「くまモン」が大ブームになった理由は何か/【シリーズ】ローカル線はなぜ活性化しないのか


【くまモンがブームになったその理由】
「ゆるキャラ」が一大ブームです。
Wikipediakの「官公庁のマスコットキャラクター一覧」を見ただけでも実におびただしい件数のゆるキャラが存在し、ここに企業のキャラクターが加わると数え切れないほど膨大な数のゆるキャラが全国に存在します。
ある所では一つの役所の中に数十のゆるキャラが存在しているとかで、異常な乱発の過当競争状態となっています。
しかし、このキャラクター一覧を見て、知っているキャラクターがどれくらいいるでしょうか?
おそらく殆どは知らないキャラクターではないでしょうか。
そんななか、大変な人気を得たのが熊本県のゆるキャラ「くまモン」です。

ではそんな中で、なぜ「くまモン」はあれほどの人気になったのでしょうか?
私は前々からこんな例えをよくします。
「最愛の人が病気になったらあなたはどうしますか?」
例えば家に帰ったら愛娘が「お腹痛い」と叫んでいたとします。
誰だって直ぐに病院に連れて行きます。
それはすなわち「医者」という専門家に対応を任せると言う事です。
どんなに愛していても、どんなに助けたいと思っても、何の医学の知識もない人が台所から包丁持ってきて手術を始めても助かるわけがありません。
消毒の知識もなく、麻酔の知識もなく、腹を切り裂いたら直ちに出血多量と感染症で死んでしまいます。
仮に無事腹を切り裂いてもどこに何があるのか分からないのにどうする事も出来ません。
そんな事をしたら助けるのではなく、殺すだけです。
当たり前のことです。

しかし、ローカル線の活性化や町興しは実に不思議なことが起きます。
それは家で家族が自ら手術を始めるのです。
本来、お客様誘致やプロモーションというのは広告代理店が中心になりプロのプランナーが行なう専門職です。
広告の掲載には一定の資格が必用な物もあります。
そういった知識もなければ経験もない人たちが、「活性化」「がんばろう!」と始めるというのは、まさに医学の知識がないのに手術を始めるようなクレイジーな行為です。
いかにクレイジーな行為かがよく分かるのが「Facebook」です。
情報発信だと大抵Facebookが出てきますが、なぜFacebookなのでしょう?
みなさんこういいます「ブームだから」。
ではどれくらいブームなのでしょうか?
調べてみると、日本では人口の一割程度、県によっては5%をきっているところもあります。
つまり、90%近くの人は使っていません。
どこがブームなのでしょうか?
要するにマーケットリサーチをしていないのです。
病院で言えば、検査データを見ないで手術しているような物です。
こんな事が日常茶飯事に起きるのが活性化運動です。

そんな中、くまモンがブームになったのはまさに「医者」を呼んだからです
くまモンの起源は、熊本県が2006年11月に「Kansai戦略会議」を立ち上げたことに始まります。
これはアンケートを取ると熊本県の知名度が九州他県より低いという実態があり、九州新幹線全線開業にあわせて関西地方・中国地方をターゲットにして認知度アップを目的に立ち上げた物です。
当初は県職員による手探りでスタートしますが、やはりプロモーションのプロではない県職員が始めたため相当苦戦します。
そこで県は天草市出身の放送作家で映画「おくりびと」の脚本家の小山薫堂氏にアドバイザーを、そして小山氏は知り合いで宇多田ヒカルのアートワークなどを担当したアートディレクター・水野学氏へデザインを依頼します。
つまり、県は医者に依頼し、その医者も更に麻酔技師など専門家を呼び集めたと言う事です。
何の知識もない公務員の方々が、よってたかってああでもないこうでもないとやっていたら、おそらくくまモンブームはおろか、くまモン自体登場しなかったでしょう。

【医者は何をしたのか】
手術をするのなら、その前に検査をして原因を突き止めて、治療方針を決めて、手術するのに麻酔をして、消毒をします。
プロにとっては至極当たり前のことです。
くまモンの戦略はこの至極当たり前の事をしただけです。
まず、マーケットリサーチをして「熊本県の知名度が低い」という実態をつかみ、九州新幹線開業に合わせて関西を中心にプロモーション計画を立てました。
しかしいきなり手術はしません。
もちろん麻酔も消毒も必要です。
つまり、いきなり熊本県のPRをしても知名度が低く誰も興味を持ってくれていないのだから、興味を持ってもらう仕組みをちゃんと作って戦略的に行なったのです。

