衆院内閣委員会での日本共産党の赤嶺政賢議員に対する安倍首相答弁(歴史認識関連部分)
(2013年4月26日、仮起こし=J)
※赤旗政治記者の仮起こしです。あくまでも、ご参考まで。

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 赤嶺政賢議員 法案に入る前に安倍総理の国会発言について聞いておきたいと思います。昨日韓国の外務次官が別所駐韓大使を呼び、「日本政府と政治家によるゆがんだ歴史認識と時代錯誤の言動に対し強く遺憾の意を表する」と抗議するなど、外交上の問題になっています。
 問題の発端である4月23日の参議院予算委員会で安倍総理は、村山談話について、「いろいろ曖昧な点がある」とした上で、「とくに侵略という定義については、これは学界的にも定まっていないといってもいいんだろうと思うわけでございますし、それは国と国との関係において、どちら側から見るかということにおいて違うわけでございます」、このように述べました。
 総理は、日本の過去の戦争について、どちら側から見るかで評価が違うというのでしょうか。中国や韓国から見ると侵略だが、日本から見るとちがうというのですか。

 安倍晋三首相 えー、いわゆる村山談話はですね、戦後50年を機に出されたものであり、また戦後60年にあたっては、当時の小泉内閣が談話を出しているところでございます。わが国はかつて、えー、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な…多大の損害と苦痛を与えた。その認識においては、安倍内閣は歴代の内閣と共通の立場、同じ立場でございます。
 ま、その上においてですね、ま、しかるべき時期に21世紀に相応しい未来志向の談話を発表したいと、ま、考えており、そのタイミングと中身については、今後十分に考えていきたいと、ま、先般そのように答弁をいたしました。
 ま、いずれにせよ、韓国や中国をはじめとする、ま、近隣の国々は、えー、日本にとっても重要な、ま、パートナーでもあります。えー、私はこれらの国々との関係強化に引き続き努力をしていくとともに、えー、地域の平和と繁栄に積極的に貢献をしていく所存でございます。
 えー、ま、歴史認識の問題についてはですね、ま、基本的に、私が先般も述べたことはですね、えー、政治家がとやかく、ま、いうべきことではないと。えー、歴史家がせん…歴史家や専門家に委ねることが適当であろうと、このように考えております。
 えー、私は歴史認識に関する問題が、外交問題、ま、政治問題化されることは、もちろん望んでいないわけでございまして、いわば歴史認識問題について、ま、政治のば…ば、ば、場においてですね、議論することが結果としてですね、それは、外交問題、えー、政治問題に発展をしていくわけでございまして、だからこそそれは、それこそは、まさに、えー、歴史家、専門家に任せるべきことであろうと、えー、このように判断をしております。

 赤嶺 再度確認いたしますけれども、村山談話で植民地支配と侵略がアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたという認識、これは継承するということですね。

 安倍 ま、これは、あの、ま、継承するとかしないとかということではなくてですね、それは、あのー、さきほど、えー、申し上げましたように、えー、村山談話がですね、50年を機に発出をされたものであり、60年を機に小泉談話が出されたわけでございまして、えー、ま、今回政権が代わり、安倍内閣が誕生したなかにおいてですね、えー、そして、えー、もうじき70年を迎えることになるわけでございますが、えー、内閣としてですね、えー、ま、未来志向の談話を、えー、発出していくのが、適当ではないかと、ということも含めて、えー、よく考えていきたいと、ま、こういうことでございます。

 赤嶺 非常に曖昧であります。日本が中国や朝鮮半島をはじめ、アジア諸国に対して侵略戦争を行ったということは、歴史的、客観的な事実であります。1941年12月、日本がアメリカ、ハワイの真珠湾を奇襲攻撃し、太平洋戦争が始まった直後、42年1月、米英中ソはじめ26カ国が連合国共同宣言を発表し、生命、自由、独立を擁護し、人類の権利及び正義を保持するため、あらゆる資源を動員して、日本、ドイツ、イタリアに対抗する共同闘争を呼びかけます。
 そして、1943年11月、「日本国に関する米英中3カ国によるカイロ宣言は、日本国の侵略を制止し、かつこれを罰するため今次の戦争をなしつつあるものなり」と、日本との戦争の目的が、日本の侵略制止にあると、このように規定しております。1945年7月、ポツダム宣言には、カイロ宣言の履行が明記され、そのポツダム宣言を日本が受諾したのであります。
 こうした事実を前提として現在につながる戦争後の国際秩序と国連体制が形成をされました。
 総理が国によって見え方が違うと、このように発言するのは、こうした歴史の事実を否定することになるものではありませんか。

 安倍 まあ、いま、もう、答弁したとおりでございますが、ま、歴史というのは、ま、一般論としていえばですね、これは、あの、えー、確定するって、えー、それは確定するのが難しいこともあるわけでありまして、長い年月をかけてですね、専門家の手のよって、えー、新たなファクトが、これ、掘り出されていくことも、ま、ございます。ま、そういうようなこともですね、えー、あわせていきながら、まあ、まさに、えー、これは専門家、あー、歴史家に委ねるべきであってですね、えー、私が政治家として神のごとくそれを判断することはできないと、えー、このように申し上げているところでございます。

 赤嶺 日本の政治家があの侵略戦争に対する反省から、国際社会からいろんなことを要求され、いま戦後につながっている、これは歴史家が判断することじゃないですよ。日本の政治家が判断をして、これにもとづいて国際社会に向き合っていくことこそ大事だと思います。
 で、見過ごせないのはですね、総理は侵略の定義について、これはまだ定まっていないとおっしゃいました。ところが、国連総会決議3314は、侵略の定義に関する決議をしておりますが、これはご存知ですか。

 安倍 ま、しかし、これは、あのー、歴史家のなかにおいてはですね、さまざまな、まあ、議論が、あるのは事実でございまして、えー、ま、私もですね、えー、そうした定義については、ま、さまざまな観点から議論がいまでもされていると、いうふうに承知をいたしております。

 赤嶺 この侵略の定義というのは、「侵略とは、国家による他の国家の主権、領土保全、若しくは政治的独立に対する…武力の行使である」と明確に定義しております。この侵略の定義というのは、国際刑事裁判所の規定にも援用され、国際社会が侵略行為と侵略犯罪を処罰する根拠規定とされております。これは日本も加盟をしております。
 国連は、戦後のこのような長い議論を経て侵略の定義に至ったのであります。
 やはりですね、そういうこともゆがめて発言するようなことは、許されないと、このように思います。

(おわり)

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