『スタードライバー THE MOVIE 冬の総会 2013 ~スタッフ☆トーク~』@シネマサンシャイン池袋

登壇者:五十嵐卓哉(監督)・榎戸洋司(シリーズ構成)・コヤマシゲト(サイバディデザイン)




司会はアニプレ佐藤さん。
舞台挨拶と同じように9nineの「colorful」が流れての登壇だったが、なぜか「だいじょうぶだから~」と中途半端に流れ始め場内騒然w


コヤマさん、榎戸さん、五十嵐監督の順で入ってくる。



それでは一言づつ挨拶を。

五十嵐:今日は一日よろしくおねがいします。

榎戸 :はじめまして。あるいは、お久しぶりです。

コヤマ:綺羅星十字団第0隊 タクヤファンクラブのコヤマシゲトです。


監督の「今日は一日」発言が気になりつつ、榎戸さんは2011年5月29日に東京大学で行われたトークショー以来のイベント参加ですね。
わーいわーい。ようやく公の場に出てきてくれたぜ、わーい。
コヤマさんは通常運転ですね。素敵ですね。


佐藤 :監督は、関東のファンの方とお会いするのは初めてですよね……あの、不測の事態が。

五十嵐:大阪の方は舞台挨拶に出させていただいたんですが、インフルで…。
    改めてこういう機会を与えていただけて、松竹とアニプレックスの方にお礼申し上げます。



五十嵐:皆さん、劇場版いかがでしたか?(場内拍手) ありがとうございます。
    榎戸さんともずっと話していたんですが、フィルムに対してどれだけ誠意を持って作れるかというのを意識していました。
    その結果が皆様に届いたのなら嬉しいなと思います。

榎戸 :舞台挨拶の登壇予定は無かったんですけど、監督がインフルで倒れちゃって東京の方出れなくて、
    また改めて挨拶をやるというので、助っ人として駆り出されて出てしまいました。すいません。
    正直、2時間半の映画っていうのは「さすがにちょっと長すぎるな…」と思ってはいて、
    怖くなってくると、「『ゴッドファーザー PART II』は3時間半なんだからいいじゃないか!」って自分に言い聞かせながら作ってました(笑)。

コヤマ:皆さん、上映中、トイレ大丈夫でしたか?(苦笑)

佐藤 :そうそう、最終チェックでスタッフで通して観ているときに、監督が音響監督の背中をちょんちょんって突っついてるんで、
     「あれ?なんか直さなきゃいけないところでもあったかな?」って思ってたら、音監さんが「はいストップ!監督おしっこー!!」

五十嵐:チェックの前に「長いから、トイレ行っとこう」って話は出てたんですが、僕は「子供じゃないんだから、途中でトイレ行くなんてありえませんよーハハッ」と言ってて、
    でも結局チェック中に「すいません、おしっこ行きたいです」って。

コヤマ:キャラがずるいなー!

佐藤 :でも、監督がトイレ行ったら「僕も僕も」ってぞろぞろ出て行きましたね。



佐藤 :今日ここにいらっしゃる方は相当な『スタドラ』ファンだと思うので、インタビューとか散々読んできてるだろうし、そうじゃない話をお訊きしたいですね。

榎戸さんがちょいちょいオフマイクでしゃべるのが気になる。聞こえたけど(・ω・)

佐藤 :今回、完全新作のカットが432cutありますが。

五十嵐:シーンとシーンの繋ぎとか、よりキャラクターの心情がストレートに伝わるように描き直したりとか。

佐藤 :その完全新作を含め、修正カットも合わせると新作部分は952cutですね。
    ちなみに全2500cutなので約4割程が劇場版仕様になってます。

榎戸 :切るに切れないシーンが多くて、どこを切るかで相当悩みました。
    サカナちゃんの童話は部分的に切ると意味が通じなくなってしまったので、僕のわがままで全部残してもらいました。
    そもそも僕の脚本の作風として、劇中劇ってのをよく使ってるんです。
    ただ、劇中劇もやり尽くしてしまった気がしていたので、じゃあ劇中劇の連載ドラマならどうだってのを思いついて、
    そこからサカナちゃんのお話が作られていったんですが、劇場版になったらそれが仇になっちゃいましたね。

佐藤 :でもサカナちゃんのお話もTVシリーズとは違ったシーンや台詞が挿入されていたり、
    劇場版ならではの作りになってますよね。

榎戸 :そうだ、「冬の風だ、今年もきた」っていう台詞が冒頭にありますけど、TVシリーズ始めたときは、どの季節で終わるかを考えてなかったんですね。
    もし季節が冬まで巡っていたら、最後にサカナちゃんがその台詞を言う予定だったんですが、秋で終わっちゃったので、
    「あ!サカナちゃんの台詞が言えない!」って気づいて、劇場版のときは絶対冬から始めようってことで。

佐藤 :皆さん、その冒頭の新作シーンが気になると思うんですけど、あれはどうなっちゃったんでしょう?

