Minya_J

Takeuchi Jun · @Minya_J

10th Feb 2013 from Twitlonger

日訳全文/何清漣 @HeQinglian 氏ブログ;「新開地化計画の巨額資金は何処から来る?」2013/2/4 

 メキシコ・ティファナ市の新インダストリアルパークの出現で、北京もついにこのままでは「世界の工場」は別のところに花開いてしまう、と気がついて、仕方なく新たに経済発展を支えるあらたな柱を探しはじめた。その任に当たる李克强総理のこの半年の経済発展に関する発言を聞いていると、この『新開地化』は今後の中国経済の発展の核心のようだ。

実のところ、所謂『新開地化』(又は、「新市街地開発」)の本質は、依然として『不動産を先頭の牽引車として経済成長させる』思考で、ただちょっと。例えば農村人口の戸籍を都市戸籍に変える事を可能にする社会政策などをつけくわえて内容を増やしただけである。だが、私は、戸籍問題は農村人口の身分への差別を解決する事ができるだけで、中国の「新開地化」の成功や経済上の持続的成長へ果たす意義は大きく無いとおもう。

新開地化」の難点はこうだ。まず、その為の巨額資金はどこから得ることができるか?。誰がほんとうの不動産購入者になれるのか?そして、政策が押し進める「都市化」では、新たに増える都市人口と就業機会はどこから得られるか?さらに、農村人口の土地収用が産んだ矛盾をどう解決するかである。

★第一;「新開地化計画の巨額資金は何処から来る?」

 後開発途上国の都市化は一般的に産業の勃興期か導入移行期において、政策的誘導によって形成される結果で、その資金源はさまざまな方面から調達される。かっての珠江デルタ、長江デルタがそうで、工業地区や生活施設、物流インフラが全て企業を中心とする社会資金の共同参加によって建設された。

しかし今、開始されようとしている「新開地開発」は、まさに「世界の工場」が中国から東南アジアや中南米に引っ越そうとしている時であり、牽引車は政府の政策だけ、という時期で、まず第一の問題は巨額資金を何処から調達するか、である。目下の所、この計画は完全に政策主導型であり、したがって唯一の可能な投資の元は政府資金しかない。

過去5年間、中国政府は経済低迷を怖れ、全世界が不況に喘いでいる時ただ一国、不況知らずだったが、その方法は貨幣の大量発行で中央政府が4兆元投資(57兆円)、地方政府が十数兆元というのは大雑把な数字で、中央銀行の増発した通貨は遥かにこの数字を越えた。その証拠に;2012年末までに世界のM2(マネーサプライ指標)の残高は366兆元で、中国の新発行通貨数量は全世界の通貨の半分を占めた。2011年だと、中国が全世界新発行貨幣の総量の52%に達した。2012年末、中国のM2残高は100兆元に近づいた。興味深いのは中国が世界最大の”紙幣印刷機”国なのに、臆面も無く堂々と日本の「量的金融緩和」政策を非難していたことだ。


この種の世界史上にもまれに見る通貨濫発行にくわえ、人民元が国際通貨ではなく、いくら発行しても基本的には国内でしかその影響を消化出来ず、その結果、深刻なインフレを招いてしまう。 中国の国家統計局の所謂インフレ指数は中国人が感じている物価上昇とは相当スゴイ隔たりがある。が、住宅価格の上昇は隠せない。2012年、英国の高級住宅・不動産アドバイザー・フランク・ナイトは世界各国の5年間の平均家屋の上昇率は30.1%だと明らかにした。

 その中で、中国は110%を越え値上がり率のトップ。香港とイスラエルが続いた。台湾は30.1%で第六位。この統計項目は06年第四期から2011年第四期までの各国平均だ。結果は5年間でも中国は2倍以上上昇していた。上海と北京を例にとれば、2011年北京市の家屋売買平均価格は平米13,173元、個人の平均年間収入は32,903元、つまり普通の個人の年間所得でやっと2.5平米の住まいが買える計算(*爺注;飲まず喰わずでだ!)である。上海では建て売りマンションの平均価格は13,448元、個人の年間所得が36,230元。個人の1年間の所得では2,69平方しか買えない。

