なぜ就職でき無いのか? 就職活動でよく言われる「問題解決力」とは何かについての一考。

最近、「就職難」「就職氷河期」などと言われて、一流大学を出てもまともに就職でき無い人が多いと言います。
大学を出ても就職できるのは6割くらいという厳しい状況があるようです。
しかし、これは逆の言い方をすれば「6割はちゃんと就職できている」という事です。
では残る4割の人はなぜ就職でき無いのでしょうか?
同じ大学の同じ学部なのに就職できる者と就職でき無い者がいるというのは「就職難」では説明がつきません。
つまり、就職できる無い人には出来ないなりの理由があるはずです。
今回はその中の一つ「問題解決力」について考えて見ましょう。

最近の企業は「即戦力を求める」と言い、その中の一つに「問題解決力」をあげます。
問題解決力は「問題を解決する力」という読んで字のごとくの意味ですが、漠然としていて分からない人がいるようです。
では事例を挙げて説明しましょう。
先般、私は千葉駅から朝4時30分発という電車もまだ動いていない時間のバスで羽田空港まで行きました。
しかし、バス会社は首都高が工事で大幅な遅れになる事を分かっていたのに、ホームページやバス停で一切の告知をしておらず、バスが来て運転士が「大幅に遅れます」という物なので止まるバス停毎に乗客が「今更いうな」「電車でも間に合わない」と押し問答になり更に遅れる、結果ざっと数えただけでも二十名近くの乗客が乗車拒否という状況があった事をツイートしました。
これに対して多くの「バスは遅れる」「遅れて当然だ」「お前が悪い」という反発が来ましたが、これが典型的な問題解決力が無い物の考え方です。
まず、これは言っている事は正しいでしょうか?間違っているのでしょうか?
正解は「正しい」です、バスは遅れます。
しかし、それに対する乗客の答えはなんでしょうか?
「だったら乗らねぇよ」です。
バス会社はバスを運行することで、一人でも多くのお客様に乗車いただき売上を上げると言うビジネスモデルです。
そこにお客様がいなくなるというのはバスの存在意義がなくなりますし、お客様がいなくなれば経営できません。
それは路線の廃止になり、強いてはバス会社の経営破綻となります。
実際、中国バスはお客様が困っても知らぬ存ぜず、こういった傲慢経営を続けて、苦情が来ても「何が悪いんだ、嫌なら乗るな」という態度を何年も続けて巨額の赤字に陥ります。
しかし、両備グループが再生に乗り出したところ、わずか3年であっさり1億円近い黒字化したといいます。
色々な経営改革もしましたが、それだけ需要があったにもかかわらず、客離れを起こす事を平気で続け、「何が悪いんだ」という態度をしたのも一因として巨額赤字になった物です。

たしかにバスは遅れます。
しかし「それが当然だ、嫌なら乗るな」とやるだけの事をやって最後の最後に「仕方ない」では意味が全く違います。
お客様は「遅れても良い」のではなく、「遅れるのは仕方ない」であり、本来は正確な時間で運行して欲しい、それがお客様のニーズです。
それを無視して「遅れるのは当然だ」というのはお客様のニーズを無視しており、客離れがおき、強いては路線廃止や経営破綻に繋がる要因です。
こういったことが全く分からないと言うのは「問題解決力が無い」典型だといえます。
例えば既存のリムジンバスがあり、そこに新興のバス会社が参入したとします。
既存の会社は「遅れて当然だ、嫌なら乗るな」と言い、事前に遅れが分かっていても告知をしないどころか「お前が調べろ」と言い出す会社、一方新興の会社は常に首都高速とデータのやり取りをしており、事前に分かる工事渋滞などは直ぐにホームページやバス停で告知し、お客様が当日になって困る事が無い配慮を最大限にしている、突発的な事故でもメールアドレスを登録している方にはすごに知らせる、そんなサービスをしている。
利用者はどちらのバス会社を利用するでしょう?
料金が同じなら、より安心できる後者のバスを利用するでしょう。
「バスは遅れる」「遅れて当然だ」「お前が悪い」という傲慢なサービスはそれしか移動手段が無い状況であればまかり通っても、一度競争相手が登場すれば一気にお客様はそちらに流れます。
もっと言えば多少高くても、付加価値が高い方にお客様は流れます。
以上を踏まえて、「バスは遅れる」「遅れて当然だ」「お前が悪い」と言う回答は正しいでしょうか?
確実に間違っています。
それはお客様主義であるべき輸送機関が、完全にお客様を無視している発言です。
何度も面接で落とされる人と言うのは、おそらくこういう事を平気でやっているのではないでしょうか?
言っている事は間違っていないけど、根本的な問題が全く解決していない、これが「問題解決力」です。