五十嵐:TVシリーズ終わったとき、僕らとしては描ききった感があったんですけど。
    でも、ファンの方たちの反応を見ていると、その後の物語を気にされる方が多くて。それを劇場版の冒頭部分にバーンと観せられたらいいかな、ってところが始まりですね。

榎戸 :バニシングエージが世界征服のためにまだ動いてるんですけど、綺羅星十字団は――ヘッドがタイムトラベラーになりたいって変な野望は持ってはいましたが――元々、世界征服のために動いていた組織なので、
    バニシングエージの方が正しい綺羅星十字団としての在り方なんですよ。
    やるべきことをちゃんとやってるのはバニシングエージの方なんだよ、他の奴らは何してんだよって話で(笑)。

佐藤 :そこで <真の綺羅星> ってところに繋がってくるんですね。

榎戸 :ポケットザメクってキャラクターが思いがけず生まれちゃって。
    僕の頭の中でスガタとポケットザメクの掛け合い漫才がずーっとあって、「これでシリーズ作りたい!!」って思ってた(笑)。

コヤマ:打ち合わせで、ザメクはどうなったんだろうって話をしているときに榎戸さんがずーっとポケットザメクの話をしていて、
    「本当にポケットに入ってるんですよ!」って言ってるんです。
    僕と五十嵐さんは冗談半分だと思ってたんですよ。「それはさすがにねーよ」って(笑)。

五十嵐:ポケットに入ってるってそれ演出的にどうよ?って。で、スガタが「黙れ、ザメク」って言ってる。
    それはさすがに真面目なんだかギャグなんだか判別つきにくくて、それにザメクなんだからもう少し格好良く出したいなと。

榎戸 :1日に1回、ポケットザメクはスガタのところにやってきて「スガタスガタ、一緒に地球の征服者になろうよって言いに来るんだけど、
     「お前は隙あらばそうやって地球人類を滅亡させようとしてんのに、かわいこぶってんじゃねえ!」(バーン)って殴られて、
    で、今度はタクトとところへやってきて「タクトタクトー、スガタがいじめるよー!」って言うんだけど、
    「どうせまた下らないこと言ってんだろ」ってバシって叩かれて、毎日いじめられてる、ナイスいじめられキャラってそういう設定です(笑)。

コヤマ:哀れだなー(笑)

叩くのは榎戸さんの熱演付き。パーでハエたたきの如く上から下へ。

五十嵐:舌っ足らずな子供が大人っぽい発言をしていたり、子供とスガタがそういう掛け合いをしてるのは面白いかなと。
    なので、ポケットザメクは子役にしました。


ポケザメちゃんの話がひと段落したら、佐藤さんがすごい目でお三方を見てたw

佐藤 :話が思わぬ方向に……(インタビュー用に)ちゃんとしたメモを色々用意したんですけど……。

榎戸 :脚本家の妄想を話してしまいました(笑)。

(。・ ω<)ゞてへぺろ♡

ここで誰かが「最初におしっこの話をしたのがそもそもの間違いだった…」ってぼそっと言ったのがすげえ笑えたwwww


佐藤 :こういうネタなのかなんなのかよくわかんないものを積み重ねて脚本ってのは出来上がっていくわけですが、合宿も何回かやりましたよね。

榎戸 :TVシリーズの合宿は4回かな?その内2回はここ池袋でやりました。

で、誰もホテル名が出てこないw 4回の内には阿佐ヶ谷でやったというザメク合宿は含まれてんのかしら?

五十嵐:大体、打ち合わせってスタジオでやるもんなんですけど、『スタドラ』の場合、大事なことは殆ど合宿で決まりました。
    皆さん、合宿というと名ばかりで遊んで終わるってイメージを持たれてる方が多いんですけど、
    ご飯を食べに行くとき以外はずっと榎戸さんやコヤマさんと顔付き合わせてずっと作品の話をしていて。
    それを見てた大藪Pが「皆さんストイックですね」って漏らしたのが印象的でした(笑)。

佐藤 :おしっこの話をしたから、お風呂の話をしたいんですけど。監督、あれは?