では具体的にどんな作戦を取ったのでしょうか?
くまモンがヒットしたのはただ単にブームのゆるキャラを採用したというのではなく、可愛いキャラクターだったというわけでもなく、ちゃんとブームになる「仕掛け」を準備していたことです。
言うまでも無く、くまモンが登場した当初は誰も知りません。
そこで突然、大阪の繁華街や観光地にくまモンが出没します。
そういう光景を見た人は今時「何か変なのいたークマー」とツイッターはじめとしたSNSで話題にします。
当然そうなる事を予測して突然出没させたわけです。
でも、この段階でまだ正体は明かしていないので、なんなのかわかりません。
当然、正体を明かしていないのですからPRにもなっていないのです。
それを繰り返すことで「最近大阪に正体不明の熊が現れている」と話題になります。
ここで多くの人が「なにあれ?」と注目し、見ていない人も気になって画像をもっている人から送ってもらったりしてどんどん「なにあれ?」が起きます。
話題になっているのに何なのか全くわからない、気になって気になって仕方ない状態となります。
ネットで検索しても、この段階は何かさっぱりわかりません。
つまり、皆さんこぞって情報を探しまくっているわけです。
そうやって注目をされたところで電車の中釣りなど交通広告などで「熊本県のキャラクターです」と告知します。
そうすると知りたくて知りたくて仕方ない状態で答えを出すとみんな欲しかった物ですから、こぞってその情報に接触しようとします。
それもただ告知したのではなく「熊だけど、時々猫もかぶります。」「その目のくま、くまもとで取りません?」「草食系にはもう飽きた」などのネタ広告を50連発準備して更に話題を喚起します。
こうするとネタ的に面白くて更に話題になります。

この当たりになると、かなり多くの人はくまモンを知るに至ります。
そこで、くまモンは蒲島熊本県知事より「1万枚の名刺を配り切って熊本の魅力を発信する」との使命を受けて神出鬼没に大阪に現れては、名刺配りをします。
その名刺は何種類かありますが、そこに書いてある事も「芸能人の友達もいます。スザンヌです。」「知事より有名になりたい」など県のPRからすると、まったくどうでもいいメッセージばかり書かれています。
またも「何だよこれ」と話題になります。
ここで名刺配布に嫌気が差したくまモンが失踪したという設定で、蒲島知事が架空の緊急記者会見を開き、「大阪でくまモンを捜して」「見つけたら名刺を受取ってツイッターに写真を上げて」と呼びかけます。
これが「くまモンを捜せ大作戦」です。
こうやって、くまモンの知名度を段階的に向上させ、話題を出し続けたのです。
こうなると話題のくまモンの名刺をみんな欲しくて欲しくて仕方なくなり、ツイッターでは「もらった」と自慢します。
それをみるとまた欲しくなります。
しかも何種類もあると、コンプリートしたくなる人もあらわれます。
こうなるともう、引っ張りだこ状態です。

その他、色々なところでくまモンは露出する(性的な意味ではなく)展開をします。
・くまモン隊を結成して県内各地でキャラバン活動
・幼稚園・保育園・小学校の訪問や各イベントなどで、「くまモン体操」披露
・振り付けは、ローカルタレントでダンサーの藤本一精に依頼
・くまモンファン感謝祭において、くまモン体操初音ミクバージョン披露
・GEORGIAや麦とポップなどのくまモン熊本県限定パッケージ発売
・くま川鉄道では、おかどめ幸福駅の切符を持ったくまモンの販売
・Jリーグ・ロアッソ熊本のホームゲームでは、試合前・ハーフタイムイベントにロアッソくんと共にほぼ毎試合出演
・九州女子サッカーリーグに属する益城ルネサンス熊本フットボールクラブの公式ユニフォームパンツ「くまモン」の絵柄が掲示
・くまモンのラッピング自販機を熊本市内中心部に展開
・RKK熊本放送 の熊本県広報番組「おしえて!くまモン」放送
・TKUテレビ熊本「ぴゅあピュア」のレギュラー出演
・熊本日日新聞くまモン4コマ漫画が連載
・甲子園球場アルプススタンドにて看板を設置
・大阪府のFM802でくまモンのレギュラー番組を放送
・吉本新喜劇にて2011年1月24日から1月30日まで「吉本くまもとウイーク」開催、くまモンおよび蒲島知事が出演
などなど、数え上げたらきりが無いほど多数の活動をしています。

