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金の髭 · @goldenhige

22nd Jun 2013 from TwitLonger


多賀城市の藤原益栄市議のブログ http://tagajou-giin-masuei.blogspot.jp/2013/06/618_21.html に寄せたコメント

※承認制なのかコメントが長すぎるせいなのかよくわからないまま投稿完了になるので、一応TwitLongerにて投下。

■対象記事
  2013/6/21
  日本共産党多賀城市議団長(藤原益栄) からのお知らせ: 6/18 「武雄市の図書館は真似するべきではない」と主張
  http://tagajou-giin-masuei.blogspot.jp/2013/06/618_21.html


初めまして。昨年9月から武雄市問題を追いかけている者です。

武雄市図書館の1階奥に吹き抜けの部屋があるのですが、そこには3.9mよりも更に高い、高さ4.6mの書架が使われています。それが最も高い書架のようです。
高さ3.9mの書架というのは、2階の壁際にずらっと並んでいる書架のことですね。前には狭い後付け通路があるだけなので、職員が高い部分の本を出し入れする際にちょっと手を滑らせただけで、本が最大8m下の1階まで落下してしまう危険性があります。人身事故も心配ですし、地震発生時の危険も考えると怖くなります。
そんな危険な巨大書架が使われてしまっているのは、既存の図書館建物に無理にツタヤやスターバックスを入れてしまったことに原因があります。

まず、武雄市図書館の開架面積と開架冊数について改装前後を比較してみます。
  改装前:1140平米、9万冊 →単位面積あたり79冊
  改装後:1572平米、20万冊 →単位面積あたり127冊
つまり、単位面積あたりの本の密度は1.6倍強となっています。
このように、従来よりも高密度に本を開架書架に収める必要があるため、危険な巨大書架を使わざるをえないのです。

一方で、改装後の開架面積1572平米に対し、CCC社に貸し出されている営業面積は745平米。
開架面積2に対し、営業面積1という比率であり、異様に広い面積をCCC社に貸してしまっていることがわかります。

つまり、武雄市図書館では、CCC社に広大な営業スペースを貸し付けたために、図書館業務を安全に行えないレベルの危険な巨大書架を使わざるをえなくなっているのです。
地方自治法では、行政財産の目的外使用許可は「その用途又は目的を妨げない限度において」となっていますが、武雄市図書館はその前提を満たしているとはとても思えません。

閉架書庫や事務室を潰して巨大書架を導入し「20万冊開架」を売りにすることも、
  1.CCC社に利益を上げてもらうため、広大な営業スペースを貸さなければいけない。
    (販売等で利益を上げないと採算がとれないとCCC社が新聞記事で明言しているほどの、異様に低い金額での指定管理契約のため。)
  2.かといってスタバなどを入れることで図書館の開架面積が狭まれば、批判が予想される。
  3.批判を封じるためにも、従来以上の開架面積を確保する必要がある。
  4.そのためには閉架書庫や事務室を潰して無理やり全開架とし、巨大書架に蔵書を詰め込むしかない。
という流れで決まったのではないかと推測できます。
つまり「20万冊開架」は閉架書庫等を潰したデメリットを無理に美化し、ごまかしているだけだと考えています。
他に挙げられていた「市民価値」についても同様のごまかしが多々あります。
遮音のための扉や、床下配線のために10センチ上がった床面によるエレベーターホールの段差、入り組んだ書架などによる、バリアフリー面での後退なども指摘されています。

蘭学館をツタヤのレンタルコーナーに明け渡したのも、一度は残すと言って市民を騙した上での不意打ちでした。
諸々の事実から考えると、昨年5月の発表当初から蘭学館を明け渡すのは事実上決まっていたものと思われますが、9月市議会や11/15の市民説明会では蘭学館は残すと説明しておきながら、12月市議会で突如明け渡しを決めました。
市民には反対運動を行う余地すら与えられませんでした。

CCC社に限りませんが、営利企業にはボランティアで図書館作りをする義理はありません。
地域貢献を考えないわけではないでしょうが、極力利益を得る方向に動くのは当然でしょう。
武雄市図書館改装のプロセスでは、
  ●樋渡市長が代官山蔦屋に憧れ、積極的にCCC社に呼びかけ、かつ迎合したこと。
   また、実現のためにはなりふり構わず、市民や議員を騙すことさえ厭わなかったこと。
  ●教育委員会や市民らが、図書館の果たす役割やあるべき姿などを強く主張できず、
   樋渡市長やCCC社の商業的な考えに抗しきれず押し流されてしまったこと。
   (教育委員会も積極的に迎合したのかもしれませんが詳細はわかりません)
が大きな問題だったと考えています。

樋渡市長は図書館だけではなく、住民票の発行やマイナンバーなどを始めとする自治体関連業務にもTカードを導入したいという不審な発言を繰り返しています。
CCC社はTカードにより個人の購買情報を貪欲に収集し、そのデータをマーケティングなどに利用して利益を得ている企業です。
本のポイントビジネスを始めたのも、本の売り上げを伸ばしたいのではなく、本の購買履歴から個人の消費ニーズを察知したいからだと述べています。
武雄市図書館で現在CCC社に提供されているのは「その人がいつ図書館を利用したか」という利用日時のデータのみですが、これも立派な個人情報です。
規約変更で簡単に提供データを増やせる状況でもあり、こういった情報企業が繊細なデータを扱う自治体業務に深く入り込むことには強い懸念を覚えます。
従来の図書カードが使えるにも関わらず、様々な懸念を無視してTカード導入を強行したのは、CCC社の商業主義に流されてしまった結果でしょう。

多賀城市の場合は新築でもあり、武雄市とは少々事情が異なりますが、教育委員会を始めとする市や市民がしっかりと図書館のあるべき姿などを考え主張していく強さを持たなければ、同じような問題が起きてしまうことでしょう。
直営にするか委託にするか、委託にするならどこに委託するのか。どの場合でも、大事になるのは「市や市民がしっかり主体的に取り組めるかどうか」だと思います。
その上で民間の力が必要ならば、商業主義に流されないようにしつつ、しっかりと相談しながら協力していけば良いのではないかと思います。

多賀城市においては、有益な議論がなされ、地域で重要な役割を果たし続ける良き図書館が創りあげられることを願っております。
お知らせした点が少しでも議論の参考になれば幸いです。

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