五十嵐:特に深い意味はないんですけどね。裸の付き合いは大事だよってTVシリーズから一貫してることであって。
    ただ、TVよりもう少し先に進んだ演出を……とやったら、「TVシリーズより際どいところまで見せてますね」って言われちゃったんですけど。
    他意はないです(笑)。

佐藤 :でもあそこは「やってくれたな」って思われる方が多くて

五十嵐:「やってくれたな」?

佐藤 :たちあがった!みたいな(笑)。僕は初めてあのカット観たとき驚愕としたんですけど。

五十嵐:ああ。僕のイメージなんですけど、スガタは男らしく立ち上がる。タクトは淵に座ってるっていう。

榎戸 :それ、深い意図はあったんですか?

五十嵐:そこ突っ込まないで。

佐藤 :TVシリーズのときもタクトとスガタのお風呂シーンはあって。
    でも何の色気もないんで、「これ、サービスシーンじゃないんですか?」って監督に訊いたら、「そういうんじゃないから!」って怒られたんですよ。
    なのに劇場版ではあんなことになっていたから、そういうのもあって驚愕しました。

五十嵐:もしかしたら心のどこかで残ってたのかもしれない。「サービスシーンにしなきゃだめなの?」っていう疑問が。


佐藤 :劇場版ではメインの3人以外もフォーカスされたシーンが多いですよね。
    僕は、イノセント・ブルーが流れてるところのフィラメントのシーンが好きなんですけど。
    ベニオに寄り添う2人っていう。

五十嵐:劇場版ではああいう、雰囲気が出るようなカット作りを意識しましたね。
    あと、『スタドラ』って舞台が南の島の割にはそこを強調するようなシーンがTVシリーズにはなくて。
    なので、ワコの新曲のシーンでそういう場面を作りつつ、あの3人が絆を深めていく流れを描写出来たらいいなと思ってやりました。

佐藤 :榎戸さんは「ここがサービス」なところはありますか?

榎戸 :全編サービスのつもり。あのフィルムの長さをサービスだと思ってくれたらいいなと。

佐藤 :新作シーンで気になるところは?

榎戸 :ゼロ時間に入るときにTVシリーズではバオバブの木が映るんですよね。
    でも、劇場版だと別のモノに変わってるんです。あの意味を監督に訊きたいなと。

五十嵐:バオバブの木のモチーフは『星の王子様』から引用してるんですが、あれはザメクの象徴のつもりで使ってたんです。

榎戸 :『星の王子様』は割と多く引用していて、TVシリーズでタクトがヘビに噛まれるシーンがあるんですけど、
    『星の王子様』でも王子がヘビに噛まれるんですよ。そして死んでしまう。
    でも、タクトはヘビに噛まれても死なずに生きているっていう仕掛けです。あんまり意味なかったな。ごめんなさい。

佐藤 :コヤマさん的にはやはりアバンの戦闘シーンがサービスですか?

コヤマ:そうですね。デザインに関しては、やはり劇場版になるなら主人公機は当然変わるでしょ、ということでデザインを変えて、
    あと新たな敵が出てくるのは劇場版のセオリーなので、新デザインは2体かな?と自分の中で結論づけてたんです。
    そしたら、この2人(五十嵐&榎戸)にボンズの会議室に呼び出しを喰らいまして、「7体いける?」って(笑)。
    「そのプラス5体はどこから出てきたんですか?」って訊いたら、「バニシングエージ」とのお答えが。
    その場では「ちょっと考えさせてください」って答えたんですけど、でもやって良かったと思います。
    あとタウバーンのデザインどうしますか?って監督に伺ったら、「胸がバーンっと出てる」との言われて、「いつもの擬音かよ」って(笑)。
    監督は基本的に擬音でしか発注しないんですよ。
    「バイクの車輪みたいなのがあって、こう、“にゅ~ん”って」「“にゅ~ん”ですね、わかりました」で生まれたのがテトリオート(笑)。

榎戸 :コヤマくんは以前、サイバディの同人誌(※『BODY』のこと。C80にて頒布)を出してて、
    そこに「榎戸洋司の一番好きなヨドック」って書いてあるんだけど、あれはカフラットの誤りです(笑)。

佐藤 :榎戸さんはなんでカフラットがお好きなんですか?