では、このバスのケースはどうするべきでしょうか?
たしかにバスは遅れますが、お客は遅れて良いなんて思っていません。
出来ることなら正確について欲しい、でも現実はそうは行かない・・・
しかし100%正確な時間で運行する事は不可能でも、限りなく100%を目指すべきです。
それをやっているのが東京空港交通です。
「バスは遅れて当然だ」という反発が多数来ましたが、東京空港交通は「定時運行はリムジンバスの使命です」と銘打っています。
そのため、GPSで運行管理したり、過去の運行データから所要時間などを割り出し、新宿-成田空港間の定時運行率は100%です。
羽田線に至って遅れはあるものの10分以上の遅れは2%ちょっと20分以上の遅れはありません。
ちゃんと「定時運行はリムジンバスの使命」との認識のもの、常に定時運行に心がけ、お客様にも正確な情報を開示し、その上で「あくまでお客様の御判断で」というのなら良いでしょう。
「それでも遅れたらスミマセン」というのなら仕方ないことです。
始から「遅れて当然だ」とは意味が全く違います。

しかし、今回問題のバスはちばシティバスで、東京空港交通や関東運輸局に確認したところ、この路線のバス停設置や管理義務、お客様への案内の責任は京成バスにあるとの事。
片や東京空港交通はGPSで運行管理までして、正確にお客様に情報を開示しているのに、片やホームページで案内もしない、バス停に貼り紙もしない、お客様が困っても知らぬ存ぜず。
二十名以上が乗車拒否、つまり数万円の売上が下がっているのにおかしいとも思わない。
どちらがサービスレベルが高いでしょうか?
「そんなことしたら仕事が回らずパンクする」と言う人もいますが、片やGPS管理して、グラフや遅れ発生率も公開しているのに、片や貼り紙の一つも出来ないというのなら、余りにも無能なのではないでしょうか?
たしかに営業所から貼り紙を貼りに行くのは手間でしょう。
しかし、元々このバスは各バス停で運転士が降りて荷物を預かったりするわけで、運転士はバス停で必ず降りるのですから、そのついでに貼り紙をすれば良いだけの事です。
そこで遅れてもいいところ30秒も遅れないでしょう。
そうすれば手間をかけずに、お客様に迷惑を掛けないように出来ます。
そうすれば100%は無理でも、多くの人が助かります。

言っている事は間違っていないけど、そもそも何の問題も解決していない・・・
これが「問題解決力が無い」という事です。
おそらく、面接を尽く落とされる人はこういう事を連続して繰り返し、「なぜ俺は正しい事を言ってるのに認められないんだ」と思っているのではないでしょうか?
でもそれは結局「ボクは問題解決力がありません」とアピールしているだけなのです。
仮にこういう発想の人を会社に入れれば「何が悪いんだ、当然だ」という事を言うわけですから、他社との競争に晒されても、何の問題も解決できません。
当然そういう人を企業は採用しません。
こういう話をすると「バカ」「あたまおかしい」「老害」などと罵ってくる方がいますが、人を罵る行為は刑法第231条違反の侮辱罪という犯罪行為。
そんな犯罪を犯す方は、当然企業は採用しません。
結局、同じような学校を出ても就職できる人と、就職で気無い人に割れるのはこういうところではないのでしょうか?

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