ません。

そうすると大抵の場合、成功したところの真似か物依存に走るのがお約束のパターンです。
そのことについて山形鉄道の野村社長がコメントしています。
http://keiei-online.jp/seminar/succession/post_192.html
日本一高い山はどこだというと皆さん「富士山」と答えられるけど、二番目に高い山はどこだというと、殆ど答えられない。
実際、私も昨年、三江線のイベントを東京で開催したさいに会場100人居るところで聞いてみましたが、知っているという人、二人くらいしか居ませんでした。
二番手になると、途端に誰も分からなくなるんです。
つまり、活性化において他の真似しても殆ど相手にされないということなんです。
実際は二番手三番手くらいまではケースによっては分かる物もありますが、30番、100番になるとだれにも知られないのではないでしょうか。

その最たる例が、ゆるキャラです。
ゆるキャラグランプリをやると1千体以上エントリーされますが、皆さん一体いくつ知っていますか?
写真出されて、なんと言う名前で、どこのキャラクターか、一体どれだけ分かるでしょう?
殆どわからないのではないですか?
他が成功したからうちもやる型はこういうことになるわけです。
まして、ゆるキャラって似たようなキャラクターばかり作ります。
結局、それって没個性になるだけです。
その中で人気になるにはどうするのかというと、余程戦略的にやるか、余程度を越えるのか、いずれかしかありません。
戦略的にやった事例は、くまモンです。
放送作家、構成作家である小山薫堂さんにプロデュースやアドバイスを依頼したからです。
一方、度を越えた例はふなっしーでしょう。
公式にも書かれていますが、落書きが飛び出したような雑なキャラクター、想像を超える張力、今まで殆ど無かったよくしゃべるキャラクター、なにより「船橋市非公認」。
明らかに他と違うキャラクーです。
これもブレイクのきっかけは、十六茶のCMとちその事を報道した、情報番組です。
やはりマスコミです。
こういうのは話題になるんです。
でもこういうことを何も考えずに、ほかで成功したからうちもやろうはみんな失敗します。

恋チュン動画もそうだと思います。
先手切って公開したところか、度を越えてやったところが成功していると思います。
例えば神奈川県なんと県知事以下、県の幹部とか総出演ですよね。
他の自治体もそうですが、「まさかあの人が!」みたいな所が話題になっていて、ブームだからと身内が集まってやっているところか殆ど話題になっていないのではないでしょうか?
これは元々、公式と非公式の違いもあるのですが、こういうのも常にアンテナを張っていて、情報入ったら直ぐにAKB映像センターに「うちもやりたいです」と連絡するスピード感と行動力が必要です。
でも、大体の所は様子を見て、ブームになってきたら「うちもやりましょうか」なんです。
そのときにはもう「うちもうちも」の過当競争になっているんです。
そんなところでやっても、話題になりません。
恋チュンなんてもう番組終わっているのに、いまさらやり始めているところがありますが、もう話題になるきっかけが無いんです。
こういうことするのって、他で成功したからうちもやれば人気になれるの典型なんですね。

このことについて、秋元康もこういっているんです。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140106-00000006-sasahi-soci
「僕も8年前にAKB48を立ち上げたときは、「秋葉原でアイドルなんて絶対ムリだ」と言われた。だが、不思議と「ムリ」という言葉が面白く感じた。無理=誰もやっていないぞ、空いているぞと。」
「成功パターンを踏襲したって絶対に次の成功はない。「人の行く裏に道あり花の山」なのだ。」
でも、失敗する所はみんな成功パターンを踏襲したがるんですね。
だから失敗するんです。
では、なぜそういうことをするのかというと、自分達で白紙の状態から作り出すというアイデアが全く無いんですね。
結局、何をしていいのか全く分からないために、他でやったこと真似る以外の発想が出てこないんだと思うんです。
でも、そういう所は完全に仕組みまで真似ているのではなく、ただ表面に見える形しか真似ていません。
あるいは物依存もそう、駅舎新しくしたらお客様来るとか、車両新しくしたらお客様来るとか、そういう根拠の無い妄想になります。
でも、いくら新型車両走っても、乗る用事が無ければ乗らないんです。
もちろん安全上やコストの問題でどうしてもやらなければならないときはやらないとならないですが、そうじゃないなら、物に依存するのって無駄なんです。

