【シリーズ】ローカル線はなぜ活性化しないのか?/山口県周南市殺人事件が起きた原因とは?

山口県周南市金峰の民家4軒から、男女計5人の殺害されるという痛ましい事件が発生し、同じ集落に住む63歳の男が逮捕されました。
しかしなぜこの男性こんな事件を起してしまったのでしょうか?
事件後経緯が明るみになるについて容疑者に対する同情の声がネットには増え、一部「平成の八つ墓村」と報道するところまで表れています。
「八つ墓村」とは、横溝正史による長編推理小説で、多数の映画やドラマになっていするものです。
これは、岡山県で実際に起こった32人が殺害された津山事件をモデルとした物で、戦国時代にある小村に財宝と共に逃げこんだ落武者たちを村民が災いの種になると武者達を皆殺しにしてしまうものの、その後村では奇妙な出来事が相次ぎ、祟りを恐れた村人たちは手厚く葬り、村の守り神とした「八つ墓明神」をつくり、いつの頃からか村は「八つ墓村と呼ばれるようになります。
しかし大正時代、村の旧家の当主・要蔵が発狂し、村人32人を惨殺するという事件が起こる・・・。
事件が起こった経緯や、村の佇まいが映画のシーンと似ていることから今回の事件が「平成の八つ墓村」と一部で呼ばれているのです。

もちろん、殺人や放火を肯定しようとは思いません。
しかし、どこかこの容疑者に同情する所はあるのです。
今回の容疑者は、若い時に村を出て神奈川県川崎市で長年勤めていた物の、両親の病気による看病のために村に戻ってきたようです。
そして携帯電話も通じないこの集落を活性化させようと、色々な企画や活動を始めたようです。
しかし、こういった人口の50%以上が65歳以上の高齢者にといういわゆる限界集落では、40代なんてまだまだ若造、村の人たちは相手にせず、そればかりか「都会崩れが生意気だ」「若造が何を言う」と心無い批判を浴びせ、ついには「いじめ」に発展したようです。
人間は気に入らない物は避けたり無視したりして、精神の安定を図ろうとする機能があり、ツイッターなどではブロックして互いが無視し合えば終息します。
しかし、こういった集落では気に入らない人とも毎日顔をあわせなくてならず、双方ストレスが蓄積していく状態があるようです。
そしてこういう田舎では、とかく外部から来た者に対して排他的になり、次第にいじめに発展、一部報道によると「都会から来たんじゃから、金も持っとろう。みんなのために草刈り機買って、草でも刈れ」と罵られ、それでも容疑者は住民に受け入れられようと、草刈機を自費で購入、燃料代も自費で草を刈り続けたのに誰もお礼も言わずに、しまいにはその草刈機が燃やされてしまったそうです。
なんとも切なく酷い話です。
こういった事を住民が続けたため、もはや我慢の限界と今回の事件に至ったようです。
もちろん殺人事件を肯定はしません、でもどこか同情するのです。

こういった現象と言うのは全国どこででも起きるのではないでしょうか?
私も地方のローカル線や活性化団体に提言や提案に行くと、似たような洗礼を受けることが度々あるのです。
まず、東京の会社というだけで「俺たちをバカにしにきた」という色眼鏡で見られる事があります。
勿論そんなつもりは毛頭ないわけで、だから経費使って行っているわけですが、何を言っても「バカにしやがって」みたいな態度をされることがあります。
特に活性化でき無いところと言うのは、色々な問題を含んでおり、知識や経験が無いようなケース、やり方が悪いケースが多数あるわけですが、問題を解決するためには、何が起きているのかという問題を洗いざらいし、その問題を解決しなければなりません。
ですから、現状こういう問題があって、世の中こういうことが標準になっているので、他ではこういう事例が多数ある、だからこうやって行かないとなりませんという話をしても、「俺たちを田舎者と思ってバカにしているのか」みたいな反発を受ける事が多々にあります。
例えば、地元の特産品を売りますと言っても、今時現金書留で送金と言うのは利用者のニーズからは著しくかけ離れています、ですから、こういう事はではいけません、今では電車とか通勤中とかでも、スマホで商品検索してその場で注文、クレジット決済という時代です・・・と、言う説明をしようものなら、「知らないと思ってバカにしやがって!」になります。