榎戸 :緑色のロボットが好きなんです。

コヤマ:えぇ!?そうなんですか?

榎戸 :うん。割と。

佐藤 :サイバディデザインという肩書きを外して、一観客として「ウヒヒヒ」ってなったところあります?

コヤマ:ウヒヒヒ?(笑)
    そうですね。ザメク戦前のタクトとワコのやりとりですかね。
    TVシリーズのときにこうなってほしいって思ってたものが、劇場で観れましたから。

五十嵐:劇場版ではカットしてしまいましたが、TVシリーズ22話の「神話前夜」という回に非常に大事な台詞があるんです。
    タクトがワコに「何があっても~」って言うんですけど、それはあくまで役の中で言った台詞なんですね。一応、タクトのアドリブではあるんですが。
    でも劇場版では役名ではなく、ワコと名指しで言うのに意味があるんだと思ってます。
    あのやりとりがあって、戦いに赴けるタクトという描写ですね。

榎戸 :22話はすごい重要なエピソードなんですが、結局カットしてしまって。相当悩みましたね。
    おかげで副部長がただのキツネになってしまったんで、劇場版のパンフレットに書くことないよ!って(笑)。

佐藤 :あれは苦し紛れのコメントだったんですね。


佐藤 :監督、あのラストシーンについて。

五十嵐:劇場版を作り始める際に、全員が新宿の街に揃ってるというエンディングのビジョンが思い浮かんで。
    TVシリーズの8話で四方の巫女がバスの中で揃うシーンがあるんですけど、あれを敢えて劇場版ではカットしまして、
    それは何故かというと、エンディングにあのシーンを持って行きたかったんです。
    そこには巫女だけじゃなく、タクトもスガタもマリノもみんな居る。    
    彼らは今まで封印や使命などで、枷を嵌められた状態だったわけですが、その封印が破られ、大人になるためのスタートラインに立つことが出来た。
    その描写をエンディングでやりたかったんです。
    いろんな所で話してますけど、『スタードライバー』という物語は“はじまりの物語”なので。

榎戸 :感動的なシーンの中、実はスガタのポケットの中では「出してくれよー!」ってザメクが喚いてると思うと笑えますね(笑)。
    そういう思いを込めながら、もう一度エンディングを観て欲しいですね!



以下、小ネタ。


・綺羅星ポーズ

榎戸さんと一緒にo<>∀・)\綺羅星☆!!/をする。ひゃっはー!東大ではなんでかやんなかったんだぜ。ひゃはー。

コヤマ:すごいよ!榎戸洋司とo<>∀・)\綺羅星☆!!/する機会なんて無いよ!

榎戸 :この「綺羅星!!」って挨拶は、僕が脚本に書いてて、ポーズは五十嵐監督が考えてくださったんですけど、
    TVシリーズの打入りのパーティのときにみんなでo<>∀・)\綺羅星☆!!/って挨拶しているのを見てて、
    物凄く「世界中が僕を責めてる!」って気分に陥った(笑)。「ごめんなさい!!」って。

コヤマ:あのときの榎戸さんすごい弱まってた(笑)。




・最後の挨拶

コヤマ:この後、人生という冒険は続くんですかね?続き……ます?

(登壇者全員で佐藤さんを見る)

佐藤 :………え!?あ、僕に?僕に訊かれてる?

榎戸 :この中ではスポンサーが「続く」って言ったら一番説得力があるんで。

コヤマ:わかるだろ、みんな!




・エンディングシーン裏話

佐藤 :新宿でロケハンしたんですけど、あのLOVEのオブジェの所で「(大きさ比較のため)佐藤さん横に立って」って監督に言われて立ったんですけど、
    なんか男2人で記念撮影してるみたいで、すごい恥ずかしかったです。

コヤマ:ヤバイよね、あの2人(笑)。

五十嵐:でも僕だって、合宿のときに1人で雨の中写真撮りに行って、周りに「なんか怪しいおのぼりさんがいる」って思われたと思うよ?
    おんなじだよ!

コヤマ:ちなみにそのとき使用したカメラは娘さんのカメラで、超デコられてるの(笑)。

五十嵐:レンズの蓋が開く所以外はハートとかのシールですっごいキラキラしてるの。

佐藤 :そんなカメラの前で僕はLOVEの隣に立った。

コヤマ:どう考えてもおかしいだろ、あの2人!

五十嵐:楽しかったね(笑)。

佐藤 :楽しかったです。


以上。

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