非常によくあるのが、古いものを生かすアイデアが無いと、ただのゴミにしかならないんです。
駅舎建て替えるとかってその発想が多いんです。
国鉄の風情が残る素晴らしい駅を活用するアイデアが無いと、新しくしてしまうでしょ。
素晴らしい集客アイテムを潰してしまうんです。
たとえばこう考えるとどうでしょう。
京都の清水寺を、鉄筋コンクリートにしたら、観光客来ますか?
あの木造建築の風情だから皆さん行くんですよ。
でも、それがいかに凄い価値があるのかも分からず、活用するアイデアも無いと、清水寺を鉄筋コンクリートにするような事が起きるんです。

そんなゴミと思われているところでも、センスのあるプランナーにかかるととんでもないものに化ける事例があります。
それが「mAAch マーチ エキュート 神田万世橋」です。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20130912/1052130/?rt=nocnt
ここって実は、70年にわたってほったらかしになっていた場所なんです。
一部高架下とか店舗に貸していましたが、こんなおしゃれなものを作るという発想が全くなかったんです。
先日行ってきましたが、開業当時のまま階段とか、タイル張りとか、当然風化しているんですが、それが凄い味わいになっています。
昔の貼り紙が残っていたそうでそれも展示されて、ちょっとしたミニ博物館になっています。
そして元々ホームのところにはカフェを作って両サイドに数分おきに電車が走り抜けていくという、素晴らしいカフェが出来ました。
これは別に新たに何かを作ったのではなく、そこにあったものを活用しただけなんですね。
中もコンクリート打ちっぱなしだったり、鉄骨が向き出ていたり、基本的な構造はそのままに、ちょっとリニューアルしただけです。
それがこんな凄いものに化けるのです。
でも、こういう発想がなかったから70年ほったらかしになっていたわけです。
ローカル線も同じで、そこにあるものを生かすという発想が無いと、新しくすればおもてなしだみたいな発想になるんです。
でもそれはみんな失敗します。
一方ローカル線で言えば、ひたちなか海浜鉄道の那珂湊駅はうまくやりました。
あそこも100年近く経っている駅舎ですが、構造そのまま、外観そっくりにリニューアルしました。
中もおしゃれな照明を入れるなどしましたが、基本構造は変えていません。
あちらの吉田社長も、仲良くさせてもらっていますが、結構な鉄オタの方なので、分かっているんですよ、そこにどれだけの価値があるのかが。
こうやって、レトロ路線で売り出しています。

さて、ここからはKTRの話です。
残念ながら、KTRはこの悪いパターンが完全に起きています。
特に「あかまつ」「あおまつ」については私は「ネガティブ」の判定です。
あれだけのもの作ったのに、使いこなしていないなというのが本音です。
典型的な物依存で、言葉悪いですが「水戸岡さんの車両入れれば後は勝手に人来るんだろう」という意識を感じました。
みなさん藁をも縋る思いでやっているとは思うんですが、結局何をしていいのか全くわからない、水戸岡さんやればうちにも客が来ると思っているんです。
その理由をいくつか説明します。