【ところでくまモンは何をしたのか?】
しかし、ここまで読んだ方は何か気付かないでしょうか?
それは熊本県のキャラクター「くまモン」は殆ど熊本県をPRしていないと言う事です。
名刺を配っても、「芸能人の友達もいます。スザンヌです。」など、どうでもいいメッセージしか書かれていません。
県の良さなんて全く伝えていません。
これが県のPRなのです。

県はなぜ全く県のPRにならないことにお金を使ったのでしょうか?
くまモンのブームについては「奇跡だ」などと、本も多数出ていますし、インタビューも多数あります。
しかしこれ、プランナーの視点で言えば実にポピュラーな手法で軌跡でもなんでもないのです。
それは「AIDMA理論」に則ったに過ぎないからです。

AIDMAとは1920年代にアメリカ合衆国の販売・広告の実務書の著作者であったサミュエル・ローランド・ホールが著作中で示した広告宣伝に対する消費者の心理のプロセスを示した略語です。(Wikipediaより)
それによると、消費者の購入に至るまでに次のような心理プロセスがあるというものです。
Attention(注意)
Interest(関心)
Desire(欲求)
Memory(記憶)
Action(行動)

人は注意関心の無い物を購入する事はありません。
まずは「なんだろう」という注意があり、関心を寄せたところで「欲しい」という欲求になり、それを記憶し、購入します。
例えば多くの方が持っているスマホも、CMで見た、テレビで話題になっていた、ネットの記事を見たなど、なんらかの注意を引くきっかけがあり、「面白そうだ」「便利そうだ」という関心になり、「これほしいな」という欲求になり、それを記憶したはずです。
そして、現在の契約が切れて買い替えの時などに「じゃースマホにしようか」となったはずです。
たしかに衝動買いというのもありますが、それは店頭で注意関心を引く何かがあり、関心、欲求、記憶、行動が短時間にうちに行なわれただけです。
家に帰ったら、注意もしていなかった、記憶もしていない商品を買っていたと言う事は通常ありえません。
このように物を売る、サービスを提供することで一番重要な事は注意を引くことです。

最近は電通が提唱するAISAS理論という物があります。
Attention(注意)
Interest(関心)
Search(検索)
Action(行動、購入)
Share(共有、商品評価をネット上で共有しあう)
これは注意、関心まではAIDMAと同じですが、最近の消費者は関心があるものを直ぐに検索して、購入など行動した後はネットで情報を共有する傾向があるというものです。

くまモンは熊本県のPRが目的です。
しかしくまモンのホームページを見ても
http://kumamon-official.jp/
熊本県の案内なんて何一つありません。
つまり、くまモンはAIDMAやAISASのうちAttentionとInterestに該当する作業です。

【成功するところは同じ法則を取る】
これ、実は同じ法則を使ったCMがソフトバンクです。
ソフトバンクは、古くからIT業界では有名な企業でしたが、一般の人は殆ど知らない会社でした。
そこに日本テレコムを買収、続いてボーダフォンを買収して一般コンシューマーに商品を売る必要性が出たものの、一般の人からする全く聞いたことがない会社だったわけです。
聞いた事もない会社の製品など、なかなか売れません。
そこで登場したのが「白戸家」です。
お父さんが犬で、お母さんが日本人で、息子が黒人とか、もうワケがわかりません。
でも、こういう訳がわからないものはみんな話題にします。
あのCMが始まった時、みなさん「ねー、見たソフトバンクのCM、なんでお父さんが犬なの?」という会話しませんでしたか?
こうすることでどんどん「ソフトバンク」の名前が広がったわけです。
そうすると、皆さん「あのCMはなんなんだ?」と注目します。
その注目しているところで更に新しいCMを流します。
そうするとまた「見た?新しいソフトバンクのCM」「あのソフトバンクのCM、なんなの意味がさっぱり分からないよね」と、また話題にされます。
これを繰り返すことで、消費者は常にソフトバンクを気にするという状況が起きます。
そこでやっと商品やサービスの案内をすれば、気にしているのですから、みんな気にして聞きます。
そして、CM総合研究所はCM好感度というのを毎月調査していますが、ソフトバンクは常に一位独走です。