実際こういうところがありました。
私はいつも言っていますが、「うちのやっている事が仮に30点というのならどうぞ、60点、70点の事をやっていただければいいのではないですか?そういう会社が別に出てくるのなら撤退しても良いですよ」と。
これに対して、あるところで「金もらってやっている会社が30点で良いと思っているのか、100点の事やって当然だろう」と批判されていました。
ところが・・・
その活性化団体の代表が経営する会社に行政から、活性化の事業費が入っている事が、ネットで晒されていました。
しかし、ここの活性化団体が後に行なった写真コンクールでは殆ど応募者が無く、通常こういった賞金、商品が出るコンクールではご法度の関係者が多数応募、挙句は主催者は応募した関係者に名前を変えて応募するよう求め無ければならないほど応募が無いなど、殆ど内輪で楽しむだけのイベントになった所があるようです。
つまり、活性化のためだと集めた協賛金を身内で分配したという物です。
当然ご法度行為ですし、全く活性化になんてなりません。
お金もらってやるなら100点が当然ではなかったのでしょうか?
これは完全に言いがかり、ただイチャモンつけられただけです。
こんなことが、活性化って日常的に起きるのです。
今年4月に「ローカル線活性化意見交換会」というのを私の方で開催したさいにも、ある地方の鉄道事業者で活性化に取り組んでいる方からこんな話がありました。
「こういった所は、何か新しい事をしようにも、とにかく引き釣り降ろしてやろう見たい人たちが妨害する」と。
全国各地で似たような問題が起きているということです。

ある意味、こういった現象と言うのは昔からあることです。
先般、「千葉の鉄道119年目」というイベントに参加させていただきましたが、ここでも元国鉄職員など参加者の方こんな話がありました。
千葉県の駅と言うのはどうも町外れに駅が置かれている所が多いそうです。
結局、どこの町も同じで鉄道なんて無かった時代には、鉄道なんてよく分からない物でしかなく、当時は蒸気機関車ですから「あんな煙モクモク出すの来るな」とか、しまには「病気を運んでくる」「災いを運んでくる」と全く根拠の無い言いがかりも多数つけられたそうです。
結局、町の中心地の最も便利なところに通そうとしたのに、「来るな」「来るな」と言うから、町外れに駅作ったら、後世の人たちが不便を強いられたという実に迷惑な状況があちこちで起きたそうです。
そればかりか、駅が出来た町外れがどんどん発展し、元々中心地だったところがどんどん廃れるという状況も各地で起きたようです。
実は都心でもこの現象は起きたという話が、東京メトロの方からありました。
東京メトロ(当時、営団)日比谷線は元々は麻生十番の当たりを経由する予定だったのに、住民が反対したため広尾経由にしたそうです。
結果、南北線が出来るまで都心のど真ん中なのに鉄道が無い、バスしか交通機関が無い、陸の孤島と言われた状態が何十年も続きます。
先見の目が無い人たちのために後世の人たちは大迷惑をします。
そのため南北線を作るときには、「あれはオヤジたちが勝手に言っていたことだから」と現在の住民や商店街の人たちは調査や工事に大変協力的だったそうです。
近年でも似たような事があります。
携帯電話の基地局(電波塔)建設反対運動です。
携帯電話やスマホは数km設置された基地局と交信しながら通信をします。
都市部ですとビルなどの上に設置してあり、郊外から地方ですと自立鉄塔に設置してあります。
ところが二十年くらい前は「電磁波がぁ!」「人体に影響がぁ!」と各地で建設反対運動が起きました。
住民が「来るな」「来るな」と言うので、建設中止になったところも多数あります。
しかし・・・
今時、携帯電話の電波も入らないところに誰が住みたいと思うでしょうか?
最近は、地下ですら電波が入らないとクレームになるような時代、ビルの中などには専用の屋内アンテナまで埋め込まれたり、フェムトセルという室内に小型基地局を設置する、今では反対どころか基地局誘致運動まで起きてしまう、そんな時代です。
結局、先見の目が無く反対した地域は電波が入らず、みんな迷惑してしまうのです。
大体、「電磁波がぁ!」と言いながら携帯電話使っているという事は、自分で自分の脳に至近距離から電磁波照射しているわけですから、全くおかしな反対運動です。