根本的なところですが、水戸岡さんの車両を走らせて、何をしたいのかが全く不明なんです。
要するにビジョンがありません。
もっと言えば、水戸岡さんの車両を走らせることが目的になっているんです。
ですから、走らせたら満足して終わっているんです。
これも各地で起きる「手段の目的化」現象です。
先に書いたポスターの件もそうなんですね。
ポスター作ったら満足して、どうすれば多くの人に知れ渡るか、何も考えていないんです。
他にも利用促進パンフレット作ったりとか各地で起きます。
では、そのパンフレット作る目的は何でしょうか?
そのパンフレットを見た人が、「これは素晴らしい、行って見たい」と思わさせるために作るはずです。
では、それをどこ置くのか極めて重要なんです。
でも、車内においていることが多いんです。
まずは「行って見たい」が先に来ないと、乗ることって無いのですが、乗らないとそのパンフレット手に取れないというのは、論理的におかしいです。
しかし、こういうことが各地で起きています。
水戸岡さんの件も、残念ながらこの状態です。
要するにお客様にどんな感動を与えたいのか、そこが全くありません。

それを証明するのが、いまこのタイミングで「黒松」を作り始めていることです。
私、KTRに「中止すべき」と申し入れました。
なぜなのか?
例えばディズニーランドで新しいアトラクションを作るとします。
であれば、まず一番最初にするのって、どういうテーマやコンセプトのアトラクションを作るのか考えることですよね。
次に、具体的な演出、歩くのか乗り物なのか、乗り物なら、速度はどうなのか、どこでどんなキャラクターがお出迎えるのかとか、照明はどうするのかとか、おそらくディズニーだとコンマ数秒単位でストーリーが作られ、演出されていると思います。
そこに演出プランを実現する具体的な、設備などのハードを準備し、更にそれを建築基準法や消防法に照らし合わせて、それに合致する設計をします。
そこで、はじめて建設ではないですか?
つまり、何をするのかが一番重要です。
しかし、現在KTRでは運行事業者を募集しています。
と、言うことはどの事業者が採用されるにしろ、その車両を使っていくのは新しい事業者です。
その事業者がどんなプランで、どんな演出でその車両を活用するのか、ここが最も重要な所です。
であれば、新しい事業者を募集するのなら、その意向を存分に組み入れて車両を作るべきです。
でも、事業者が決まらないうちに車両を作っているということは、その新しい事業者の意向を100%聞いていないんです。
それはディズニーで例えるなら、なんのテーマも演出プランも決まらないうちに、ゼネコンが工事している状態です。
何をするのか決まらないのに、もう工事が始まっているというのはおかしいですよね。
でもそれが今、KTRで起きているんです。

例えば、甲山駅と丹後神野駅の間に丹後ジャージー牧場 ミルク工房そらというのがあります。
ここの最寄の線路上に乗降ステップでも作って、列車が止まって酪農家の人が乗ってきて、乳製品を販売するという演出をするとします。
でも、それをやるためには食品衛生法と、県条例に基づく、乳類販売許可が必要です。
そしてその許可を得るためには、施設基準があり、その基準満たしていないと、許可下りないんです。
そのため、車両が出来た後に新会社がこういうことやろうと、保健所に許可申請をすると、一発アウトになる可能性があります。
とすると、出来ないんです。
あるいは沿線の駅から地元ミュージシャンが乗り込んできて曲を披露するというのなら、音響設備が必要です。
とすると、電源が必要です。
蛍光灯程度の低容量なら、駆動用のバッテリーからインバーターかまして100Vでも使えますが、容量必要だと発電機搭載しないとなりません。
その発電機も車内の照明やら、冷暖房やらでも使いますから、どれくらいの容量必要か計算しないとなりません。
特に今度の車両は車内で飲食できるようにするそうですが、食べ物何出すのかで営業許可違います。
例えば、お茶と菓子出すのか、ご飯類出すのかで許可違いますし、お茶とアイスクリームでも、また許可が違います。
ビールも、ジョッキで出すのか、缶で出すのかで許可が違うんです。
缶ビールも、お客様が手に持ったグラスに注ぐのか注がないのかで、許可違うんです。
食べ物を調理して出すなら、店内の設計基準があり、調理場は照明の基準や、手洗い場の洗面器の大きさの規格や、上水、排水のタンク容量の規程まであります。
つまり、何をするのかを先に決めないと、許可がみんな違うんです。
まして、確認しないで規格外の物が出来てきたら、使用停止しかないんです。
何でこんなことが起きるのかというと、典型的な物依存なんです。
何をお客様に提供して、どういった感動を得てもらうのか、そこを全く考えず、お客様の感動を追及しているのではなく、水戸岡さんの車両を入れることが目的なんです。
ですから、何をするのか、つまりお客様にどういった感動を与えるのかを全く考えずに車両を作り始めているわけです。
これすなわち、「水戸岡さんの車両入れれば後は勝手にお客さん来るんだろう」論理なんです。