町興しでも同じです。
B-1グランプリで王者の「富士宮やきそば」も同じ法則です。
富士宮やきそばはまず始に「富士宮やきそば学会」を作ります。
そして市場調査には「やきそばG麺」を騙って行きます。
こうやって「やきそば学会のやきそばG麺だ」と市内中の焼きそば店を巡ったわけです。
突然こんなわけのわからない人たちが来れば、何事かとみんな思います。
そのうち市内で「最近、やきそばG麺とか言う変な人たちが歩き回っている」「なんなんだあの人たちは」とみんな思います。
当初は相当怪しまれたそうです。
しかしこういうあやしいものは皆さん注目します。
しかも、こういうおかしな物はマスコミが大好きで、面白おかしく次々と取材したそうです。
その数、年間175本の取材を受けたそうです。
そうやって繰り返しテレビや新聞、雑誌で「富士宮=やきそば」と放送したことで、全国の人たちは「富士宮やきそば」と認識したわけです。
「富士宮やきそば学会」の渡辺会長も、「富士宮やきそば協議会という名称なら今の人気はなかっただろう」と言っています。

「宣伝」というのはいろいろなパターンがあり、誰しもが知っている会社であればこういう戦略はとらないでしょうが、ローカル線の活性化や町興しは、全く無名の状態から始まるのです。
くまモンにしても、ソフトバンクにしても、富士宮やきそばにしても、これらはみな当初は無名だった物です。
こういった無名の物をPRするにはまずは知ってもらう事が重要です。
そして、知ってもらい、話題になるプロセスを徹底的にやったからくまモンは成功したのです。
もっと言えば、この思想は独創的でも奇跡でもなく、実に古典的な手法だといえます。
例えば野球場にはあちこちに企業名が書かれています。
人が集まるところで企業名を出せば名前が知れ渡るという物です。
当然、テレビの野球中継でも映ります。
知ってもらうのはPRの第一歩です。
くまモンが成功したのは、AIDMAはじめプロモーションの理論に基づき、しっかりと計画を立てて、まずは知ってもらう事を徹底的にやったからこそ成功したのです。

【失敗するところも逆方向に同じ事をする】
一方で、一向に活性化できないローカル線や町興しは何をするでしょうか?
失敗する所は、まずは魅力をアピールしたがります。
町や沿線の風景だ、特産品だ、郷土文化だと。
しかし、相手が興味を示していない所に突然そんなもの出してきても、相手が気にしていないのですから気にも留めないのです。
よくありますよね、突然地方の自治体の観光協会とかがが首都圏にやってきて郷土の舞とか披露したり、写真展やったり。
けど、誰も興味を示していないところで突然そんなことしても、立ち止まって見てくれる人なんて殆どいません。
パンフレット配っても受取ってくれる人も殆どいません。
これで失敗すると他で成功した事の真似を始めます。
他で成功したのだからうちもやれば二匹目のドジョウにあやかれると。
でも、目に見えない戦略も真似ず、形だけ真似たって同じ結果になりません。
ゆるキャラブームはまさにそう、表面の形だけ真似てキャラクターを作っただけになっているところが多数あります。
このループを延々と繰り返すのが、いくらやっても活性化しないところに共通するパターンです。
これはまさに「家族が手術する」現象で、プロモーションの事を何もわからない人たちが、見よう見まねでやっても決して助かる事はないというわけです。
プロに頼まなくても成功した所は確かにあります。
しかしそれは、身内にブラックジャックがいたパターンで、めったにないことです。

【失敗するとこが大抵やること】
失敗する所は、自分達は一生懸命でも、経験がある人からすると正気の沙汰ではないことが平気で起きるのです。
よくあるのが、何かイベントをやるのは良いとしてイベントをやる事に躍起になってどうやって多くの人に知ってもらうか何も考えていないことです。
せいぜいホームページで告知しても、そもそもホームページに人が来ないとその告知は誰にも知られません。
当たり前のことです。
ではどうやってページまで来てもらうか・・・何も考えていません。
そんな当たり前の事すら想像もつかないのです。
ツイッターで情報発信するのもいいですが、ツイッターはつぶやきが誰に届くのでしょうか?
基本的にフォロワーさんに届くのですから、フォロワー3名とかですと、殆ど誰にも届いていません。
しかもその3名が知り合いですと、もはやメールかLineでやり取りしているレベルで、外部には全く伝わりません。
この指摘をしたところ、「リツイートがあるのを知らないのか」と、文句を言っている方がいましたが、3人のうち3%リツイートするのと1万人のフォロワーさんのうち3%リツイートするのではどちらの方が影響力あるでしょうか?
やはり何も考えていないのです。