住宅価格の急速な値上がりという事実は、中国は実際には貨幣価値が急速に落ち、庶民の財産はどんどん目減りするという条件のもとで、だが大量の超通貨発行によって経済の繁栄を維持している、ということだ。

社会の大多数の人々の購買力を越えて、不動産転がしの客によって維持されている不動産市場はただ無理矢理膨らませた風船のようなものだ。バブルが消え始め、政府の”新開地化”で投資が継続されたら、いずれ大変なことになる。前中央銀行政策委員会の李稻葵委員は「中国がこれほど大量の通貨発行を擁するということは、山の上に塞止湖があるようなもんだとし「規模過大な通貨流通量はインフレや資産バブル、資金流出など相当な危険を伴う」と言っている。これがまさに今、中国が経験している現実である。資本の流出については、「習総書記のハムレットの悩み、腐敗退治なすべきかか、なさざるべきか」(2013/1/30)に書いた。

 その中で中央紀律委員会の報告を引用したが、そのGDP比率を計算すると;2012年の資本海外流出は1兆米ドル、同年のGDP8.23億米ドルの12%、2013年は違法資金流出規模は1.5兆米ドル、GDP7%増計算で17%にも相当することになる。

★第二;新開地の住宅は誰が買うのか?

 「新開地」(中文では「新城镇化)には「鎮」(訳注;「鎮」は県・自治県の下に位する行政単位)の文字が有る。ということは未来の新開地は、北京や上海、広州などの大都市が主役でなく、三、四線級の都市が主役、ということだ。が、とにかくどんな市だろうが、家屋ができたら誰かが購入者にならなければならない。でなければ「持続的な発展」なんぞあり得ない。では、今、中国にどんな種類の人が潜在的購買者になりうるのか?

中国の住宅価格では8割以上の中国人は購買者になれない。09年以前は購入者は国内国外の投機家だった。09年以降は、国内の投機家だけになった。こうした住宅は貸しもせず住みもしないで所有だけして、値上がり利益で金儲けするのが狙いだ。2012年11月以降、運悪く悪名高い『房氏の一族』(様々な家族の名義で不動産を所持する一家)として暴露されたのは、そのほんの一部にすぎない。

 『房氏の一族』は北京、上海などの大中都市を狙う。そのほうが値上がり潜在力が高いからだ。市場も相対的に安定しており、現金化も容易だ。だから、三、四線級の都市の不動産は一回転がされると、その後の需要はさっぱりないのである。最近では大型住宅企業が三、四線級都市から撤退し、中国中に「ゴーストタウン」がいっぱいだ。

さらに、習近平が2011年11月以来ずっと言う所の「反腐敗」と全国40都市の不動産情報をネットワーク化するという話で、「『房氏の一族』(実は役人や国営企業のトップ)が次々に投げ売りしている。この連中は現金かして資産移転を謀っており、当分は中国の不動産市場に客として舞い戻ってきはしない。となると、これから作られる「新開地」はこのような家屋購入の意欲ある新鋭部隊を欠いている、となれば建築された新しい家屋は誰が買うというのだ?

だから、私はこの”新開地計画”が未来の総理の胸に描かれた発展大計画の核心をなすはずだと知ってはいても、「新開地」に立てられるその住宅というのが、今、全国の都市にある6540万戸の空き家と何処が違うのかさっぱりわからない。その違いはほんとに「新開地計画」で十分な購買者が見込めるものなのだろうか?

国土資源部の公表資料によると2012年の全国違法用地事件は62000件、関連した用地面積は42万ムー、うち耕地面積は16.1万ムーだった。これは不動産取引が低調になってからの土地収用状況である。計画は満を持して弓につがえられた矢のように出番を待っている。しかし、政府の権力で作られたバブル経済の見本である中国の無数のゴーストタウンを見る時、政策決定に当たる人間はまず先に二つの問題をよく考えたほうがいい。ひとつは、中国の頭上にある、通貨の濫発による”塞き止め湖”は決壊しないのか? 第二には、もう既に数百ものゴーストタウンがあるのに、中国は更にあらたなゴーストタウンを作る必要があるのか?である。(終)

 原文は http://voachineseblog.com/heqinglian/2013/02/04newurbanization/ 
 拙訳御免。ご教示歓迎。

Reply · Report Post