それを証明するのが「駅」です。
お客様の旅はどこから始まるでしょう?
家を出たところからもう始まっているんです。
さすがに家を出たところからは何もできないですが、どんに最低でも駅の前に到着された時点で、鉄道会社の責任です。
であれば、お客様が駅舎を見た時から、お客様が駅に一歩足を踏み入れた時から、お客様の旅は始まっているんです。
しかし、西舞鶴駅のちりめんの垂れ幕は埃まみれ。
待合室は乱雑にポスターが貼られています。
宮津駅は、駅舎にざっと数えただけで三箇所クモの巣がありました。
またトイレは蹴られたか何かして穴あいた所をガムテープで補修しています。
非常に汚らしい状態です。
水戸岡さんの素晴らしい車両に乗ってやってきたお客さまがそれを見たらどう思うか・・・幻滅しますよね。
そういうこと、現在のKTRは全く考えていないんです。
これって完全に「水戸岡さんの車両走らせておけばいい」発想です。
お客様が何を見て何に感動するのか、全く考えていない証拠です。
ななつ星がすばらしいのは、素晴らしい車両が走っているからだけじゃないんです。
お客様へのおもてなしをとことん追求しているから素晴らしいんです。
例えば車内の食事で使うフォークやナイフも、適当に買ってきたのではなく、ノーベル賞受賞者の晩餐会で使う物を採用しているんです。
また、実際にJR九州の社長や水戸岡さんも乗って、乗務員のお辞儀の角度や話し方まで、トップ自ら指導しているんですね。
そういったことを全くせず、駅舎の掃除もせず、水戸岡さんの車両を入れるのは「水戸岡さんの車両入れれば後は勝手にお客さん来るんだろう」論理なんです。
逆に言えば、自分たちでプロデュースして作りこんでいける発想があれば、水戸岡さんの車両を数千万円もかけて入れる必要が無いんです。
もともKTRはエクスプローラーとかディスカバリーとか、良い車両持っているんですから、中のコンテンツを作りこめれば金かけてやる必要が無いんです。
でも、そうやって自分達で作る発想が無いと、物依存になるのです。

似たような話で、「写真」がそうなんです。
写真下手な奴に限って、良いカメラ、良いレンズ欲しがるんです。
物依存なんです。
でもいくら良いカメラがあっても、良い写真は撮れないんです。
たしかに最近のデジカメはテクノロジーに依存する部分も多いですが、最終的にその絵を切り取るセンスはカメラマンです。
どんなに良いカメラでも、その絵を切り取るセンスが無いと良い写真にならないんですね。
逆に、センスが強烈だとカメラの性能とか、もはやどうでも良い世界に突入します。
アラーキーこと荒木経惟さんというカメラマンがいますが、この方の世界観って物凄い強烈です。
この方って、プロカメラマンですが、コニカビッグミニというコンパクトカメラで仕事こなすんです。
その話がちょっとここに出ています。
http://aoharu18.com/annex/tabi_syouzyo/
私も一応、プロカメラマンという肩書きがあるんですが、アマチュアの集まりとプロの集まりって明確な違いがあります。
それはアマの集まりって、機材の話ばかりなんです。
一方、プロの集まりって、写真に対する世界の話ばかりなんです。
物に依存しているのか、世界を追及しているのかの違いです。