以前、ある大学生の方がたずねて来て、私にこんな質問をされました。
「活性化で一番大変な事はなんですか?」
私はこう答えました。
「人の整理だ」と。
結局、活性化運動をする前に、こういった人たちをなだめて理解させて、納得させないと活性化運動はスタートしないのです。
ですが、とにかくイチャモンつけてやろうというタイプの人は、どんな事実を突きつけても絶対に納得しません。
逆に相手の言っている事が間違っていると証拠を突きつけて立証しても、とにかくイチャモンつけてやろうという人は、言い負かされて腹が立つという状態で、何が事実で、何が事実でないかという話すら出来ません。
私はここ一年ほど静岡県の岳南電車の活性化について、色々取り組んでいましたが、最近、新宿駅最寄の鉄道会社に勤務していると自称している方がツイッターで随分と私にイチャモンをつけてきます。
「エセコンサルティング」だとか、「お前の会社じゃないだろう」とか。
個人的に私の事をそう思うのは個人の自由ですが、ですがこの岳南電車の件は現状の会社の状態に疑問を持った若手の社員の方などと共に、ここ一年くらい富士市に何度も出向き、あるいは岳南の方が私の住んでいる千葉にも来たりと色々と意見交換をしながら進めてきました。
その結果、(まだ具体的には公開出来無いですが)ある大手旅行代理店はじめいくつかのスポンサー企業を集め、行政も絡めて改革プランを準備しています。
現在この話は、会社が応じるか応じないかという最終段階に入り、会社側、株主側も動いており、既に役員レベルで話が進んでいます。
当事者の方々は、どの段階に突入したのかわかっており、若手の社員の方からも「夢のようだ」と感極まったメールが届いています。
仮に私が「エセ」だとしても、現場の当事者の方が「何とかしてください」と言っている思いを土足で踏みにじる権限ががこの新宿駅最寄の鉄道会社にお勤めという方にあるでしょうか?
当然、ありません。
しまいには「弊社としてはお前の会社と取引しない」と、新宿駅最寄の鉄道会社に勤務しているという立場をひけらかして脅しまでかけてきますが、個人のアカウントで会社の判断を勝手に書くとは、重大なコンプライアンス違反です。
それがわからないという時点で幼稚な脅しだというのがよくわかりますが、ここまでしてでも潰してやろうとする人が出てくる、これが活性化運動です。

仮にそんな「エセコンサルティングとおっしゃるなら、私の方で準備した物を全部中止しましょうか」と私が言ったとして、この人は責任を取って活性化を引き継いでくれるのでしょうか?
一緒にここ一年取り組んできた社員の面倒を見てくれるのでしょうか?
その新宿駅最寄の鉄道会社には配下に広告代理店もあれば、旅行代理店もあるのですから、そんな決定権ある方なら、大きなプロジェクトも組めるのではないでしょうか?
組めるなら最初からやっていればいいことであって、何もしていないのはそんなノウハウも立場も無い事は丸分かりです。
こんななんの能力も無いのに立場だけひけらかして、脅しかけてでも潰してやろうとする人が出てくる・・・これが活性化運動の実態です。
ケースや事情は個別色々あるにせよ、全国各地でこういった状況は出てきます。
そして、こういうただイチャモンだけつけてやろうというタイプの人は、盛んに潰してやろうとするのに、潰すだけ潰した後は絶対に責任を取りません。
結局、活性化運動を始めるには、こういった心無い無責任な妨害に耐えなくてはならず、こういった人たちの整理からはじめないと、何もスタートしません。
そのため、そんな状態にうんざりして辞めてしまう人たちも多数います。
岳南電車の件は心無い批判に相当うんざりしていましたが、やはり現場の方が「なんとかしたい」という思いが強かったため、心無い批判にも耐えて大きなプロジェクトを準備しましたが、とにかくイチャモンつけてやろうという方は、いまなおこういった妨害を止めようとしません。
結局こういった方は基本は無視、しかし一線を超えたら法的手段を取らないとなりません。
そこまでの精神力とバイタリティーが無いと、活性化運動と言うのは出来無いのかもしれません。

しかし山口の事件は、限界集落という特殊な環境の中で、最悪の結末を迎えたようです。
冒頭から言っているように、殺人事件を肯定しませんし、当然私はそんな事はしません。
ですが、こういった心無い対応で町の発展や経済の発展を妨害している人が全国にいるという実態は考えていく必要があるのではないでしょうか?
岳南電車の件で私は社員の方と強力なタックルを組めたというのと、賛同してくれる外部の企業などがあったこと、ツイッターでも地元の方など現状を知る方からエールを頂いたことなどで孤立しなかったため、心無い批判にも精神的に追い詰められる状況は無かったと思います。

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