#椿組対NECTER #椿組

「テメエらに還る場所はねえ……ここで死ねッッッ!!!」
 塚森懺悔は熊撃ちの矢のように惨状に飛び出した。盾に棒が叩きつけられる盛大な銅鑼めいた音が派手に鳴り響いた。怯んだ隊列に細い体を捻じ込む赤毛の修道女に慄いた警備兵の銃口が火を噴き、アスファルトの地面に反射する。次の瞬間彼は昏倒した。上段に警備兵の頭蓋を捉えた棒を己が体を軸に転回し、警棒を振りかぶった背後の兵隊を脇から突きだされた一撃が強く牽制する。推進し踏み出した一歩から振り上げた棒が三人の乱撃を受け止め、下段に沈んだ小さな体が正面の男の股を潜ってついでに急所をぶち抜いた。後ろで銃口を構えていた警備兵の真下から棒が突き上げられ、正確に彼の顎を叩き割る。悶絶する背後の兵士の背を突いて彼女を見失った数名の兵士を牽制しつつ後ろに隊列を保っていた兵士の銃口を蹴り上げ死角に潜り込む。隙は一瞬あればいい。彼女は身体を捻りながら肘と手首を鞭のように撓らせ、片腕で一人の無防備な鳩尾を突きながら片腕で射程内の兵士の銃口をずらし、返す一撃で一人の喉を狙いながら棒を軸にした蹴りの一撃で一人を吹き飛ばす。勢いを失ったところへなだれ込んでくる警備兵たちは背後から雪崩のような一撃を喰らって倒れた。それはいいように叩きのめされていた残った構成員たちだった。士気が違う。女の鶴の一声が犬のように逃げ惑っていた彼らを奮い立たせたのだ。
「死に場所はテメェらで選びな」
 塚森懺悔は再び荒れた大地を蹴り、宙を舞う。

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