次にwebもそうです。
赤松・青松のwebは地方民鉄とは思えないほど高度で素晴らしいデザインです。
しかし、あのwebには一つ欠点があります。
それは魅力が一つも書かれていないということです。
やたらと水戸岡さんが、水戸岡さんがと書かれているのですが、あの車両に乗ると何が素晴らしいのか、お客様は何に感動するのか、一つも書かれていないんです。
いかに凄い車両か書かれていますが、何が感動するのか一つも書かれていません。
まず、「水戸岡さん」と言っても、一般の人はあまり知らないですよ。
私の周りの鉄オタ以外の知人何人もに聞きましたが、一人も知りません。
知っていても、デザイナーで乗りに行くものでしょうか?
であれば、一般の人は山本寛斎くらいは知っているでしょうが、だけど山本寛斎がデザインした京成スカイライナーに乗りに行った人ってまずい無いのではないですか?
つまり、デザイナーが誰なのかというのは乗る選択肢にならないと思うのです。
そこにいくら水戸岡さんアピールしても、乗車する理由にならないんです。
お客様がわざわざお金払ってこようとするのは、そこにどんな感動があるのかじゃないですか?
であれば、どんな感動があるのかwebに書くべきです。
でも一つも書いていません。
唯一、「低速走行・走行停止サービス」とは書かれていますが、車両の写真出しているので、お客様はそこから何が見えるのかさっぱり分からないんです。
駅弁についても、ただ写真があるだけで、そもそもそれが何かも分からなければ、そこにどんなおいしさがあるのかとかさっぱり分かりません。
例えば、その料理の歴史であるとか、産地が地元産の物であるとか、料理人のこだわりであるとか、そういうのがあると価値がありそうじゃないですか。
ただ写真貼って「950円」とか値段書いているだけでは、何がなんだかさっぱり分かりません。

車内にしても、アテンダントの方々確かに一生懸命やっていますが、観光案内もただの棒読みなんです。
お客様がワクワク、ドキドキするような演出が全くありません。
つまり、魅力が伝わっていないんです。
その証拠に、赤松・青松の稼働率、決して高くないんです。
前日でも殆ど満席表示になること無いんです。
私も実際乗りましたが、もう一つつなげていたコミューターの方が余程混んでいました。
つまり、実態はガラガラなんです。

ただし、私はここの最終判定を「再生できる」という結論で報告しました。
それは何故か?
今のKTRが破綻寸前だった日産自動車と非常によく似ているんです。
カルロスゴーン社長がこんなことを過去に言っています。
 「日産に初めて着任した時、私は日産が非常に混乱しているのに非常に驚いた。 社内には明確なプライオリティがなく、従業員はどうしたらよいかわからずに、めいめいが勝手に動いている状況だった」
KTRは正にこの状態なんです。
プライオリティー、すなわち優先順位も無く、みんな思いついたことを勝手にやっている状態です。
その一つがKTRでは駅名をネーミングライツにして、つまり駅名や商品名をつけて、その使用料で増収しようとしている一方で、京丹後市では副駅名の募集をしていて、企業名や商品名は受け付けないといっています。
まさにめいめいが勝手に動いている証拠です。
愛称とネーミングライツは違うんだというかもしれないですが、そうすると一つの駅に駅名が3つ存在することになり、ただただ混乱を生じさせるだけなんですよ。

また、高校生が集札箱を作って設置しました。
素敵なものが出来ました。
けど、運行事業者募集しているということは、早ければ一年もしないで社名が変わるのです。
そこにKTRとロゴ入れたら、撤去しかないんです。
なんの優先順位も考えていない証拠です。
この集札箱、今やる必要は無かったのではないですか?
それがせめてロゴを入れないか。
日産と全く同じで、非常に混乱しているなという印象を受けました。