Facebookがブームだと使う人もいますが、ブームといっても国内普及率は1割り程度、逆に言うと9割の人は使っていません。
そんな事も何も考えず、調べもせず「ブームだ!」という言葉に踊らされて使い始めます。
この事を以前指摘したら、「登録していなくても見られる事を知らないのか」と文句を言われました。
たしかにFacebookは登録していなくても見られますが、視認性やインターフェースの問題があります。
最初に目に飛び込む画像を「キービジュアル」と言い、ここでまずはそれがどういうものかという印象が固まりますので、大変重要です。
これをどうやって見せるのか、見せ方やデザイン、もっと言えば色調やトーンにまでこだわるのがプロの仕事です。
しかし、その重要なキービジュアルの上に「登録してください」という画面がかぶさります。
これではキービジュアルが台無しです。
きちんとデザインされたホームページと比較すると、慣れなければわかりにくい、デザインも固定的なFacebookで情報発信するというのは多くのお客様を追い返しているだけです。
こんな重要な事も、「見れるからいいじゃねーか」では、いかに乱暴なPRをしているのかと言う事です。
このように、自分達は当たり前にやっているつもりでも、プロのクリエーターから見ると正気の沙汰ではないことが、平気で起きている・・・
医学の知識もないのに、手術をすると、こんなクレイジーな状態が起きるのです。
これらの事はプロのプランナーなら当然最低限レベルで検討することですが、そういった知識も経験もない人がやると、全く検討されていないどころか、検討が必要だということすら理解していない状態で事が始まります。
これはまさに、医学の知識も消毒の必要も麻酔の知識もないのに手術を始めるような実にクレイジーな行為です。

ゆるキャラブームの中、名も知れぬままに去っていく者が殆どというのはまさにこの状態です。
どうやったら人気になるのか、何をしなければならないのか・・・何も考えていないのです。
自分達は最大級で考えたつもりかもしれないですが、消毒も麻酔もしないで手術を始めているようなクレイジーな事が起きるのです。
毎度の手前味噌で恐縮ですが、私がプロデュースするメイドトレインもくまモンと同じ法則です。
よくみなさんこういいます。
「そんな物、沿線の特性とマッチしない」「地域のニーズではない」「一部のマニアにしか受けない」・・・
正直言ってどうでもいい話です。
まずは、話題を集めることが重要です。
地元の米を、ローマ法王に献上するほどのブランド米の育て上げ、限界集落を救った石川県羽咋市の公務員 高野 誠鮮氏がいます。
この方がある講演でこういいます。
http://www.kougabu.com/gallery/itou/pleasure/UFO.html
「まちおこしというのは謙譲の美徳を誇る時代じゃないんですね。どういう事かというと、どこでどんなにつまんない事をしていても、日本中の人に知ってもらう必要があるんですね。まちづくりというものの考え方からは、人に全然知ってもらわなくてもいいんだということはないんです。わが町を知ってもらいたい、そのためにはどうすれば良いのか。」
そしてこの方は突然、「UFOでまちおこし」をはじめます。
地元のアピールなんて全くどうでもいいところから始まります。
そして、マスコミに「トクダネだ!」と呼び出しては「うどんの具でUFOの着陸を模したUFOうどんだ」と取材させたり、UFOサミットやるぞと日清食品に(お察し下さい)協賛求めたり、もはやバラエティー番組の企画のような事を連発します。
あくまで地元のPRなんてどうでもよく、どうすれば話題になるのかを徹底的にやります。

高野誠鮮氏、くまモンの小山薫堂氏、共に面白い発想で活性化を成し遂げました。
どちらもまるでバラエティー番組のような企画を連発します。
それもそのはず、このお二方は共にテレビ制作者です。
そしても高野氏、小山氏共に、若いときには日本テレビの伝説の番組「11PM」という番組の制作をしていたのです。
こういったどうやったらブームになるかという事を理解しているプロがやったから成功したのです。
結局、ローカル線が一向に活性化しないのは、AIDMA論も知らなければ他の事例も何も調べない人たちが寄ってたかって、「ああすべきだ、こうすべきだ、あれはダメだ、これはダメだ」と始まって、プロモーションの基礎からもかけ離れた状態となります。
そしてこういった間違っていることを証明されると、腹を立てて殻に閉じこもり、しまいには暴力的な言動に出る人たちもいます。
当然この状態になったとこは活性化しません。

しかし、残念なことにこういったタイプの活性が運動が多いのが現実です。

Reply · Report Post