「再生できる」という結論も日産と同じです。
それは「人」です。
いろいろと社員の方などにも話を聞いても、今のKTRはまずい事になっているという認識はあるんです。
だから色々やるんですが、何をしていいのか、何から手をつければいいのか、誰も分からないんです。
そして、それを強力に指導し牽引するリーダーもいなければ、やったことに対して効果測定や検証もしていないんです。
正に日産なんです。
ですから、まずベースでもっとも大切なのは社員が「何とかしていきたい」「新しいリーダーについてきたい」という意識なんですね。
特に労使問題を気にして調べていましたが、ここはそういう問題はないようです。
そして、行政も積極的に支援しようとしていますから、どこの会社が受かるのかは分かりませんが、斬新かつ強力に牽引するな経営者が入れば、場合によっては黒字化もありうると思います。
また、もう一つの問題として市民の方にも色々声を聞きましたが、みなさんKTR無くなったら困るというんです。
ある路線なんて沿線誰も「残って欲しい」と言わないところすらある中で、比率までは調べていませんが、残って欲しいという意見ばかりという中では、沿線の皆さんの支持も受けながら残っていけると思います。

それと、KTRはちょっとずるいぐらい、そもそも持っているポテンシャルが凄いですよ。
つまり、観光地としての要素を凄い持っているんです。
ただ、ぜんぜん生かしきれていませんし、ぜいぜんPRしてないんですよ。
さらにぜんぜん営業していないんです。
ですから「海の京都」事業を斬新な発想でプロデュースし、PRと営業を徹底的にやれば、意外と北海道を越えるような観光地になると思います。
大阪・京都からも近いですし。
そういう意味では、非常に期待が大きく、私はKTRは「再生可能」と判断しました。

実は今、京都府でプレゼンテーションやっている時間です。
視察の時に参加者の方々と名刺交換しましたのでどういう会社さんが興味を示されたのかも概ね分かりました。
社名は公開できないですが、「まさかあの会社が!」というところから「やはりあの会社か」という所まで色々視察に来られていましたね。
最終的に応募したところがどこかは分かりません。
ただ、もしかすると事業者決定しないのでは?という憶測があるんです。
それは、過去にも事業者募集って何度もあるのですが、鉄道の運行経験無い会社って落とされるんです。
中には、最適事業者が無かったと廃止にしてしまったところすらあります。
しかし、今回名刺交換した方々の中で、鉄道の運行経験ある会社って一社も無いんです。
さらに、ローカル線とはいえ100km以上ありますし、社員数も180人いるんです。
そうすると、公開されている売上や赤字から算定すると、3か月分の運転資金だけで、数億円準備しないとなりません。
その一方で確実に儲かるかというと、そうとはいえません。
まさに火中の栗を拾う状態です。
そうすると、捨て身で飛び込める一匹狼みたいな小さな会社しか応募できないんですが、そういう所は数億の資金なんてまず準備できません。
一方で資金準備できる大手が儲かるんだか儲からないんだかわからない事業に参入できません。
となると、紀州鉄道のように、鉄道運行しているという信頼が欲しいから、赤字でもやらせてくれという会社くらいしか応募できないんじゃないかと思うんです。
でも、そういう会社は鉄道の運行経験が無いからほしいわけですから、運行経験無いと駄目だと言うのなら落とされるんです。
そうすると最適事業者ってどんな会社なの?という事です。
実はうちの会社で応募しようかなんて話もありましたが、事業規模大きいですし、数億円なんて準備できないので、弊社としては早期に「応募しない」という判断を下しました。
社長公募なら応募したかもしれませんが・・・

とはいえ、素晴らしいポテンシャル、風景があり、食べ物もおいしかったので、本当うまくやれば化けるところだと思いますので、是非とも素晴らしい事業者さんが選ばれることを願っています。
うちの会社もビジネスマターにはなりますが、ご協力できることがあれば是非ともご協力したいと思っているところです。



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